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データ統合製品で実現するメインフレーム "データ" のモダナイゼーション

Last updated at Posted at 2023-08-24

こんにちは。インサイトテクノロジーの松尾です!

突然ですが「メインフレーム・モダナイゼーション」と聞いてどんなことを想像しますか?

はじめに

一般的に「メインフレーム・モダナイゼーション」は、「脱・メインフレーム」をして、メインフレームで稼働していたシステムを、クラウドなどの新しい基盤に移行すること、として説明されていることが多いようです。新しいモダンな基盤へ移行することで、性能改善、運用・保守性の向上、可用性向上、コスト削減、使い勝手の向上など、多くは「非機能要件に対する近代化」を期待する一方で、モダン化することで、新しい機能の追加などをしやすくする、ということもあると思います。

簡単ではない「脱・メインフレーム」

メインフレーム・モダナイゼーションの手法としては様々なレベルのものが存在し、アプリケーション自体を作り直すものから、実行環境をクラウドへ移すだけのものまで多くの手法があります。ただし、いずれにしても高性能・高信頼性を誇るメインフレームで正常に稼働していたものを、他の環境へもっていくわけですから、「脱・メインフレーム」には多大な労力、コスト、時間がかかるのはいうまでもありません。

メインフレームに眠る "宝の山"

何十年もの間、企業はミッションクリティカルなアプリケーションを提供するためにメインフレーム コンピューターに依存してきました。
政府機関、医療機関、あらゆる種類の企業 (特に金融と保険) は、最も機密性の高く、重要なデータの一部を管理するために現在もメインフレームを使用しています。そして、長年使用されてきたメインフレームには、それらアプリケーションに関する数十年分のデータが蓄積されており、それらはまさに "宝の山"。このデータを分析し活用したいと考えるのは自然なことだと思います。

メインフレームのデータを有効活用するために、従来から、バッチ処理によって外部のデータ基盤などへデータを連携する手法がとられてきました。ただしこのバッチによるアプローチには、メインフレームに与える負荷やデータの鮮度などの観点で課題があります。

メインフレームのデータ活用における現在の課題

メインフレームのデータ活用において、一般的に使われてきたバッチのアプローチには以下のような課題があります。

  • 定期的なスクリプトやジョブによりデータをファイル出力、巨大なファイルをターゲットシステムにネットワーク転送します。
  • 処理には長時間を要するため、リアルタイムなデータが転送されるわけではありません。鮮度の高いデータを必要とするアプリケーションには致命的ではありますが、現在多くのシステムがこの方式をとっています。

一方、バッチで外部へ連携せずに、必要な時に直接メインフレームのデータベースにクエリーを実行すればよい、と考えられるケースもあるかもしれません。しかに、このアプローチにも以下のような課題があります。

  • リアルタイムなデータを確認するために、直接メインフレームのデータベースへクエリーを実行する必要があります。
  • 新規のクエリーをメインフレームのデータベースへ実行することで、メインフレームの処理量が増加するためコスト増につながります。また負荷が上昇し、既存システムの処理への影響が懸念されます。

データ統合製品で実現するメインフレーム "データ" のモダナイゼーション

上記のような課題を解決するのが、Qlik Replicate などのデータ統合製品です。

データ統合製品を使用したメインフレーム "データ" モダナイゼーションのイメージ
データ統合製品を使用したメインフレーム "データ" モダナイゼーション (Qlik Replicate機能 | インサイトテクノロジーより)

データ統合製品は、企業のメインフレームや SAP などの基幹システムのデータ、アプリケーションで使用しているデータベース、分析基盤など、各所に存在しているデータを一か所に集めてくることのできるツールです。一か所に集めることで、異なるシステムに存在しているデータをまとめて分析することが容易になります。データ統合の方法として、バッチ転送のみをサポートしているような製品もありますが、データの鮮度や負荷の問題を解決するには、リアルタイムレプリケーション (CDC, Change Data Capture) をサポートしている製品を採用することが重要になってきます。

リアルタイムレプリケーションをサポートしているデータ統合製品を使用することで、現行システムに負荷をかけることなくリアルタイムにデータを外部に連携することができ、メインフレームに眠る "宝" (=データ) を分析システムなどで活用することができるようになります。これらはまさにメインフレーム "データ" のモダナイゼーションと言えるのではないでしょうか。

「メインフレームのモダナイゼーション」 vs 「メインフレーム "データ" のモダナイゼーション」

「メインフレームのモダナイゼーション」(脱・メインフレーム) のプロジェクトは、ミッションクリティカルなシステムを別の環境で動くようにするわけですから、細心の計画、開発、テストが必要になり、また少なくない開発期間が必要となります。脱・メインフレームプロジェクトが終わるまで、分析プロジェクト凍結、という事態にもなりかねません。

一方、データ統合製品を用いたメインフレーム "データ" のモダナイゼーションは、「メインフレームのモダナイゼーション」(脱・メインフレーム) に比べて、プロジェクトを迅速に進めることができ、またリスクを最小化することができます。外部へ連携させるデータもすぐに利用開始することができ、スピーディに攻めの経営に生かすことが可能となります。データの利活用を開始しつつ、「メインフレームのモダナイゼーション」(脱・メインフレーム)を計画して実施していけばいいのです。

非常に乱暴に表にすると以下のようなイメージです。

メインフレームのモダナイゼーション メインフレーム "データ" のモダナイゼーション
実現の容易さ 簡単ではない すぐに開始できる
データ利活用のモダン化 メインフレームのモダナイゼーションが完了するまで待つ必要がある メインフレームのモダナイゼーションと並行して開始できる

おわりに

本記事では、データ統合製品で実現するメインフレーム "データ" のモダナイゼーションについて紹介しました。
メインフレームデータを有効活用するためには、「メインフレームのモダナイゼーション」(脱・メインフレーム)の完了がマストの要件というわけではありません。脱・メインフレームももちろん重要ですが、そのプロジェクトを実施しつつ、現行メインフレーム "データ" の利活用を開始する、という観点も必要でしょう。

メインフレーム "データ" のモダナイゼーションでデータ利活用を推進し、ビジネスをモダナイズしましょう!

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