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Symbolic Breakpoint を使って画面遷移毎に表示中のビューコントローラのクラス名を表示する

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モチベーション

『画面遷移ごとに表示中のビューコントローラのクラス名を確認したい』

画面構成とビューコントローラクラス名の関係を把握していない場合など、
上記のような場面に遭遇することがあります。

各ビューコントローラクラスにログ出力処理を仕込んだり、
その後、不要になったログ出力処理を削除するのは面倒です。

このような問題を解決する方法として、
Symbolic Breakpoint を利用した方法を紹介したいと思います。

Symbolic Breakpoint

Symbolic Breakpoint とは特定のメソッドが呼び出されたときブレークさせるためのブレークポイントです。

ブレークポイントを追加する

Breakpoint navigator を表示して、 Symbolic Breakpoint... から追加します。

スクリーンショット 2018-07-28 18.36.47.png

次に、追加されたブレークポイントをダブルクリックして Symbol を指定します。
例えば、Symbol として -[UIViewController viewDidLoad] を指定した場合は、
全ての UIViewController の viewDidLoad でブレークさせることができます。

スクリーンショット 2018-07-28 18.39.37.png

$arg1, $arg2, $arg3

Symbolic Breakpoint でブレークすると次のオブジェクトを参照することができます。

変数 意味
$arg1 メッセージのレシーバ
$arg2 メッセージ
$arg3 メッセージの引数

例えば、Symbol として -[UIViewController viewDidLoad] を指定した場合は
$arg1 には UIViewController のオブジェクト、 $arg2 には viewDidLoad が設定されます。
viewDidLoad は引数を取らないので $arg3nil です。

Symbolic Breakpoint でブレークした際に、
lldb でオブジェクトの description を表示する場合は次のように操作します。

(lldb) po $arg1
<<クラス名>: アドレス>

(lldb) po (SEL)$arg2
"viewDidLoad"

(lldb) po $arg3
<nil>

スクリーンショット 2018-07-28 18.43.54.png

ブレークポイント通過時に LLDB コマンドを実行する

ブレークポイントで停止させずに自動で通過させて、通過したタイミングで LLDB コマンドを自動で実行させることもできます。

Automatically continue after evaluating actions にチェックを入れて、
add action で po $arg1 を設定します。

スクリーンショット 2018-07-29 13.55.33.png

これでブレークポイントで停止せずに、通過したタイミングで po $arg1 が実行されます。

output.gif

画面遷移のタイミングでクラス名を表示させる

それでは本題です。

Symbol に -[UIViewController viewDidAppear:] を設定します。
$arg1$arg2 は、フォーマットして出力した方が見やすいので、次のような NSString オブジェクトで出力してみます。

po [[NSString alloc] initWithFormat:@"🔰🔰🔰 %@ -[%@ %s]", [NSDate date], $arg1, $arg2]

これを Symbolic Breakpoint の Action の Debugger Command として設定します。

あとは、コンソールを 🔰🔰🔰 でフィルタするなどすれば、
viewDidAppear の都度、ビューコントローラクラス名などを確認することができるようになります。

viewDidAppear.gif

独自の LLDB コマンドとして定義する

ブレークポイント追加のたびに po [[NSString alloc] 〜 と記述するのは面倒なので、
これを独自コマンド pm (print method) として定義します。

独自コマンドの定義の仕方は次の通りです。

  • 独自コマンドを定義した python スクリプトを作成
  • python スクリプトを ~/.lldbinit-Xcode( または ~/.lldbinit )で読込む

python スクリプトを作成

独自コマンドを定義した python スクリプトを作成します。
今回は ~/.lldb/ 配下に print_method.py として作成しました。

~/.lldb/print_method.py
# coding: utf-8
#!/usr/bin/python

import lldb
import commands
import os

# name: pm(print method)
command_name = "pm"
# implementation: print -[<ClassName: address> message]
command_implementation = "po [[NSString alloc] initWithFormat:@\"🔰🔰🔰 %@ -[%@ %s]\", [NSDate date], $arg1, $arg2]"

def cmd(debugger, command, result, dict):
    debugger.HandleCommand(command_implementation)

def __lldb_init_module(debugger, internal_dict):
    function = cmd.__name__
    file_name = os.path.basename(__file__).split(".")[0]
    debugger.HandleCommand("command script add -f %s.%s %s" % (file_name, function, command_name))

~/.lldbinit-Xcode で読込む

先に作成した python スクリプトを ~/.lldbinit-Xcode に読み込ませます。

~/.lldbinit-Xcode
command script import ~/.lldb/print_method.py

その後 Xcode を再起動します。

再起動することで、 .lldbinit-Xcode が読み込まれて、
LLDB デバッガで独自コマンド pm が使用可能になります。

そして、独自コマンドは Symbolic Breakpoint の Action として使用することもできます。
これで、ブレークポイントの設定の手間を省くことができました。

Symbolic Breakpoint に独自コマンドを設定する

独自コマンド pm が使えるようになったので、Debbuger Command に pm と設定するだけで
ビューコントローラクラス名をコンソール出力できるようになりました。

スクリーンショット 2018-07-29 14.34.06.png

pmviewDidAppear に限らず、任意の Objective-C オブジェクトの任意のメソッドで利用できるので、
工夫次第で、Symbolic Breakpoint を利用する際の便利なツールになると思います。

ということで、Symbolic Breakpoint を使ってデバッグライフを楽しみましょう。

参考

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