出展:イラスト図解式 この一冊で全部わかるクラウドの基本 第2版
クラウド導入の目的を明確にする
経営の効率性の改善
経営の見える化や生産性の向上につながるか?
ex)・企業経営のコントロールの強化
・事業構造の変化への対応、自社の強みへの集中
・運用管理の一元化、新しいビジネスへの迅速な展開
コストメリット
どの程度コストが削減されるか?投資対効果はあるか?
ex)・オンプレミスシステム比3年で30%削減
・海外拠点の展開で高度なIT人材を雇用せずにすむ
業務の課題解決、プロセス改善
どのような業務の問題が解決されるか?どのように業務プロセスが自動化、改善されるか?
ex)・海外ビジネス展開の円滑化
・システム運用保守の自動化
・運用保守人材のコア業務へのシフト
社員のシステム(サービス)利用環境の改善
社員間の情報共有などのサービス利用環境が改善されるか?社員やパートナーとの協働の強化につながるか?
ex)・社員同士、顧客、パートナーそれぞれの立場でのコラボレーション強化
・社員が社外からさまざまなデバイスで業務システムにアクセス可能に
クラウドへの移行にあたっての課題を整理する
クラウドサービスへ移行する際に検討する要件
・どのシステムをクラウドサービスに移行するのか?
・これまで蓄積したデータをどのように移行するのか?
・移行にはどのような技術を使うのか?
・どのように既存のシステムと連携させるのか?
・連携・統合することは技術的に可能なのか?
オンプレミスシステムからクラウドの仮想サーバへ移行する場合の課題
<サーバサイド>
・物理サーバ(ベアメタルサーバ ※)など高速なサーバが必要か?
・高速なストレージが必要か?
・ソフトウェアライセンス体系から仮想コア数に課される料金は適正か?
※ベアメタルサーバ:メモリ・ハードディスクなど、物理的な部分は用意されているが、OSなどのソフトウェアがインストールされていない素のサーバーのこと
<クライアントサイド>
・ソフトウェアライセンスはクラウドサービスで利用可能か?
・仮想サーバでの動作に問題はないか?
<ネットワーク>
・クラウドは距離的に近くのロケーションが選択できるか?
・広帯域なネットワークサービスが必要か?
・既存システムとの接続のコストはどれほどかかるか?
クラウドシステムに移行できないシステムがある場合は?
⇒クラウドサービスとオンプレミスシステムのハイブリッドも検討する
導入から自社システム最適化までのロードマップ
①情報システムの標準化
自社内で利用されている情報システムのハードウェア、OS、ソフトウェア、データなどの統一を進める
②サーバ、ストレージの統合/サーバの仮想化
バラバラに運用されていたり、リソースが余っていたりするサーバ、ストレージを統合する。その際にサーバの仮想化も検討する
③クラウド化
クラウドサービスの導入を進める
④ネットワーク適正化
クラウドとオンプレミスの接続など、クラウドを中心としたネットワークの設計・構築をすすめる
⑤クラウド間、クラウドとオンプレミス間の連携(ハイブリッドクラウド化)
オンプレシステム、クラウドの連携を進める
⑥企業グループ全体でのシステムの最適化
ハイブリッドクラウドの最適化、企業グループでの共通プラットフォームとしての利用など、全体最適化をすすめる
クラウドで変わる情報システム部門の役割
従来型のシステム
SoR(System of Record):記録のためのシステム
<重視するもの>
・正常性
・安定性
・堅牢性
<目的>
・会計、人事、生産、販売など基幹系システム
・既存ビジネスの業務効率化
・コスト削減
<特徴>
・事前に予測された量を処理するインフラ
・コマンドまたはGUIによる手動構築
・運用管理は手動で行う
クラウドのシステム
SoE(System of Engagement):人やモノに関与するためのシステム
<重視するもの>
・迅速性
・柔軟性
・拡張性
<目的>
・IoT、ビッグデータ分析、人工知能(AI)
・新ビジネスの基盤
・新ビジネスの創出
・顧客経験の改革
<特徴>
・処理量や負荷に応じて伸縮するインフラ
・APIによる自動構築
・運用管理は自動で行う
これからの情報システム部門の役割
・従来型のシステムを最新の技術の上で継続して利用できるようにする
・新ビジネスの創出のための基盤を整備する
⇒SoRとSoEの双方に対応したクラウドサービスを採用し、自社の情報システムの全体最適化を図っていく
オンプレミスシステムからクラウドへの移行
オンプレミスシステムからクラウドへの典型的な移行の流れ
<クラウド化検討>
①現状調査
各事業所の情報システムの現状調査
②全体方針策定
クラウド活用をベースとした基盤更改の「あるべき姿」モデルの策定
③効果検討
現状調査、全体方針をふまえて、総保有コストの比較、投資対効果の検討の実施
<移行/導入>
④クラウド移行計画策定
RFI(情報提供依頼書)、RFP(提案依頼書)の作成
移行方式およびツールの検証、移行手順の作成
役割分担の整理を実施
⑤クラウド移行
オンプレミスからクラウドへの移行を実施
クラウドを適材適所で使い分ける
オンプレミスとパブリッククラウドを特性に合わせて適切に使い分ける
<オンプレミスの利点>
・個別の要件に応じて、システムを柔軟にカスタマイズできる
・システムのすべてを自社で管理できる
・データの保管場所を特定できる
<パブリッククラウドの利点>
・用意されたインフラを利用して、すぐにシステムが構築できる
・従量課金で利用できる
・システムを拡張したり縮小したりすることが簡単に行える
クラウドへの移行が難しいシステム例
・ユーザの利用数の少ないレガシーな業務系システム
・工場システムと一体となった生産系システム など
※BYOL(Bring Your Own License)
オンプレミスシステムの業務アプリケーションのライセンスをクラウドサービスへも移行できる状態で提供する
ハイブリッドクラウドの利用パターン例
・既存システムとの連携
データベースはオンプレミスに残し、クラウド上のアプリケーションサーバから利用する
・業務システムごとの使い分け
個別の構築システムごとにオンプレミスとクラウドを使い分ける、など
・アプリケーション連携
SaaSのアプリケーションとオンプレミスのアプリケーションをAPIで連携する、など
開発と運用の一体化
DevOps
Development(開発)とOperation(運用)がともに協力することで、よりスピィーディーに完成度の高いソフトウェアを作り上げる手法
クラウドの普及によりDevOpsに注目が集まる背景
・ウォーターフォール型ではなく、小刻みな改変を繰り返すアジャイル開発や。サービスを小さく素早く始めて顧客の反応を見ながら改良を続けるリーンスタートアップが流行
・サービスの提供先が国内だけでなく海外にまで広がっている
・SaaS/PaaS型のサービスが充実し、開発者が自らアプリケーション開発環境を用意したり、運用環境に簡単にデプロイ(配置、展開)することが可能になった
・市場のスピードに合わせた変化適応型のインフラ運用による効率的なリリースと運用の自動化が可能になった