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SalesforceAdvent Calendar 2019

Day 5

SALES WARS / レジスタンスへの浸透

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この記事は Salesforce Advent Calendar 2019 5日目の記事です。

どんなに優れたシステムでも浸透しなければ成果を上げることはできません。
しかしその「社内に浸透させる」事が非常に厄介で大変苦労する部分であり、僕自身も色々な体験をしてきましたので、本日はその体験の中から「構築から浸透するまでに起きたこと」にフォーカスを当てて見ました。
長文になりますが、決して「まとめ」しか書かないわけにはいかないからではn もしかしたら誰かの役に立ったらと思い、読み物として執筆させていただこうと思います。興味のある方はぜひ読んでくれると嬉しいです。
いきなりエンディングに突入したい方は下記のリンクからどうぞ。

要点リンク:まとめ

主に浸透課題がある方や、adminの方向けのお話です。
それでは早速!

#レジスタンス爆誕

「俺らSalesforceなんて使わなくても受注取れるんだよ!このデレスケ畜生!」

Salesforce構築後、新しいものを取り入れたかがらない営業部長に言われた最初の言葉でした。
あ、デレスケってわかります?
[参考リンク:栃木の方言(栃木弁)] (https://ottotto.net/tochigiben/)
まぁ、田舎で使われる「馬鹿野郎!」と同等程度の罵声語だとご認識ください。

そもそもなぜこのような展開になったかというと、少し遡ること2017年の5月。私たちの会社でSalesforceを導入することが決まりました。僕自身もこのタイミングで「Salesforceを構築・管理する」という使命を背負って中途入社。初めて触るシステムではありましたが、自己学習を重ね、おおよそ2ヶ月程で初期構築を完了させました。
よーしここからしっかりと活用して業績に貢献していくぞ!と強い決意を胸に、推進派のまず一歩として社内勉強会を開催したワケです。しかし、ここに大きな過ちがありました。

###最初の失敗
当初のリードや商談、取引先(個人取引先)には、非常に多くの項目があり、これらは全て営業マンや営業部長ではなく、営業部より上層の管理職と打合せ、どのような項目で管理したいかということを基準に作成されたものでした。
社内勉強会を通じて、通常の営業業務以外に膨大な入力業務を強いられた営業部は猛反発。そりゃそうです。今までは社内でデジタルといえばExcel程度です。
タイピングもままならない営業部長は、それでも何とか帳票にまとめたりまとめ忘れたりしながらも、属人的な営業管理をしていた…そこに得体の知れないSalesforceなるシステムが登場。更には得体の知れない「カンリシャ」なる人間も登場。怒涛の勢いで今までのやり方を全否定され(されたような気になり)、デレスケ畜生の産声と共に、Salesforceの入力をしてくれない反抗勢力…レジスタンスが誕生したのでした。
いや、もしもっと最初から全体像を営業部内と共有し、事前に相談と対策がしっかり出来ていたら…こうはならなかったかも知れません。そういう解釈をすると、もしかしたら管理者の僕がレジスタンスを生んでしまったのかも知れません。

#答えは現場にあった

###レジスタンスとの接触
さてさて、いつまで経っても一向に浸透しないSalesforce。営業は入力しない事を毎日のように朝礼で上層に叱られ、益々意固地になっていき、全くもって負のスパイラルから抜け出せる気がしません。このままじゃいかんという事で、僕は営業部長と直接コンタクトを試みることにしました。

僕「部長、何でSalesforce入力してくれないんですか?」
部「あ?そんな暇ねーよ。」
僕「いや、ありますよね?商談と商談の間の10分15分で十分入力できるじゃないですか。」
部「お前にとっちゃ10分で終わるものでも、俺らは30分かかんだよ!それに次のお客様の準備時間もある。俺らはそのsales何とかのためだけにパソコン開かねーんだよ!現場も知らねーくせにこのデレスケが!」
云々…
つまり、部長の言いたい事を要約すると下記のような事でした。

  • パソコン・スマホが苦手でいまいち良くわからない
  • 更新自体、時間がかかってしまい億劫だ
  • 同じ時間を使うのなら、業績に直結する営業活動に注力したい

苦手意識は今すぐ解決する問題ではないので一先ず置いておき、僕が着目したのは二番目の

更新自体、時間がかかってしまい億劫だ

でした。
これを改善できれば、少しは入力してくれるようになるかも知れない。そう思った僕は試しに、

次アポの日付を入力するとフェーズが自動的に更新される

という簡単なプロセスを作り、再度営業部長に話を持っていきました。

###レジスタンスとの交渉
僕「部長、ちょっといいですか?」
部「またお前かよ、面倒くせーな!何だよ!」
僕「今って、初回商談後に次アポが取れているのかどうかは、営業さん本人に聞かないとわからなじゃないですか。なので、次アポを入力すると商談が自動的に「第2商談」っていうフェーズに移動されるような物を作ったんですけど。」
部「えええ!?自動的に動くの!?マジかよ!」
僕「(いや、そんな反応する程の事じゃないと思うけど…)マジです。キリッ」
部「すげーじゃん!じゃあ他の項目も全部自動的に動いたり変わったりできないの?」
僕「え?」
部「いや、あの緑のチェック入れるやつとか、他にも色々とチェックしなきゃいけないやつとか、日付も予定日とか実施日とか確定日とか、いっぱいありすぎてやる気になんないんだよね。」
僕「(緑のって…多分Todo…)できます。キリッ じゃあその辺改善したら、ちょっとはSalesforce入力してくれますか?」
部「いいよ!ちょっとだけだけど!」
云々…

斯くして僕はレジスタンスとSalesforce活用の交渉を行い、管理職には、レジスタンスが入力してくれないのにはどんな理由があるからなのかと、リードや商談、個人取引先の項目を大幅に変更する事を上申し、レジスタンスと「ここが嫌だよSalesforce」というミーティングを開催。現場が面倒だと思うところを徹底的に抽出し、その結果を持って何度も管理職に相談。無数にあった「あったら良いけど無くても困らない項目」を排除することに成功しました。

#Salesforceの再構築

###自動化プロセスの構築と勉強会の開催
「項目が多すぎてやる気にならない問題」は、

あったら良いけど無くても困らない項目

を大量に削除することで解決しました。次は自動更新です。
営業部長の「緑のチェック入れるやつ」からヒントをもらい、チェックボックスにチェックが入っているか・入っていないかを起点とした、自動プロセスを作ることにしました。考え方の軸としては大きく2つです。

1. 保存した時に、項目〇〇が入力されていたら、自動的にチェックが入る
2. 保存した時に、チェックボックス△△にチェックが入っていたら、□□を自動的に変更する

具体的には、例えばある営業マンが初回商談後、次アポ日と商談結果を入力して保存すると、

  • フェーズを自動的に次の段階へ変更
    • 確度も自動的に更新される
  • 次アポ取得済案件というチェックボックスにチェック
    • 次アポ取得済案件をカウントしているレポートが更新される
  • 取得した次アポ日で新規行動予定を作成
    • 営業マンの個人カレンダーに自動で予定が追加される
  • その日の商談結果を自動的に報告形式に文書構築してChatterにポスト
    • 報告業務を自動的に完了

このように動作します。つまり、

1つの入力で数ヶ所が自動的に連携するプロセス

というものをいくつも作っていきました。またそれと並行し、

  • デキる営業マンのスマホの使い方講座
  • これでモテる!?タイピング検定1級が教える1on1タイピング講座
  • 今夜も早く帰れる!Salesforceで変わる働き方とは

などの社内勉強会や個人レクチャーを行っているうちに、いつしか「Salesforceって便利じゃん」という声が聞こえるようになってきました。また「こういう事はできないのか?」という声も、現場から少しずつ上がるようになりました。

#カンリシャの夜明け
初期構築から約1年半、斯くしてレジスタンスとの戦いは幕を閉じました。現在ではEinsteinを導入してリードをインサイドセールスが管理、元レジスタンスの幹部達は、Salesforceを見ながら部下の育成・指導を行う事が日課になるほどになりました。
やはり現場の「こうしたい」という声は今でも重要で、そういった意見は

  • ケースを社内向けにカスタマイズ
  • 「新規機能要望」「修正変更」「お問合せ」などのカテゴリを用意
  • 進捗・結果は全て自動的にChatterに流れる

このような活用で今も大切にしています。

そんなある日、あの営業部長が部下にこんな事を言っていました。

「いいか?『仕事はSalesforceに始まり、Salesforceに終わる』だぞ!」

おしまい。

##まとめ

###レジスタンスを生まないためには

  • 役員や管理職との打合せだけで構築しない
  • 実際の入力業務を行う現場の労力を考慮する
  • レジスタンスは管理者が生み出してしまっている可能性から目を背けない!

###社内に浸透させるためには

  • 入力する人の時短になりそうな機能を考える
  • 現場の「もっとこうだったら便利」という声を無視しない
  • ITに疎い人がいたら徹底的に寄り添う!

###心が折れないadminになるためには

  • 常に最新情報のアンテナを張っておく
  • 良い方向に様変わりしていく様子を楽しむ
  • 共感してもらいたい事はTwitterで呟く
  • 新たに構築して成功した事はユーザ会で自慢する
  • 苦労を分かち合える他のadminの存在を忘れない!

adminとは実に大変で、一筋縄では行かない役目ですね!個人的には「徹底的に寄り添う」という部分が特に大切だなぁと。でも大変な役割だからこそ、僕らadminはもっともっと楽しむべきだと思います!
来年も頑張りましょー!

それでは、良いお年を。

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