前書き
今日読んだ致知出版社『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』の一節。
新津春子さんという、清掃業のプロフェッショナルである方の記事に感銘した話である。
史上最年少で全国優勝した掃除の腕前らしい。
感銘したのは、その「視座の高さ」、「努力」、「プロとしての誇り」。
そして、自分のシゴトと重ね合わせ、自分自身、「自己満足」なシゴトをしていないか?と考えさせられた話であります。
皆さんにも共感するところがあるんじゃないかと思って、書いてみます。
本題 【7月27日】 断ったらプロじゃない
新津春子 日本空港テクノ所属環境マイスター
新津春子。羽田空港で清掃の仕事に携わり、ビルの清掃の全国大会で史上最年少で優勝した経歴を持つ。
中国残留孤児。掃除のプロとしての視座の高さにより、NHK「プロフェッショナル」にも出演した。著作や講演活動も行っている。
1970年生まれ。御年今年で51歳。
この記事は2016年の雑誌「致知」インタビュー記事。本の一部がネットにも掲載されていたので参考に付す。
本の前半部分はネットには掲載されていなかったが、その前半部分に感銘を受けた。
新津が清掃の全国大会の予選で「二位」の結果となったときに納得いかず、所属会社の常務に愚痴った話。
そして、その時の常務のコトバが、その後の新津を覚醒させた話。
『入社から三年経った時、私は全国ビルクリーニング技能競技会に会社の代表として出場することになりました。全国大会の前に予選大会があって、私としては百%出し尽くしたんですけど、二位だったんです。その結果に納得がいかなくて、常務に「何がいけないの?」ってぶつけると、ひと言「気持ちを込めていない」って。
私が「どうやって気持ちを込めるの?」と聞くと、「急ぐあまり道具を使ったらポンポン投げるように置いているでしょう。それが気持ちがないってことだよ。道具を作った人が見たらどう思う?」
もう返す言葉がありませんでした。
そこから全国大会までの二か月間、私は道具や物も人だと思って、使ったら「ありがとう」って言いながら置くようにしていきました。ただ、常務は「自分で考えろ」という感じで細かいことは教えてくれない。
「気持ちを込めるにはどうしたらいいか」って毎日考えていました。ある日、お客様の動きをずっと見ていると、答えが分かったんですよ。』
新津は、空港を利用する人々は、それぞれの年齢層や職業など多種多様であり、それぞれのタイプによって動きが違うことに気づいた。
『ということは、例えば同じテーブルを使うにしても汚れる場所、汚れ方はそれぞれ違ってくる。そうやって考えていくと、子供が使うとこう汚れるのか、ご年配の方の場合はこうだ、ということが分かってきて、使う人の事を見据えて掃除のやり方を工夫できるようになったんですよ。』
結果、見事全国大会で日本一を獲得する事ができたという。
『それからですね、自己満足の清掃ではなく、お客様のためにする清掃に転換したのは。「気持ちを込める」という自分に欠けていたものに気づいてから、清掃技術の向上だけに留まらず、もっともっと自分を高めていこうという意識に拍車がかかりました。一つずつ目標を立てて、努力して、達成して、また新たな目標を立てる。その喜びがやみつきになって、いつしか清掃の仕事が自分の居場所だと感じるようになりました。』
上記の新津のコトバは心に響いた。
皆さんも『清掃』の部分を、皆さんがされている『仕事』に置き換えてみてください。
新津が常務のコトバから得た気づき。
それは、
『自己満足の仕事からの脱却』である。『自己満足の清掃ではなく、お客様のためにする清掃に転換した』のだ。
それは、
『自分の仕事』の技術の向上だけに留まらず、『もっともっと自分を高めていこうという意識に拍車がかかる』のだ。
それは、
『一つずつ目標を立てて、努力して、達成して、また新たな目標を立てる。
その喜びがやみつきになって、いつしか〇〇の仕事が自分の居場所だと感じるようにな』るのだ。
新津は締めくくる。
『私たち空港の清掃員はお客様からいろんなことを頼まれるんです。だから、清掃とは関係ないことであっても、お客様から言われたことは断らないで全部やっていく。
そういうことは意識しています。
断ること自体が自分には許せないというか、断ったらプロじゃないと思うんですよね。もちろん私にはできないようなことも中にはあるわけですから、
それを断らないでやるためにはどうすればいいかって考えて、やっぱり日々プラスアルファの努力を積み重ねる。
あと、清掃に関しては、赤ちゃんが床でハイハイしても大丈夫なくらい綺麗にしようって心掛けているんです。
心を込めなければ綺麗にはできませんし、そこは妥協せずにやっています。どんな仕事でも心を込めてベストを尽くす。そうすることで、お客様は喜んでくれると思うの。』
新津さん、スーパーカッコよい、プロフェッショナルであった。僕は、敬意を表するッ!
(参考)