はじめに
本記事はリンクアンドモチベーションAdvent Calendar 2023の16日目になります。
プロダクトマネジャーをしている武田です。
これまで私はプロダクトマネジメントをする立場として、エンジニアやデザイナーと仕様のすり合わせをほぼ毎日行ってきました。
意思決定してもらう立場として、自分が仕様を決めるために準備をしていたこと、
意思決定する立場として、こんな人とはスムーズに決められるなと思うポイントをまとめました。
意思決定のフレームワーク
複数の選択肢から1つを決めるときは、意思決定マトリクスを使うと効果的です。
選択肢と判断軸を整理して、それぞれの選択肢を評価することで、最も良い選択肢を決めることができます。
選択肢A | 選択肢B | 選択肢C | ||
---|---|---|---|---|
判断軸① | must | ◯ | ◯ | × |
判断軸② | want(高) | ◯ | △ | ◯ |
判断軸③ | want | △ | × | ○ |
仕様を決めるためのポイント
1.実現したいことを理解する
「仕様を決めること」を目的にせずに、課題やゴールから考えることが非常に重要です。
- 今回のPJTで何を解決したいのか?
- 今何で顧客は困っているのか?
- 得たい成果(アウトカム)は何なのか?
- それはなぜか?
を理解することで、最適解を考えられることができるようになります。
2.仕様を決めるための論点を明確にできる
先ほどの意思決定マトリクスに沿って考えると、
- 選択肢にもれがないか?
- 判断軸にもれがないか?
- 判断軸の優先度(must/want)は適切か?
- それぞれの評価は適切か?
が決まれば意思決定ができるようになっています。
その上で、人によって判断が分かれそうなことを事前に整理して、何が決まれば決まるか?(論点)を明確にすることで、議論をスムーズに進めることができるようになります。
また、複数の論点を1つにまとめて扱う場合は議論が複雑になりがちなので、1つずつどの順番で決めると良いかを考えることも効果的です。例えば、複数の選択肢を選ぶ論点ではなく、YesかNoの2択で答えられる論点にすることで、議論の複雑性を縮減することができます。
3.仕様決定の上で、前提条件を明示する
例えば、どの時間軸(ステップ)で開発するのか、今回開発するスコープはどこなのかなど、論点の対象外になることを明示することで、思考の幅を狭めて決めることだけに集中して議論できるようになります。
4.顧客と開発者の両方の視点から考える
判断軸をもれなく洗い出すためには、ユーザーと開発者のそれぞれの視点で考えることが必要です。
技術的負債や開発工数に注目しすぎてたり、逆に顧客のことだけを考えて何でもできる仕様になりすぎずに、両面から考えることができていると、合理的な意思決定ができます。
5.想像ではなく、ファクトを見る
空論で決めるといざリリースしてから、想定してないことに気づくことになります。
正しい情報で判断するためにも、顧客の利用状況のデータを見たり、意図しない使い方をしている場合に、どんな理由で使っているのかヒアリングすることが大事です。
頼りになるエンジニアは、利用状況ってどうですか?と聞くとパッとデータを出してくれてとてもありがたいと感じています。
6.文字だけではなく、図解を使う
「百聞は一見に如かず」という言葉がある通り、文章だけだとわかりづらいことも、視覚的に表現することで、早く正確に相手に伝えることができます。何でも作りすぎると時間がかかってしまいますので、効果的な時に絞ってやることをオススメします。
議論をする上で心がけていること
「たたき台」を作る人にはリスペクトを
仕様を決定する上で、いろんな視点で考えることが重要です。
選択肢をもれなく出して、決めるための観点を出して、最も良い選択肢の理由を考えて、
と突き詰めれば詰めるだけ、労力と時間がかかります。
その思考をみんながショートカットできるように、「叩き」をつくる人にリスペクトを持つことが大事だと思います。
イチがなければ、議論もフィードバックもできないわけで、その第一歩にしっかりコミットしてくれたことにリスペクトをすることが超絶大事なんですよ。
意思決定ができない(進まない)理由は大きく3つ
- 決める「人」が明確でない
- 「決め方」が決まっていない
- 決めるための「情報」が足りない、整理されていない
どれかが欠けていると決まらず、経験上ほとんどが3つ目に起因していることが多いです。
逆にうまく情報を集め、整理できると意思決定はスムーズに進みます。
おわりに
最後まで読んできただき、ありがとうございました。少しでも何か参考になっていれば幸いです。
社内の議論は必要な分だけにして、顧客に向き合う時間を増やすことがチームにとっても顧客にとっても良いことだと信じています。