前書き
『「運」という不確実なものについて、世の先人たちが語る「運」には、ある種の共通項があるのではないか?』
毎日続けている読書感想文「1日1話」の記事の読書の中で、何度か「運」について語る先人たちの記事を読んできた私は、「運」について語る記事について「運シリーズ」というタグを振る感想文をQiitaの中でも書くことを始めた。
先人たちが語る「共通項」について考察し、エンジニアとして、人間として生きるためのヒントを掴もうというためである。
今日読んだ記事、致知出版社『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』の【8月18日】目。ナノテクノロジーの第一人者 片岡一則さんの記事、
彼が語る**「成功の法則」**の中でも運が語られていたので「運シリーズ」として紹介させていただく。
本題 【8月18日】 頭の強い人と弱い人
片岡一則 ナノ医療イノベーションセンター センター長
片岡一則。日本のナノテクノロジーの第一人者。工学博士。東大名誉教授。
ナノマシン技術を応用した薬剤デリバリーシステムの開発、高分子ナノテクノロジーを利用した再生医療の研究・指導に従事。
がんの治療薬、新型コロナワクチンの開発のバックアップを行うナノキャリアの創業者でもある。
1950年生まれ。御年70歳。
片岡が語るのは、「頭の強い人・弱い人」について。頭の「良い・悪い」ではない。
「頭の強い人であれ」と。そして、「運」についても語っている。運を掴むうえで大事なことが三つあるという。
『僕はよく学生に言うんです。「東大生は頭はいい。でも、頭の弱い人がたくさんいる。頭の弱い人にはなるな」って。
頭はいいからいろんな知識を持っていますよね。そうすると、何か壁に直面した時に、これをやってもうまくいかないんじゃないかと思って、なぜできないかってことを滔々(とうとう)と語るわけです。で、違うことを次にやり始める。それを繰り返して、結局一つのことに執着できなくなり、評論家になってしまう。そういう人は頭が弱い。
だから、頭はいいけど頭が弱い、これは少なくとも研究者としては最悪なんです。当然、頭がいいに越したことはない。ただ、やっぱり頭が強くなければなりません。絶対に諦めない、ブレないという姿勢でやっていると、必ず見るかるんですよ、一見何もないようなところから宝の山がね。
しかしこれは紙一重で、間違っていることをやり続けても、単なる頑固者で終わってしまう。そこはもう、センスと運でしょうね。よく「幸運の女神には前髪しかない。だから前髪を掴め」と言いますけど、いつもそういう意識でいるように心掛けています。』
職業としての評論家の皆さんの悪口を言っている訳ではない。片岡の教え子たち、東大の研究者を目指す若者たちに言っているコトバだ。
ふむ。確かに知識がある分、頭の中であれこれ予想できるんだろう。それも周りの人を論破できるくらいの論理的な理由を並べることが出来るので、誰も反論できない。
このような人、東大生じゃあなくても、あなたの周りにもいないだろうか?そして、あなた自身にも身に覚えはないだろうか?
出来ない理由を並べて、諦めてしまうことが。
あと、逆に、自分のやりたいことに拘り続け、いつまでも諦めずにやり続ける、周りの人がもういいよ、止めなよといっても頑として耳を貸さない。そういうことも。
極端な話、どっちもどっちであるが、「研究者」の目的である、新しい発想や成果を生み出すためには「頭の強い人であれ」という。
それは、「絶対に諦めない、ブレない」という「強い意志」であった。
そして、片岡は、頑固者で終わらないためには、センスと運も必要だという。片岡は次に**「運を掴むうえで大事な三つ」** を語る。
『目の前の出来事を素直に受け止める、情熱を持ち続ける、それから常に明るい。この三つが運を掴むうえで大事だと思います。
実はこれは、有機化学の権威で文化勲章を受章された向山光昭(むかいやまてるあき)という先生がいまして、僕が学生の時にその先生が授業の中で語った言葉をベースにしているんですね。
「実験結果をありのまま見る素直さ、絶対に成し遂げるという情熱、何度失敗してもめげない明るさ。この素直さ、情熱、明るさが有機化学者としての成功する条件だ」
僕はこの言葉がものすごく心に響きました。だから、これだけはいまも鮮明に覚えているんです。おそらくこれは有機化学者のみならず、どんな職業分野の人にも当てはまる法則だと思います。』
「素直・情熱・明るさ」。日本のナノテクノロジーの第一人者、片岡一則が語る「運を掴むうえで大事な三つ」とは。
それは、人として誰からも褒められるべき性格・素養、自分の心持ちであった。とてもシンプルなことであった。子どもの頃は誰もが持っていたものである。
だが、しかし。大人はそれを忘れてしまいがちだ。知識を蓄えて、大人になっても、無くしちゃいけないものなんだなと。
私もあらためて、心に刻もうと思った。
(参考)
片岡一則 -Wiki
企業情報 -ナノキャリア株式会社
後書き
以上、「運シリーズ」第5弾、ナノテク第一人者が考える「運」とはっ! でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
よろしければ、過去の「運シリーズ」も読んでいただければ幸いです。