この記事の目的
これまでQiitaなどのサービスで記事投稿をしたことがない方向けに、積極的な記事投稿をして頂く一助となることを目的として、私なりの見解を共有します。
心理的ハードル
記事投稿にあたってはいくつかの心理的ハードルがあります。
例えば、以下のようなものがあるでしょう。
- 技術的な経験の浅さ
- 対象読者の幅広さ
- 時間的な制約
これら一つひとつについて、詳説していきます。
技術的な経験の浅さ
「自分はまだエンジニアとしての経験が浅いから、技術的な知識が足りていない」という思いから記事投稿に踏み込めない方は、比較的よく耳にします。
しかし実は、経験の浅さは記事を書く上で、むしろプラスに働くことがあります。
同じテーマを扱った記事が世の中に多数あっても、読み手の力量によって読みやすさが大きく変わります。
例えば、アーキテクチャに関する書籍を読んでいるとGoFデザインパターンを知っていることが、前提として求められることがしばしばあります。
同じ内容で記事を書く際に、GoFデザインパターンの用語を使わず解説すると、前提として求められる知識の量が下がるため、初心者に優しい記事となるでしょう。
つまり、自分自身の持っている力量で記事を書くと、自分自身と同じくらいの力量を持つエンジニアにとって有意義な記事になる可能性が高くなります。
経験が浅いからこそ持てる視点は、経験を積むと忘れがちです。そう考えると、技術的な経験が浅いうちにこそ書くべき記事も、多くあると考えます。
対象読者の幅広さ
パブリックな場所へ記事を投稿するということは、誰もが目にする可能性がある、つまり対象の読者が極めて幅広いと感じるかと思います。
ですが、読者の対象はもっと絞ってしまっても問題ありません。
具体的に、私がこれまでに投稿した記事の対象読者を例示します。
1.将来の自分向け
SES事業ではお客様の端末を借り受けて作業することが多いので、プロジェクトを異動するたびにマシンやツールのセットアップが必要になりますが、その作業は低頻度で記憶に定着しません。
再度同じ作業をするであろうことを見据えて投稿した記事が、私の最初の投稿でした。
その他にも、コードスニペットのようなものも投稿しています。
2.自分以外の、日本にいるたった一人の誰かのため
ソフトウェアのインストールやコーディングで問題が発生した場合、同じような問題に遭遇する人は必ず他にもいるはずです。
それに遭遇する人は、万人ではないかもしれません。ですが、自身が経験したのであれば、同じ体験をする人が必ずいます。その人は日本の中にたった一人しかいないかもしれません。しかし、その一人の役に立つのであれば、問題とその解決策を記事にすることには大きな価値があると思います。
3.特定の読者層
初心者向けのハンズオンなどを書く場合、自身でペルソナを設定しても良いでしょう。
他にも自身の体験であったり、強みを共有し業界に還元したい、あるいは自身の所属する組織を宣伝したい場合は、あえて広めの読者層を設定します。
時間的制約
記事を書くには時間がかかります。全体の構成を考え、プロットを書き出し、文章を書き始め...多くの手間がかかるものです。
しかし、ネット上の記事は書籍ではありません。そこまで構えて、体系立てて書く必要はないと思っています。その点を踏まえ、時間をかけずに記事を書くポイントをいくつか挙げます。
1.断片的な情報でいい
先に述べた通り、ネット上の記事は書籍ではありません。体系立てられている必要はなく、ストーリーも必要ありません。
もちろん、最低限情報が整理されていることは望ましいですが、開発中に躓いたことやその解決策を投稿するだけでも、その記事には大きな価値があります。
2.推敲と校正は自分でやらない
文章を書いて世に出すには、推敲と校正が必要です。ですが、この作業は脳のリソースをかなり使いますし時間もかかります。
しかし、今はこういった作業を生成AIが代行してくれます。私の場合は、以下のようにChatGPTのプロンプトへ指示を出して校正をしてもらっています。
以下の文章の誤字脱字検査と、校正を行い、修正箇所と修正内容を示してください。
↓↓↓ 以下、記事をコピペ
# 見出し
文章...
面倒な工程は、生成AIに任せてしまいましょう。
3.フレームワークを活用する
先日のQiita Bashで登壇された@Sicut_studyさんがフレームワークを公開してくれています。
これを使えば短時間で記事を書けますので、ぜひ活用しましょう。
記事を書くきっかけ
記事投稿の心理的ハードルがなくなっても、「そもそも記事にするネタがない」と思われている方もいるでしょう。
そんな方向けに、私が記事を書くための取り組みやきっかけをいくつか紹介します。
これから勉強してみたいことを、とりあえず下書きに書いておく
実際に学んだことを自分なりに整理してアウトプットすることを忘れないよう、これから勉強することを一旦下書きに書き出します。
学び始めてからよく理解できなかったところ、ハンズオンで躓いたところなどを下書きへ箇条書きで追記し、後日深掘りして記事投稿します。
他人に同じことを2回以上教えたことをきっかけにする
例えば新人や若手向けに何かを教える際、同じようなことを過去にも他の人に話したことを思い出したら、それを記事にしてしまいます。
そうすると3回目の同じシチュエーションに遭遇した際、Qiitaの記事を読んでもらうようにすれば時短を図れます。
記事投稿で得られるもの
最後に、記事を書くことで得られるものを紹介します。
文章力や説明力がつく
記事を多く投稿することで、作文が習慣化します。それにより文章力、説明力が鍛えられ、エンジニアとしてのコミュニケーションスキル向上にも繋がると思っています。
言語化による知識の深化、定着
記事を書くことは言語化です。言語化することで、実は自身が十分に理解していない箇所が明確になり、知識の深化を図れます。
また、ラーニングピラミッドという考え方では、アウトプットすることによって知識が定着することを示しています。
達成感
QiitaではContributionという仕組みで、活動量を測定できます。この数字が少しずつ積み重なり増えていくことで、達成感を得られると思います。
また、定量的な測定だと年に一度の振り返りで活動量を確認できますので、そこでも達成感を得られるでしょう。
ただし、宣伝を目的としていない方ならば「いいね」や「ストック」をたくさん集められるか、という点は気にしないようにしましょう。
前述した通り、自分以外の誰か一人のためになるだけでも良いのです。そして、その一人が必ずしもQiitaユーザであるとは限りません(いいねをしたくてもできない人かもしれません)。
最後に
この記事を読んで、「自分も記事を書いてみよう」と思ってくださった方が一人でも増えていただけたら幸いです。
私の拙い意見だけでは「まだ記事を書くのに抵抗がある」と思われる方は、是非Qiita Bash「良い記事は誰かを救う! 読んで良かった記事 と 書くときの工夫」のアーカイブ動画をご覧ください。