概要
アドベントカレンダー3日目ということで、今回は Power Apps の特にキャンバスアプリのアップデートに関してまとめてみました。Power Apps は Copilot を中心として様々なアップデートがありました。そんなアップデートの中から特にキャンバスアプリの編集や作成機能に絞ってどういった機能が追加され、変化してきたのか、その流れをまとめてみました(2024年1月 ~ 11月まで)。ただし、細かなすべての機能を網羅できておりませんので、あくまでこちらPower Platform Work (Power Platform News) の動画でまとめている範囲に限ります。記載している時期はあくまで動画投稿時期になるので、若干前後している場合があります。
1月
モダンテーマに Teams テーマと SharePoint テーマが追加されました
モダンコントロールに新たに Teams テーマと SharePoint テーマの2つのテーマが追加されました【3.24012】 #PowerApps
こちらは、モダンテーマに2つのテーマが追加されたアップデートになります。これによって SharePoint に配置するアプリと、Teams に配置するアプリなどのデザインが統一できるようになりました
Power Fx 数式バーの高さがマウスで変更可能に戻った
新しいPower Fxの数式バーの高さが、以前の数式バーようにマウス操作で変更が可能になりました【3.24012】 #PowerApps
これはかなり不便だったので明確に覚えています。一時期この機能が無かった時を体験しているので、ほんの小さな機能ですが、この機能がまたなくなったりしたらアプリの作成が相当大変だなーと改めて認識したアップデートでした。
ユーザー定義関数(UDF) の登場!
オリジナルの関数を定義する「ユーザー定義関数(UDF)」が試験段階機能として新たに登場しました【3.24013】 #PowerApps
2024年11月時点でも試験段階の機能ですが、Formula プロパティに対して、このタイミングでユーザー定義関数が追加されました。この機能は今まで似たような機能をコピペやコンポーネントを使って解消するしかなかったところに、プログラミングの method のような考え方が追加され、かなり便利になった機能の1つです。私が現在、一般公開されるのを心待ちにしている機能の1つです。
2月
新たな関数「Columns」「ColumnNames」が登場
JSONやParseJSON関数を使っている人必見! 新たにUntyped Object 専用の2つの関数が登場!【3.24015】 #PowerApps
この2つの関数は、Power Apps ではそれまでできなかった動的に列を変更してのフィルターや、動的な列を作成するといったことが可能になる素晴らしい関数でした。JSON を活用する都合少し複雑になるため、私の周りではあまり活用されていないのが残念ですが、間違いなくアプリのクオリティや機能の底上げをしてくれる関数が登場しました。
Unicode 文字列変換関数 UniChar 関数 が新たに登場
数値をUnicode 文字列に変換する関数 UniChar 関数が新たに追加されました 【3.24021】 #PowerApps
いままで Power Apps では扱うことが難しかった、Unicode 文字列に変換する関数がここで登場しました。
モダンコントロールの日付コントロールで選択範囲の制限が可能に
モダンコントロールの日付コントロールで選択できる日付の範囲(開始日、終了日)を設定できるようになりました【3.24021】#PowerApps
ここから日付コントロールの利用が便利になりました。今までは 2024年とか 2023~2024年といったように年単位の範囲制限は可能ですが、ここで初めて個別の日付を指定することが可能になりました。大きさの問題はあれど、クラシックコントロールの日付コントロールで既定ではできない機能が、モダンコントロールに追加されました。
TextInput = "" がエラーになるようになった
【TextInput = "" は駄目】今後テキスト入力コントロールの値を指定する時は .Text を必ずつける必要があります【3.24021】 #PowerApps
今までは TextInput などと記載した場合、Power Apps が自動で TextInput.Text として扱っていたものが、ここで初めて明示的に指定しないとエラーとなるようになりました。もともと記載していた式は自動的に変換されるとはいえ、個人で書いたブログなどには当然反映されないため、この変更はかなりのインパクトがあったのを覚えています。
Host に OfflineEnabled が登場
Host プロパティに6つ目のプロパティ「OfflineEnabled」が新たに追加されました【3.24023】#PowerApps
このあたりからオフライン周りのアップデートが増えてきた印象です。
スピンボタンが NumberInput と名前を変えて復活しました
数値のみを入力させることが可能なモダンコントロールのスピンボタンが復活しました【3.24024】 #PowerApps
2023年10月ごろに登場したスピンボタンが一時消え、このタイミングで名前を NumberInput と変えて再登場しました。現在は数値入力という名前でプレビューで公開されています。
3月
3つのテンプレートスクリーンが追加
承認要求やようこそ画面など新たに3つのテンプレートスクリーンが追加されました【3.24031】 #PowerApps
レイアウトや画面の構成を学ぶ上で役に立つテンプレートスクリーンが3追加されました。特に承認要求はステップのデザインの作り方などの参考になるので、まだ使っていない方は1度利用してみるとよいかもしれません。
オリジナルのテーマの作成が可能に
Power Apps でオリジナルのモダンコントロールテーマを作成できるようになりました #PowerApps 【3.24034】
この機能の登場のおかげで、使いにくかったモダンテーマが飛躍的に使いやすくなった印象です。この後にくるプライマリーカラーのロック機能と組み合わせて利用することで、かなり自由にテーマを作れるようになりました。
Table 関数でテーブル連結が可能に
Table 関数にレコード型以外にテーブル型も指定することができるようになりました。コレクションの連結が容易になります【3.24034】#PowerApps
この機能のおかげで作成が面倒だった UnionAll のような操作が簡単にできるようになりました。テーブル操作の中では個人的には2024年一番刺激を受けたアップデートだったと思います。
EncodeHTML 関数 が新たに登場
HTMLテキストをエンコードする関数 EncodeHTML 関数が新たに登場しました 【3.24034】#PowerApps
いままで、ありそうでなかった HTML をエンコードするための関数がこのタイミングで登場しました。
4月
既存の7個の関数への仕様変更の追加
Power Apps の Search 関数や AddColumns 関数など7個の関数にアップデートがありました【3.24041】#PowerApps
これが今年最も厄介だったアップデートだったと思います。前述した TextInput などのアップデートと同様に、アプリには影響はないですが、既存のブログ媒体などはもろに直撃を受けました。また、TextInput の方のアップデートは、記事を書く人の書き方によっては全く影響を受けなかったのに対して、こちらのアップデートはすべての作成者に影響がありました。このアップデートを受けて私の中で一時的に、ブログなどへ記事を書いたりすることへのモチベーションが下がったアップデートでもありました。(この手の変更はこれっきりにしてほしいですね...)
編集時の挿入アイコンの変更
Power Apps の編集の挿入時の各コントロールのアイコンが変更されました。モダンコントロールに存在しない、ギャラリーや図形などのアイコンが変更【3.24042】#PowerApps
挿入時のアイコンがモダン系に統一されました。さほど影響はなかったですがたまに、アイコンの通り四角形を追加しても角が丸まっていないと話をもらうことがあるので、アイコンの通りの図形が出るようにはしてほしいですね。
Copilot によるコメント生成機能が追加
Power Apps に Copilot によるコメント生成機能が追加!!複雑な式の解析が容易に!? #PowerApps
この時点では英語環境限定でしたが、Copilot(生成AI) が本格的にPower Apps の編集に入ってきたアップデートになりました。現在は日本語にも対応しています。
5月
ギャラリーの AllItems プロパティの強化
ギャラリーコントロールの AllItems プロパティが強化! コンテナーコントロール内のコントロールの値も AllItems プロパティで取得可能に【3.24045】 #PowerApps
ギャラリーとコンテナーを組み合わせてのアプリ作成の難易度が下がった瞬間でした。とはいえ AllItems 自体別の問題を抱えているため、個人的な使用頻度はそこまで高くないです。
アイコン付きボタンの作成が可能に!
Power Apps で待望のアイコン付きボタンが実装!!モダンコントロールのボタンコントロールでアイコン付きのボタンを作成することが可能になりました【3.24052】 #PowerApps
Power Apps ユーザー待望のアイコン付きボタンが規定で作成できるようになりました。このアップデートでデザイン面の課題が結構解消されたイメージです。ただし、モダンコントロールのボタンはダブルクリック対策が必要なので利用時には注意が必要です。
参考
Power Appsのボタンコントロールのクラシックコントロール vs モダンコントロール - 大きな違いは2つプロパティの有無 それぞれでできることとできないことの違い #PowerApps
アバターコントロールの登場
Power Apps に新コントロールが追加!アバターコントロールを利用して Teams の右上のユーザーアイコンが再現可能に【3.24052】 #PowerApps
ユーザーの画像を表示するには画像コントロール+User関数などの組み合わせが一般的でしたが、アバターコントロールという選択肢がここで登場しました。こちらは画像がない場合は、テキストに置き換えができるなど追加でほしい機能もそろっているため、画像に比べて使いやすくなっています。(大きさの調整以外)
モダンコントロールにデザイン編集プロパティが大量追加
Power Apps のモダンコントロールにデザインを編集するためのプロパティが多数追加!クラシックではできなかった、角を丸めた日付コントロールが作成可能に!!【3.24054】#PowerApps
このタイミングでモダンコントロールのデザインが本格的に編集可能になりました。今まではテーマくらいでしか変更できなかったですが、個別に色を設定できたり、角を丸めたりといったようにクラシックコントロールと同様の編集機能(まだクラシックには劣りますが)追加されました。
Formulas が一覧に表示
App の Formulas プロパティに定義した名前付き書式が変数と同じように一覧に表示されるようになりました【3.24054】 #PowerApps
小さなアップデートですが、このタイミングで Formulas の定義が一覧に表示されるようになりました。
YAMLのコードビュー機能が登場
新機能!!Power Apps でコードビューが利用可能に!! コントロールを簡単にコピー、任意のエディタで編集などが可能になりました #PowerApps
ここでスクリーンやコントロールを YAML 形式で表示し、コピー貼り付け編集などができるようになりました。この機能は Power Apps のアプリを生成AIに対して認識させたり、任意のエディタで機能を編集したりといった、今までなかった新しい体験を加えてくれたアップデートになります。この後一時的にこの機能が消えますが、現在は利用可能な状態です。
個人的にPower Apps の編集面で最もインパクトがあった機能で、今もかなりの頻度で利用している機能になります。
6月
プロパティの表示方法の変更
Power Apps で最新のバージョンで編集したときに、右側のプロパティペインが消えたときの対処法 最新バージョンではプロパティの表示方法が以前と異なります 【3.24054】#PowerApps
「プロパティが消えた!」とそれなりの(悪い意味で)インパクトを与えたアップデートになります。私は今もちょいちょい見失いますw
テンプレートスクリーンが新たに2つ追加
Power Apps のタブレット用のテンプレートスクリーンが新たに2つ追加されました 【3.24061】#PowerApps
モダンコントロールのヘッダーコントロールを活用したテンプレートスクリーンが2つ追加されました。こちらも画面構成の勉強に役立つので、利用したことがない方は一度確認してみてください。
アプリの置換機能の追加
Power Apps でアプリの編集した内容を既存のアプリに置換が可能に!開発用のアプリの内容が本番用のアプリへの適用が簡単になりました #PowerApps
エクスポート+インポートでしかできなかった、アプリ単体の置換機能がこのタイミングで登場しました。個人的には YAML 機能に次いで2番目にインパクトのあったアップデートになります。
モダンコントロール「チェックボックス」「ラジオ」「バッチ」が GA
Power Apps のモダンコントロール「チェックボックス」「ラジオ」「バッチ」の3つのプレビューが外れて本番環境でも利用することが可能になりました【3.24054】 #PowerApps
このあたりから少しずつモダンコントロールのプレビューが外れるようになった印象です。
TriggerOutput の追加
Power Apps のモダンコントロールのテキスト入力コントロールに新たに「TriggerOutput」プロパティが追加されました【3.24064】 #PowerApps
モダンコントロールのテキスト入力コントロールでは、制御できなかった クラシックコントロールの DelayOutput プロパティに相当し、それにさらに機能追加されたプロパティが登場しました。この点についてはモダンコントロールの方が細かく制御できるようになりました。
アプリの共同編集がついに可能に!!
Power Apps でExcel のように複数人で同じアプリを同時に編集する機能「コオーサリング」がプレビューで登場!! 【3.24063】#PowerApps
ここでついに、アプリ作成者待望の共同編集機能である、「コオーサリング」機能が登場しました(まだプレビューで現在はGA)登場時からかなりのインパクトを与えて、現在もいくつかの課題を残しながら、様々なアプリ作成者に対して影響を与えた機能になると思います。アプリの作成時はもちろん、ハッカソンの時やペアプロのような形で Power Apps の作成ができるようになるなど、アプリの編集以上の価値を提供した機能だと思います。
7月
モダンコントロールのトグル一般公開とアイコンの追加
Power Apps のモダンコントロールに新コントロール「アイコン」が追加!トグルコントロールが一般公開されトグルのサイズが変更可能に 【3.24072】 #PowerApps
トグルコントロールの一般提供開始と合わせて、アイコンコントロールが追加されました。OnSelect プロパティがないことにショックを受けた人は私だけではないはず。。。
アプリ実行画面に Copilot が追加可能に
Power Apps の実行画面で Copilot Studio で作成したオリジナルの Copilot を設定だけで利用可能なりました #PowerApps #Copilot
Copilot が実行時にも登場するようになりました。このあたりから Power Apps + Copilot の機能が向上していった印象です。
コメント生成機能が日本語に対応
Power Apps で Copilot を使った式の説明コメントの生成機能が日本語に対応しました! AIを使ってどんな式が書かれているかを説明させる #PowerApps #Copilot
4月では英語のみの対応でしたが、このタイミングで日本語にも対応するようになりました。現在は一部分だけコメントを生成したりといったことも可能になっています。
8月
ツールバーコントロールの追加
Power Apps のモダンコントロールに新たに「ツールバーコントロール」が追加!! ボタンコントロールとタブ一覧コントロールを組み合わせたようなコントロール【3.24082】#PowerApps
モダンコントロールにツールバーコントロールが追加されました。この手のデザインはよくクラシックコントロールで組み合わせて作ったりしますが、モダンコントロールを使えば簡単に作成でき、また、サイズに応じて隠れたりといったことも可能なため、使ってみるとかなり便利なコントロールです。
9月
モダンテーマのプライマリーカラーロック機能
Power Apps のキャンバスアプリに新機能「テーマのプライマリー色のロック」機能が追加!テーマのプライマリーカラーとして好きな色を設定することが可能に【3.24091】 #PowerApps
プライマリーカラーを固定化する機能が追加されました。それまではアクセシビリティを考慮した形で微妙に色が変化していましたが、それがなくなることによって、好きな色でテーマを作ることが可能になりました。
10月
Dataverse + CountRows関数 = 警告
Dataverse+CountRows関数で警告の表示が追加されました CountRows(Dataverseのテーブル)は誤った件数が表示されている可能性有り【3.24095】#PowerApps
間違った可能性がある式に警告が表示されるようになりました。
StartScreenプロパティ + コレクション = 警告
StartScreenプロパティにコレクションを使っているアプリは要注意 StartScreenプロパティ + コレクションは不具合の原因なので警告を表示#PowerApps【3.24101】
こちらも間違った可能性がある式に警告が表示されるようになりました。
Power Apps Studio のデザインが変更
Power Apps のキャンバスアプリを作成したり編集したりする画面 Power Apps Studio のデザインが変更されました【3.24102】 #PowerApps
背景色やアイコン、その他機能の位置などが変更されました。個人的には背景色とアプリの画面の境目が見にくいので、中央の色はグレーに戻してほしいです。
コオーサリング機能の一般提供開始
Power Apps でExcel のように複数人で同じアプリを同時に編集する機能「コオーサリング」の一般提供が開始されました
共同編集機能が本格的に利用可能になりました。
日本語から式の生成が可能に!!
Power Apps 新機能!日本語だけで式の作成が可能に!! Power Apps のキャンバスアプリでコメントで式を生成する機能が利用可能になりました 【3.24104】 #PowerApps
この機能によって、自然言語のみでアプリを作るといったことが可能になりました。まだまだ作成できる式は少ないですが、簡易的な占いアプリくらいであれば自然言語で作れるので、自然言語オンリーでアプリを作るイベントとかあっても面白そうですね。
11月
式の一部分だけでもコメント生成が可能に
Power AppsのキャンバスアプリでCopilotを使ったコメント生成機能が式の一部分だけでも生成が可能になりました ハイライト箇所を生成AIでコメント生成【3.24104】#PowerApps
このアップデートが Power Fx + Copilot の最新のアップデートになります。長い式だとおおざっぱなコメントの生成しかできませんでしたが、このアップデートによって部分的にコメントが生成できるようになったので、長い式でもコメントの生成が容易になりました。
共有UIの変更
Power Apps のアプリの共有画面が変更されました Microsoft List のような共有UIでアプリを共有可能に #PowerApps
前々から、アナウンスがあった共有UIがこのタイミングで更新されました。機能の一部は隠れていたり、メール送付が強制だったりするので、クラシックを使う場面は今後もそれなりにありそうです。
総括
他にも細かなアップデートはありますが、このあたりが今年追加された機能になります。Copilot の機能からコントロールの追加、仕様の変更など様々なアップデートがありましたが、個人的にお気に入り機能 TOP3 を付けるならこれらになります。
- YAML 機能
- アプリの置換
- 共同編集機能
になるかなと思います。
また、個人的に最も影響があったアップデートなら間違いなく
になります。
Power Apps のキャンバスアプリの編集機能と限定しても様々なアップデートが今年もあったわけですが、みなさんはどんなアップデートが印象に残っていますでしょうか?
今後も YouTube チャネルの 「Power Platform work」では Power Apps や Power Automate のアップデートやアプリ。フローの作り方のヒント、Tipsなどを毎日紹介しています。(現時点で960本以上公開中)
この機会にぜひチャンネル登録をよろしくお願いします。