読んだ本について
Kotlinスタートブック -新しいAndroidプログラミング
- 著者:長澤太郎
- 出版:2016年7月
想定環境
- Kotlin 1.0.2
- IntelliJ IDEA Community Edition 2016.1
- Android Studio 2.0.0
参考
- 「Kotlinスタートブック - 新しいAndroidプログラミング」を執筆したよ〜
- 読んだ : Kotlin スタートブック ― 新しい Android プログラミング / 長澤 太郎 著
- 【書評】KotlinスタートブックはKotlin開発の基準になる
感想
きっかけ
もともとKotlinのことが好きで、公式リファレンスを読んだりQiita記事を読んだりして勉強してました。そんななかAndroidがKotlinを公式サポートするようになって、ふと立ち寄った普通の本屋さんでこの本がPOP付きで推されていたので、思わず買ってしまった次第です。
第1部:初めてのKotlin
Kotlinの特徴や開発環境の導入方法が非常にコンパクトにまとめられています。入門書にありがちな、クソほどどうでもいい導入手順を大量のスクリーンショットと共に説明していたりすることがないので、ストレスなく読み進められました。冒頭にも書いてありますが、対象読者がJavaやAndroidを知っている人なので、それらからの差分だけ効率的に吸収したい人にとってはとてもいい本だと思います。
特に、第3章のKotlinガイドツアーでは、Kotlinの特徴をふんだんに反映したサンプルプログラムが記載されています。とりあえずKotlinの学習をしようか迷っている人はこの章だけでも読んで、Kotlinのスマートさを体験してみるといいと思います。
第2部:Kotlin文法詳細
公式リファレンスに書かれている内容を、日本語の詳しい解説付きで説明されているようなイメージです。サンプルコードもページ内に記載されているので理解の進みが早いです。個人的には変位(Variance)の話は英語のリファレンスを読んでもイマイチ分からなかったんですけど、これで分かったような気がします。そして、これも冒頭に書いてあることですが、基本的な文法は第1部にコンパクトにまとめられているので、その知識とJavaの知識さえあればKotlinが書けるような構成になっています。第2部の内容はより深く知りたい人向けという感じです。
ただ、この本が執筆された当時のバージョンは1.0.2で、今は1.1.2-5なので、いくつかの細々したトピックについては後から補完しておきましょう。
第3部:サンプルプログラミング
Kotlinを使ったAndroidアプリのサンプルが紹介されています。Kotlinが公式の開発言語となったのでとても需要の高い内容になっていると思います。Android開発経験者を対象としている割には少し導入部分が丁寧すぎるかなとも思いましたが、Kotlinらしい書き方とその効果について詳しく説明があるのでとても勉強になります。
後半は、既存のライブラリ(Retrofit・RxAndroid・GSON・Glide・RxLifecycle・Espresso・Dagger2・Mockito・Kotter Knife・Kotlin Android Extensions・Data Binding・Anko)をKotlinから呼び出す際のサンプルが紹介されています。そもそも私の場合はそれらの半分も使ったことがないので、Kotlin以前にライブラリの使い方が動くサンプル付きで勉強できたのでよかったです。
Appendix
細々したTipsや一覧表が載っています。どこまで網羅されているかは分かりませんが、JavaとKotlinを共存させる際の注意点についてもまとめられているので、Javaで書いているプロジェクトはそのままに、徐々にKotlinで書いたクラスを導入していくといった使い方も可能になります。
まとめ
Kotlinとは何かを知りたい人・がっつり勉強がしたい人・Androidの開発に使いたい人、どんな人にも役に立つ1冊だと思いました。オススメです。
ところで、表紙にある赤べこってなんなんでしょうか。あと、この本は界隈では「赤べこ本」とか呼ばれているんでしょうか。「Kotlinやるんだったら赤べこ本は必携だよね~」とか言って恥をかかないか心配です。