##前書き
著名なアスリート、経営者など多くの偉大な先人が「運」について語っている。
『「運」という不確実なものについて、世の先人たちが語る「運」には、ある種の共通項があるのではないか?』
毎日続けている読書感想文「1日1話」の記事の読書の中で、何度か「運」について語る先人たちの記事を読んできた私は、
「運」について語る記事について「運シリーズ」というタグを振る感想文をQiitaの中でも書くことを始めた。
先人たちが語る「共通項」について考察し、エンジニアとして、人間として生きるためのヒントを掴もうというためである。
今日の感想文はちょっと昔に読んだ記事、致知出版社『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』の【6月20日】目。雀鬼会会長の桜井章一さんの記事である。
当社のアドベントカレンダーの枠が空いていたので、もったいないと思い筆を取りました。
##本題 【6月20日】 準備、実行、後始末 桜井章一 雀鬼会会長
桜井章一。雀鬼だ。裏麻雀の世界で二十年間無敗のまま引退。その後、小島武夫の紹介で表舞台に現れ、
自らの哲学を布教する雀鬼会を設立。麻雀好きなら誰しもその名を聞いたことがあるだろう。
1943年生まれ。御年、78歳。
桜井が語るのは、『準備、実行、後始末』。人間として大事なことだという。雀鬼会でも弟子たちに教えていることだという。
『物事を行うということは、すべて「準備、実行、後始末」なんです。ところが、後始末をできる大人が、いまは皆無ですね。
そういうところから、子どもたちの大人に対する疑問や反抗心が起きていると私は思うんです。』
『「準備、実行、後始末」というのはワンクールなんです。ワンクールができるということは、簡単に言えば、しっかりしている、ちゃんとしているということじゃないですか。』
雀鬼会の麻雀ルールは特殊な掟がある。「第一打で字牌やドラを切ってはならない」、「打牌は二秒以内」とかだったか。
桜井を慕い、雀鬼会を訪れる雀士は絶えないという。雀士以外の有名人、業界人にも桜井のファンは多い。
『いま世の中って、点数だけを見ているじゃないですか。私はもっと、人生の基本というものを重視しているんです。
例えば、きょうは朝の十一時から大会だといったら、十一時に来るやつは遅刻です。十時半に来た子ですら、申し訳なさそうに入ってくるんですよ。』
『麻雀に限らず、例えば会の催しで皆で海なんかに行くと、私を含めて全員が、荷物だとかをパパパッと整理して帰っていく。』
『皆でソフトボールをやる時なんかも、後始末は必ずきちんとやります。(中略)別に私が「掃除をしっかりしろ」とか言ってるわけじゃないんですが、日ごろから麻雀で「準備、実行、後始末」の観念を教えていますから、それがどこに行っても出るんです。』
雀鬼会の麻雀勝負の理想は、「皆がプラスマイナスゼロ」になることだという。
『私は雀鬼会の弟子についても、打ってくれる相手に信頼される麻雀をしなさいと言っています。一般の麻雀というのは、迷惑をかけっこして、迷惑をかけられた人が負けていくんですよ。うちの麻雀は、キャッチボールでいえば、相手の胸に向かって一番捕りやすい球をお互いが投げ合うということ。
そこで初めて本当の勝負ができるんだ、と。』
桜井は麻雀を通して、弟子たちに人間哲学を教えているのだ。そして雀鬼会の弟子たちは麻雀も強いらしい。
ちなみに過去に全国の大会で雀鬼会メンバーが優勝したことがあるが、今は他流試合を禁止しているらしい。
え? 「運」について語ってないって?
そうなんです。麻雀って運の要素が多いにあるゲームですが、その麻雀で二十年間無敗の、そして、雀鬼会会長として麻雀を教えている桜井章一は、
「運」に頼っていませんでした。「準備・実行・後始末」が大事だと。人生の基本というものを重視していると。
##ネットの記事で見つけた、桜井章一が語った「運」
自らの哲学、強い信念を持つ桜井だが、桜井本人に言わせると「信念」とは危険な観念らしい。
ネットで見つけた桜井の記事によると、
「信念にこだわっていると、変化に柔軟に対応できなくなり、運の流れに乗れなくなってしまう」
という。
ここで「運」という言葉が出てきた。それは「運の流れ」という言葉だった。
そして、やはり桜井も、「自らの考え、行動」が運に乗れるか乗れないかに影響を及ぼすことを語っていた。
桜井曰く、
「信念を持つことは生き辛さや自由を縛り、マイナスの結果になる可能性が高いとすら感じている。」
なんだとか。
桜井が大事にしているもの。それは「遊び感覚」だという。
「信念は思考や行動に硬さをもたらすが、遊び感覚は反対に柔らかさをもたらしてくれる。
柔らかさは、人が変化していくうえでもっとも重要なもののひとつだ。人は歳を取るにつれて体も心も硬くなっていく。
だが、自然界では柔らかさを失うということは「死」を意味している。生命の最後において、変化することを否定し固まった状態は「死」にほかならない。
それを考えれば、「柔らかい」ことがどれほど大事かわかるだろう。
なるほど。裏麻雀という、きったはったのヤクザな世界で生き残れた、そして、表社会で「雀鬼」と崇拝されている桜井の人間性の一面を垣間見ることができた。
カネ、欲に執着することなく、いや、桜井も人間だから、カネ、欲望に多少なりとも執着していたのだろう。だが、しかし、カネ、欲に執着はするけれども、
それに執着している自分も含めて、そして周りの執着している人間たちのこともよく見えているのだろう。
強靭な精神力と俯瞰力、そして、柔らかい発想の遊び感覚。
欲望や向上心はあるが、自らが把握できないような強大な力・権力は望まない。人の道を外れた行動はしない、周りにもさせない。
人間の身の程をわきまえ、周りや仲間を大切にし、克己たる豊かな人生を送るための行動哲学。それが雀鬼流なのかな?と思った。
(参考)
雀鬼・桜井章一 二十年間無敗だった伝説の雀士 -麻雀豆腐
20年負けなしの男・桜井章一が「悪い流れ」が来たとき必ずする"あること" ーPRESIDENT online
##後書き
以上、「運シリーズ」第4弾、雀鬼が考える「運」とはっ! でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
よろしければ、過去の「運シリーズ」も読んでいただければ幸いです。