はじめに
IX3110は爆音で有名な業務用ルータですが、静音ファンへの詳細換装例があまりありません。アラートを出さずに、極力丁寧に・安全なファンに換装することに成功したので、各種詳細情報を共有します。
本記事のように換装してアラートが出た場合や、何らかの損害が発生した場合でも筆者は責任を負いません。
情報は参考までとし、ご自身の責任で実施してください。
IX3110のファン構成と詳細
IX3110は主に
- 本体ファン
- 電源ユニットファン
の2つのファンで構成されています。
電源ユニットファンは電源ユニット毎に1つのファンがついています。
電源ユニットは最大で2つ差すことができるため、その場合はファンの数は3つとなります。
既存のファンの紹介をします。
本体ファン
主な爆音の原因です。上記画像の右側のファンです。
仕様はこちらです。
独特な特徴としては以下の通りです。
- 5V稼働
- 幅 15mm
- 電力 1.2W
- ノイズ 34dB
- 回転数取得が可能な3PINファン
5V稼働で幅が15mmのファンなんてレアすぎて静音の代替品がありません。
写真の通り、コネクタとしてPHコネクタが用いられています。
もちろんこのファン単体でも爆音なのですが、IX3110の吸気口を空気が通り抜けることによってさらにノイズが倍増しています。
電源ユニットファン
本体ファンほどではないですが、やはり少々うるさいです。先ほどの画像の左側のファンです。
仕様はこちら
特徴としては以下の通りです。
- 12V稼働
- 幅 10mm
- 電力 0.84W
- ノイズ 25dB
- 回転数取得が可能な3PINファン
こちらは12V稼働の10mmファンなので代替品をそこそこ見つけることができました。
コネクタは通常のPCFANで用いられるものと同様です。
代替静音ファン
今回は安全策として、代替ファンの電力は既存ファンの電力以下の物に限定しました。
具体的には、
- 本体ファン電力1.2W以下
- 電源ユニットファン電力0.84W以下
を最低条件としています。
本体ファン
IX3110では、本体ファンの回転数が5294RPM未満になるとALERTを吐きます。
(どこかのマニュアルに書いてあったのですが出典を見つけられず・・・。 参考ツイート)
そのため、回転数が5294RPM以上の静音ファンを探さなければなりません。
該当する商品はこちらでした。
こちらの商品は4pinなのですが、3pin稼働でも動くことがマニュアルにて明記されています。
出典:https://noctua.at/pub/media/blfa_files/manual/noctua_nf_a4x10_5v_pwm_manual_en_web.pdf
3pin版も売っていますが、3pin版は回転数が少ないため、あえて4pin版を選択。
特徴としては以下の通りです。
- 5V稼働
- 幅 10mm
- 電力 0.35W
- ノイズ 19.6dB
- 回転数 5000rpm +- 10%
幅は10mmと多少小さいのですが、IX3110においては金具固定のため特に問題ありませんでした。
問題は回転数が4500-5500rpmのため、運が悪いとアラートが出てしまいます。
今のところ私の環境ではアラートが出ず、回転数は閾値を上回っています。
電源ユニットファン
こちらは、正常にファンが回っていればアラートが出ませんでした。
もしかしたら回転数アラート閾値があるかもしれませんが、以下のファンは問題ありませんでした。
- ノクチュア Noctua NF-A4x10 PWM - 4ピン 5000rpm 40mm 冷却ファン 2123円
販売元:TechAce
詳細仕様:Noctua - アイネックス(AINEX) ケース用ファン40mm 薄型静音タイプ CFY-40SA 811円
販売元:Amazon
詳細仕様:AINEX
上記2つはどちらも換装して動作に問題はありませんでした。
Noctuaは4pinファンですが、先ほどと同様3pinファンとしても利用することができます。
静音さにおいては、やはりNoctuaのほうが静かですが、価格差を考えると圧倒的にCFY-40SAの方がコスパがよく、CFY-40SAでも十分静かです。
なお、Noctuaはネジ固定不可・CFY-40SAはネジが干渉して下側2つがネジ固定不可な問題がありますが、両者ともしっかり固定はできているので問題なしとしています。
ていねいな換装方法
ファン自体の線を切らず、別の機器に使いまわせるようにを目標に換装します。
本体ファン
IX3110のファンコネクタがPHコネクタのため、Noctuaファン端子(通常の3pinファン端子)をどうにかしてPHコネクタに変換してあげる必要があります。
Noctuaファンの線をぶった切って直接PHコネクタを作成してもいいのですが、Noctuaファンは高いので非破壊でできる方法をご紹介します。
まず以下の物を用意しましょう。
- PHコネクタ ハウジング 3P PHR-3
- PHコネクタ コンタクト SPH-002T-P0.5L
- 精密圧着ペンチ
- 【2.5mm】5240シリーズ プラグハウジング用コンタクトピン
- AWG24くらいの適当な線材
5V Noctuaファンには、オムニジョイン・アダプターセットがついてきます。
これは通常の3pinファンコネクタから、電源線の2線のみを引き出してくれるアダプタです。
今回はファン回転数を把握する通信線が必要なので、もう1つ線を引き出します。
【2.5mm】5240シリーズ プラグハウジング用コンタクトピンに線材を精密圧着ペンチで圧着し、アダプタにハウジングを挿入して3pinを引き出せるようにします。
その後、引き出された3線をPHコネクタ コンタクト SPH-002T-P0.5Lに精密圧着ペンチで圧着し、PHコネクタ ハウジング 3P PHR-3に収容します。(ピンアサインに注意)
Noctuaファンとこのアダプタを接続し、IX3110に接続した様子がこちら。
Noctuaファン自体は触っていないため、IX3110が不要になったら別の機器に使いまわすことができます。
電源ユニットファン
こちらは通常の3pinファンコネクタのため、コネクタはこのままで問題ないのですが、なんと電源ユニット側は電源ピンの極性が入れ替わっています。
そのため、NoctuaファンもCFY-40SAもコネクタの極性を入れ替えてあげる必要があります。
ファンのピンアサインはこちらが参考になります。
CFY-40SAの場合は、赤線と白線を入れ替えてあげれば大丈夫です。
端子の背面の穴の中で、外したい端子がある部分を爪楊枝やSIMピン等の細いもので押しながら抜いて、入れ替えてあげましょう。
おわりに
以上FANの丁寧な換装方法のご紹介でした。
静穏化するということは、ファンの回転数が必然的に落ちてしまっていますので熱管理にはお気を付けください。
利用ができたハウジングやコンタクトのURLも上記の通りですのでご参考になれば幸いです。
これをもってIX3110静穏化計画は終了です。(2か月くらいのんびりやってました)