はじめに
はじめまして!!今年2022年4月にLITALICOに中途入社した@take_takehiroと申します。LITALICOに入社するまではLITALICOが就労移行支援のサービス展開するLITALICOワークス(以下、ワークス)にて、約1年半の訓練生活の日々を送ってました。この記事では「LITALICOワークスでの思い出と社会復帰出来て感じていること」というタイトルにて、ワークスに通う直前から現在に至るまでのこと、社会復帰をしてから今思うことをお話します。ホットココアを飲みながら、ゆる~い気持ちで読んで頂けると嬉しいです。
おことわり
この記事では、精神障害のことや就労移行支援のことなどを記載しておりますが、あくまで「私はこうだった」という内容になります。「ここは違う」「一般的にはこうだ」「自分はこう思っている」といったご意見があるかと思いますので、そういった「認識の違い」も含めて読んで頂きますと幸いです。
そもそも「就労移行支援」って何?
皆さん「就労移行支援」という言葉を聞いて、どんな印象がありますか。文字通り「働くことに関して何かを支援する」という印象はあるかと思いますが、「何か」が人によって違うと思います。もちろん「自分には関係ないかも」「そもそも知らない」という意見もあるかもしれません。かつての私もその一人でした。就労移行支援の主なサービス内容とは、厚生労働省のHPによると下記の内容の通りとなります。
- 一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる者(65歳未満の者)に対し
- 一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援
- 通所によるサービスを原則としつつ、個別支援計画の進捗状況に応じ、職場訪問等によるサービスを組み合わせた支援
- 利用者ごとに、標準期間(24ヶ月)内での利用
逆を言ってしまえば、これ以上の決まった内容はないため、具体的な支援方針は支援事業所によって異なります。支援事業所ごとで風土が異なるので、就労移行支援を利用する方は、利用前に複数の支援事業所を見学することが一般的です。私もワークスを含め、3ヶ所の見学をしました。支援方針の違いについて、一例を下記に記します。
- 利用者数に対して
- 少人数制を採用することで、利用者一人ひとりへのサポートを充実させる
- 大人数性を採用することで、働き始めた時の人の多さに慣れる(実際には支援事業所ごとに定員があり、定員以上の利用者が同時利用することは出来ません)
- 服装に対して
- スーツ着用をルール化することで、「スーツを着ることに対するストレスに慣れる」ことを目指す
- 私服での利用を認めることで、支援事業所を利用することに対するストレスを少しでも減らす
- 訓練日について
- 平日は必ず訓練日とし、利用者が働き始めてからの体力作りに貢献する
- 訓練日を利用者が自由に設定出来ることで、利用者のモチベーションに寄り添う
- 訓練時間について
- 朝から夕方まで事業所で活動する時間を設定することで、事業所主導で就業に向けた体力強化を行う
- 1日の中でも事業所で活動する時間を少なめにすることで、残った時間で各利用者自身の努力を促す
ネットサーフィンをしていると「就労移行支援を利用したが、業務スキルを身につけることが出来なかったから、就労移行支援は意味がない」といった内容を目にすることがあります。私の見解として、就労移行支援とは業務スキルを身につける場所ではなく「利用者が社会復帰のために出来ることを広げていく場所、利用者の長所に合わせた仕事を探すサポートをする場所」と考えてます。もちろん、業務スキルを磨く機会はいくつかありますが、就労後の職場定着が最優先事項であるため、業務スキルよりも職場定着に向けて大事なことに取り組む場所なのかなと思っています。業務スキルを身につけるとしたら、就労移行支援より、ハローワークが行っている職業訓練が適切なのかもしれません。
ワークス利用開始に至るまで
長いブランク期間において「社会復帰のために就労移行支援を利用する」ということは、当時の私にとっては、簡単に受け入れられることではありませんでした。それには2つの理由があります。
就労移行支援を利用するということ
前職は一般採用で入社し、ある程度の忙しさをもって仕事をしていました。当時の私は障害者に対する認識も低く、就労移行支援とは無縁の世界で生きていた印象です。悪い言葉ですが「就労移行支援は社会のレールから踏み外した人が通う場所」という印象でした。
精神的に大きく体調を崩し退職してからは、再就職はおろか社会復帰すら困難な状況になります。その後、病院やカウンセリングを利用していくうちに「就労移行支援を利用してみよう」ということになりました。先に記した印象があった分、最初は抵抗がありましたが、何も対策をせずに再就職したところで、すぐにリタイアする可能性が非常に高い状態でした。その後、複数の就労移行支援の見学や相談を重ねることで、時間をかけて社会復帰をしようと決心することが出来ました。
障害者手帳を持つということ
多くの就労移行支援では障害者手帳を持つことを推奨しています。これは憶測ですが、就労移行支援を利用して就職する場合「障害者採用枠」で入社することが多いため、それならば障害者手帳を持っていた方が就活がスムーズに行きやすい、ということだと思います。実際、障害者手帳を持っていても、その事実を開示する義務はないので、障害者手帳の話をせずに一般採用で就活することは可能です。
障害者手帳を持つことにより、世の中的にも「あなたは障害者です」と認められることになります。先にも記した通り、障害者手帳の開示は義務ではありませんが、持っている事実には変わりないので、真っ先によぎったのが「息子が障害者であると正式に認められることが、両親にとっては大きな心理的重荷になるのではないか」ということでした。ただし、両親は「障害者手帳を持つことが安心して過ごす手段になるのであれば、そのことに対して否定要素はないし、大いに賛成」と言ってもらえたので、ワークスの利用を決めてから、速やかに障害者手帳の申請をすることが出来ました。
余談ですが、障害者手帳を持つことで日常生活において様々な利点があります!!映画料金が半額近くになったり、ミュージアムの入場料が無料になったりなど、使い道を分かっていたら色々と便利です(笑)。
ワークスではどんなことをしていたか
先述した通り、それぞれの就労移行支援事業所で支援方法は異なりますが、大きく分けて私はワークスでは下記3つを経験しました。
身体的・精神的な体力作り
私には、前職を退社してからワークスを利用するまでおよそ1年半程度のブランク期間があり、その期間は病院とカウンセリングに通う以外は基本的に家に引きこもっていました。誰とも関わらず一人で過ごす時間が長くなったことで、生活リズムが大きく崩れ、外的要因の様々なストレスにも過敏になりました。特に、人混みの中にいたり、小さい子どもの大きな声や泣き声が聞こえると極端に体調が悪くなりました。
今となっては当たり前のように乗れる通勤電車にも乗ることが出来なかったので、「まずは決まった時間にベッドに入ろう」「決まった時間に起きてみよう」「日中寝ないで活動する時間を延ばしてみよう」「図書館で過ごしてみよう」「少し混んでいる電車に乗ってみよう」といった感じに少しずつ負荷を大きくして慣れるということを繰り返しました。一見簡単そうにみえることですが、当時の私にとっては、一つ一つを克服するのが非常に大変だったのを覚えています。
職場実習を通してどんな仕事をしたいか
就労移行支援のサービスの一つとして「職場実習」というものがあります。これは「利用者が職場実習を受け入れている企業に実習生として参加して、実際に仕事を行う」というものです。実習先は事業所が決める場合と利用者が決める場合があると思いますが、ワークスでは利用者が実習先を選べるようになってます。
体調が少しずつ安定し、実習や就活を考えるようになってからは、漠然と「福祉に関わる仕事がしたい」と思い、福祉系の会社での実習に参加しました。実習を経験することで「社会復帰しても働けそう」と思えたのは大きな自信となりました。その後「オフィスビルで実習をしてみたい」「前職で行ったIT業務について実習を通して再確認したい」と思い、結果的に5社以上の職場実習に参加しました。この経験を通して「福祉×ITの仕事がしたい」という決心をつけることが出来ました。これが結果としてLITALICOを志望し入社することにつながります。
自分の良さを認識して自信につなげる
私の印象として、過去に苦しい思いをして就労移行支援を利用される方は「自分は不必要な人間」と思い込む傾向にあるように感じています。逆を言えば自分以外の誰かの長所を素直に認めているということになると思いますが、過度に自分自身を下げた評価をすることは良いとは言えない状況だと思います。まずは自分自身に対する評価を少しでも良い方向に持っていくことが大切です。
ただし、利用者にとって「自分自身に良い評価をする」ということは非常に難しいので、様々なサービスだったり、スタッフや他利用者との会話を通して、自分自身の良さを認識して自信をつけていくようにします。良さというのは些細なことでも問題なく、例えば「時間を守れる」「笑顔が良い」といった点も非常に良いポイントです。「自分の良さを認識する」ということは、誰にとっても有益だと思うので、ぜひこの機会にご自身を振り返ってみるのはいかがでしょうか。
LITALICOに入社してから現在に至るまで
ワークスに通っていた時の目標は「安心して長く働くこと」でした。4月1日の入社日は「社会人再出発のわくわく」と共に「また壊れたらどうしようという不安」が交差していたのを今でも覚えています。入社日から1週間、1ヶ月、3ヶ月、半年と経過していくうちに「社会人再出発のわくわく」は「みんなと同じように働ける喜び」に少しずつ変わつつありますが、「また壊れたらどうしようという不安」は全く変わらずに残っています。不安は小さくなるものだと思っていたので、その点は残念だし、一生向き合うかもと思うと大きい不安だったりします。
LITALICOでは「障害のない社会をつくる」というビジョンにて活動をしています。障害者手帳を持つ私が障害のない社会を作る一員になれたということは、非常に大きな嬉しさがありました。同時に「また壊れたらどうしようという不安」は、苦しんでいる人たちの手助けになるためになるのではないかとも思えています。今は苦しんでいる方を直接支援する立場ではありませんが、就労移行支援の経験とIT職の立場を活かして、一人でも多くの苦しんでいる方の手助けになるようになれればと思ってます。
さいごに
誰しもが風邪をひく可能性があるのと同様に、誰しもが身体的または精神的に大きく体調を崩す可能性はあると思います。もしかしたら、仕事も出来ない状態になるかもしれません。就労移行支援は「社会復帰したい気持ちをサポートする場所」です。そこにいるスタッフの皆さまは、利用者全員が幸せになることを信じてサポートしてくださっています。誰かが社会復帰に苦しんでしまう時が訪れた時には、就労移行支援を検討するのはいかがでしょうか。
本当に最後ですが、私が利用したLITALICOワークスは本当に素晴らしい事業所です。現在LITALICOで働いている私が言うと営業トークになってしまいますが(笑)。もちろん、人によっては雰囲気などが合わないということもあると思いますが、就労移行支援の利用を検討されている方はぜひワークスを選択肢の一つにいれてもらえると良いなって思ってます!!今でもワークスで、サポートしてくださったスタッフや、一緒に頑張った他利用者と過ごした時間は大切な思い出です。それがあるからこそ、今まで安定して働くことが出来ていると思っています。私の社会復帰に関わってくださった皆さまに、本当に感謝いっぱいです!!