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認定スクラムマスター(CSM)研修を全力で受けてきたのでふりかえる 〜論理の国の5日間戦争〜

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2025年3月に開催された認定スクラムマスター研修を受けての学びの共有です

はじめに

先日、認定スクラムマスター研修(CSM研修)を受講しました。
学びの多い有意義な時間だった一方で、「もっと上手く立ち振る舞えたのでは?」「もっと活かせたのでは?」という後悔もありました。
この記事は、自分自身のふりかえりとともに、これから受講を検討している方への参考になればと思い、まとめたものです。

読者の想定

  • 認定スクラムマスター研修の受講を検討している方
  • 受講予定だけど、内容や雰囲気に不安がある方

そんな方々に向けて、以下の2つの観点からお届けします。

  • 研修を通してスクラムについて学んだこと
  • CSM研修の楽しみ方

あえて触れないこと

研修の具体的なコンテンツ内容には触れません。
事前に内容を知って表面的な対策をしてしまうと、学びの機会を減らしてしまうかもしれないと思ったからです(それじゃもったいない!)

認定スクラムマスター研修とは?

odd-eさん提供の研修で通過すると認定資格の受験資格が得られます。
私は「6時間 × 5日間」のオンライン形式で受講しました。

受講のモチベーション

これまで10年近く「スクラム」を名乗るチームに所属してきましたが、正直「そこにいただけ」でした。
スクラムを戦略的に使うことや、その意味を深く考えたことはほとんどありませんでした。
研修の中でスクラムの価値を疑似体験し、現場の活動をインスペクトする能力が手に入れたかったです。
私は職種としてのスクラムマスターを目指しているわけではありませんが、スクラムを目指すチームがより良くなることを願って受講を決めました。

👨‍🎓 スクラムについて学んだこと

研修では用語の説明などの一方的な知識の提供はほぼありません。
受講者の質問や演習を元にプラクティスの背景や目的を解説するスタイルです。

中途半端にスクラム経験があった私は、いつの間にか「わかったつもり」になっていました。
正直、スクラムマスターという役割を舐めていました。

以下は、私自身の誤解が正された代表的な3つのポイントです。

1️⃣ スクラムマスターはチェンジエージェント

研修の中でスクラムは「Projectの現状を把握するためのフレームワーク」という説明を受けました。
対比されるウォーターフォールは「統制するためのフレームワーク」であり、統制から抜け出すためにスクラムマスターは自己組織化の文化を組織に根付かせていかなくてはいけません。そして長期的な組織の価値最大化のために持続的なペースで変化できるように支援をするチェンジエージェントである必要があります。
スクラムを導入し組織の変革を進めるためには論理的に矛盾がなくては説得ができません。研修の中で提案された行動に対して論理的な説明が常に求められていました。
スクラムマスターの仕事はスクラムのプラクティスをチームで実施させることで、プランニングでスプリントバックログを作ったり、レトロスペクティブでファシリテーションができていればスクラムマスターは不要だと思っていました。それでスクラムが回りだせば、上手くいっていると大きな誤解をしていました。

アジャイル・プロセスは持続可能な開発を促進します。
一定のペースを継続的に維持できるようにしなければなりません

また、「自分自身」に対してもバーンアウトしないペースを保つことが大切だというメッセージも印象的でした。

📝 学んだこと

  • スクラムマスターは短期的な成果ではなく、長期的な組織の改善を支援する
  • スクラムは「文化を変える」ためのアプローチ
  • チームが持続的に成長できるよう、ペースの維持を支える

🙅‍♂️ 誤解していたこと

  • 直近のスプリントをうまく回すのがスクラムマスターの役目
  • スクラムのイベントを実施できていればOK
  • プラクティスの実施=目的達成だと思っていた

2️⃣ スクラムは「計画駆動」

スクラムでは計画を徹底的に立てる。起きうる事態を予測し不確実性を排除するように努める。 とはいえ不確実性が多すぎる場合は計画を立てることは難しいため、スクラムマスター実現可能性を上げるためにスコープを絞る等の支援をする。
アジャイル開発では計画に長い時間をかけずに、「とりあえずやってみよう」⇨ 「やってみたらわかるさ」と言う価値観で計画というのはアンチパターンであるような錯覚がありました。時間内で最低限の計画を立ててスプリントを走り出して、終わってからら振り返りをおこなえば上手く回していると勘違いしていました。

📝 学んだこと

  • スクラムは「計画駆動型」の開発手法
  • スクラムマスターは、実現可能な計画の支援者

🙅‍♂️ 誤解していたこと

  • 詳細な計画を立てるのはアジャイルに反する
  • 行動優先で、後から考えればよいと思っていた

3️⃣ 完成の定義(Definition of Done)を守る

品質には2種類あります。

  • Product Quality(ユーザー価値を生む品質)
  • Technical Quality(満たされて当然の品質)

「完成の定義」は後者、Technical Qualityを判断するための基準です。
スクラムでは、インクリメントは完成の定義を満たしたことによってリリース可能でなくてはならないが、実態はQAやリリース作業など別の工程が必要となっており、リリーススプリントなどと呼ばれている。それらをUndoneとしてDoneに変えていく活動がスクラムチームで必要となる。
スクラムマスターは、チームが自然と完成の定義を守れるような文化・仕組みを支える役割です。

📝 学んだこと

  • Doneは「プロダクトがリリース可能かどうか」の判断基準
  • Undoneを減らす活動はスクラムチームの重要な仕事
  • 同一プロダクトでは完成の定義を共通化すべき
  • 定義を「意識しなくても守れる」状態が理想

🙅‍♂️ 誤解していたこと

  • スクラムマスターはPOのROI最大化をサポートする役割だけだと思っていた
  • Undone作業の存在を当たり前だと受け入れていた

🎠 CSM研修の楽しみ方

5日間、とても疲れました。でも間違いなく楽しかった。
そんな経験をふまえて、「CSM研修を楽しむコツ」を3つにまとめました。

  1. 繰り返しスクラムガイドに立ち戻る
  2. 集団の行動を予測して、意思を持って行動する
  3. 自分の行動にフィードバックを求める

1️⃣ 繰り返しスクラムガイドに立ち戻る

私は研修前にも少なくとも3回はスクラムガイドを読んだことがありました。
でも研修後に読むと、「これ研修で言ってたやつだー!!!!」 と何度も叫びましたw
以前は読み流していたような一文や副詞にも、ものすごく意味が込められていることに気づきます。

例えば完成の定義についても、ちゃんとこう書かれています。

開発者は完成の定義に準拠する必要がある。プロダクトに関わるスクラムチームが複数ある場合、共通の完成の定義を作成して、それに準拠する必要がある。

研修後に、参加者でスクラムガイドの輪読会などできたら、さらに深い学びが得られそうです。

2️⃣ 集団の行動を予測して、意思を持って行動する

スクラムマスターは、チームを統制するのではなく導く存在。
演習では、混沌とした状態の中でも、集団を意思を持ってリードする必要があります。
いわゆるカオス状態の集団を何となく従わせるのではなく導く必要があります。
私は1日ごとにふりかえりをして、翌日の行動を計画していました。
たとえば以下のような感じです。

## 計画
合意形成の仕組みがなかった
⇨ 合意した状態を作り出すには前提として議論を可視化する必要がある
⇨ 可視化されれば収束に向かう
⇨ 議論のスローダウン&見える化を進める

## 事実
Technical Qualityについての説明があった。

見える化は意見が重なってできるようになった
「全員で判断基準を決める」という議論から決め方の些末な方向に話が展開する
折衷案を組めないのか?という提案がなされる

## 考察
少なくとも判断基準を決める方向に意見を重ねていく
時間やリスクで意見を分割し限定する必要がある?

演習中は要所要所で講師の方が状況を整理してくれたり、問いかけをしてくれたりすることで、
「ああ、そういうことだったのか!」とアハ体験が得られます。
いわゆる ScrumMaster’s HIGH が来ます。

3️⃣ 自分の行動についてフィードバックを求める

研修中にできることの一つが、積極的にフィードバックを求めること。
計画通りに動けなかったとき、なぜ上手くいかなかったのか?
講師や他の参加者からフィードバックをもらうことで、自分の行動の背景が明らかになります。
また、ネガティブに見える行動も、意図を説明することで誤解が解けて、場の空気が良くなることもあります。
逆に、他の人の行動に対しても「なぜその行動をしたのか?」と想像しておくと、
行動のヒントが得られたり、フィードバックの練習にもなります。

✅️ まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました。
記事では2点について書かせてもらいました。

  • 認定スクラムマスターで正されたスクラムへの誤解と学び
  • 本気で研修に臨むことで楽しめること

私は研修を通じて 「論理的であるか?」 を問うメンタルモデルを獲得しました。
スクラムの知識や学び方を知ることはもちろんできましたが、新しい思考の武器を手に入れられたで実りある5日間でした。
そして何より一緒に苦しんで研修を受けた仲間たちと知り合えたことが一番の研修で得られた価値です。
これからも一緒に学んでいきたいと思っています。
(打ち上げも楽しみ🍺)

おまけ① オンラインの研修はどうなのか?

私は普段リモートで働いているので、オンラインのほうが実務にあっていてよかったです。
あとオフサイトだと3日間なので、振り返る回数が2回減るのももったいないと思ったのでオンラインでも全然よきと思いました!

おまけ② 資格は取れると思うか?

こればっかりは全然わからないので気にせず行きます。
2週間は学んで事を復習するので一瞬で過ぎ去る気がするので、合否の連絡が来ることは忘れようと思いますw

おまけ③ レポート続編はあるのか?

実は書きたいことがまだまだあるので、続編あるかもです!

参考

  • スクラムガイド2020

  • アジャイルソフトウェア開発宣言

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