前書き
『「運」という不確実なものについて、世の先人たちが語る「運」には、ある種の共通項があるのではないか?』
毎日続けている読書感想文「1日1話」の記事の読書の中で、何度か「運」について語る先人たちの記事を読んできた私は、「運」について語る記事について「運シリーズ」というタグを振る感想文をQiitaの中でも書くことを始めた。
先人たちが語る「共通項」について考察し、エンジニアとして、人間として生きるためのヒントを掴もうというためである。
今日読んだ記事、致知出版社『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』の【10月1日】目。元サッカー日本代表監督の岡田武史さんの記事。
現在は、JFAの理事の他、自らJリーグ入りを目指すサッカーチームFC今治のオーナーとしても活躍する「岡ちゃん」の語る「運」を紹介させていただきます。
本題【10月1日】 勝負の神様は細部に宿る 岡田武史 日本サッカー協会理事・サッカー日本代表前監督
岡田武史。サッカー指導者。1998年の仏W杯では日本代表監督として初めてW杯出場を果たす。
あのジョホールバルの歓喜は、名将加茂周監督の更迭によりコーチから監督に昇格した無名の岡ちゃんの人生の転機だっただろう。
1956年生まれ。御年65歳。
この記事は2011年1月号の雑誌「致知」の対談記事。南アフリカW杯で再び監督の指揮を執った岡田が振り返る。岡田が語るのは「運」を掴むためにやるべきこと。
おお、「運」シリーズだ。岡田は『いつも選手に言うこと』、『ずっと言ってきたこと』として、2つの持論を語っている。
これはいつも選手に言うことですが、「運」というものは誰にでも、どこにでも流れていて、それを掴むかつかみ損ねるかだと。僕は掴み損ねたくないから、そのために本当にベストを尽くしてきた。
だから今回も睡眠時間は平均四時間くらいで、深夜二時、三時まで必死に試合のビデオを見て、また翌日の練習に臨むという生活を続けました。そうして必死になってやっていると、最後は神様がご褒美をくれるんです。
要するに、自分にできる限りの準備は全部する。その後の勝負の結果についてはもう分からない部分ですから。
それともう一つ、ずっと言ってきたことですが、「勝負の神様は細部に宿る」と。勝ち負けが決まると、マスコミの人はいろんな戦術論を並べ立てるんですが、僕は感覚的に八割ぐらいは「小さなこと」が勝負を分けているように思うんです。
だから僕は、細かいことにものすごくうるさいんですよ。
おまえがあそこでたった一回、「まぁ、いいか」とか「これぐらいで大丈夫だろう」と気を抜いたために、運を掴み損ね、W杯へ行けなくなってしまった。そんなふうに運を掴み損ねたくなかったら、どんな小さなこともすべてきちっとやれ、と。
で、今回、選手たちはそれをちゃんとやってくれたんですよ。そうやって運を掴み損ねなかったから、あそこまで行けたんだと思うんですよね。
ふむ。岡ちゃんの自らの実体験を物語るような持論である。
Wikiによると、岡ちゃんは当初加茂ジャパンのコーチを固辞したらしい。
まだ無名のコーチで加茂さんとも面識はなかったという。
当時ジェフのコーチをしていたが、ジェフ監督の清雲さんが加茂監督や岡田自身にも熱心に勧めたという。
サッカー指導者として最初の「運」を掴み取った瞬間かもしれない。
その後、加茂監督の更迭による代表監督へのスライド就任。当時は臨時としての監督だったが、チームは勝ち続け、とうとうジョホールバルで初のW杯出場を決めた。
『「運」というものは誰にでも、どこにでも流れていて、それを掴むかつかみ損ねるかだ』 という岡ちゃんの言葉に説得力が増す。
さらに『僕は掴み損ねたくないから、そのために本当にベストを尽くしてきた。』という岡ちゃんを、周りの人もちゃんと見ていたのだろう。
そして、岡ちゃんはいつでも準備OKなのだから、特別なウォーミングアップは不要なのである。既に掴んだ「運」に対する準備は出来ている訳だ。
また岡ちゃんはこのように語っている。『「勝負の神様は細部に宿る」』 と。勝負の結果については神様にしか分からないけれども、神様はひとつひとつの「小さなこと」を見ているんだよ、 と。
だから、ほんの小さいこと、細かい事にも妥協せずに気を抜くなと言っている。運を掴み損ねるぞ、と。
これはサッカー愛好家であれば、サッカーの試合を見ていると分かるかも知れない。一つのミス、一つのパス、一つの選択が試合を決定づける得点につながることがサッカーには往々にしてある
選手も人間だから油断するし、楽もしたい。だが、しかし。それは相手チームも同じなのである。そして、レギュラー争いをする選手たちだけではなく、ともに戦うコーチや監督も同じなのである。
岡田はプロの指導者として、サッカーの技術、戦術だけではなく、そういう人間の性質、気持ち、メンタルも指導していた。
岡田が語る「運」とは、 自分自身が望むことに対して常にベストを尽くしたとしても100%掴み取れるとは言えないもののこと。」
サッカーでいうと、試合での勝利であったり、日本代表に選出されるだったり、その中でレギュラー選手となることだったり、か。
そして、その「運」はいつでもどこでも流れていて、それを逃さずに掴み取るためには、常にベストを尽くして油断するな、ということであった。
かなり手厳しいな。これが勝負師岡ちゃんの語る「運」である。
(参考)
岡田武史 -Wiki
後書き
以上、「運シリーズ」第7弾、元サッカー日本代表監督が語る「運」とはっ! でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
よろしければ、過去の「運シリーズ」も読んでいただければ幸いです。