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私と上司とキーボードの話

Last updated at Posted at 2020-12-20

この記事は弥生Advent Calendar 2020の21日目の記事です。
2020/05頃に発売された、「ThinkPad トラックポイント キーボード II」に関連する話です。
※名前が長くなるので、本記事では以降「新型」と呼称します

1. 何があったのか

2019年末

去年のMisoca+弥生 Advent Calendar 2019で、先輩が面白い記事を書いていました。
キーボードとマウスを使う際のちょっとだけ「面倒」なところを解消してみた話

ここ数年トラックポイントキーボードを私生活と仕事の両方で使っている筆者としては、
「キーボードとマウスを一々持ち替えるのが面倒」という部分に強く共感しました。

2020/05頃

冒頭に記載した新型を購入しました。

もともとは、2020/01頃にTEX社のShinobiを購入しようかなと検討していました。
ただShinobiの仕様で少し自分に合わない部分があり、
予約するかを悩んでいたところに以下記事を見つけて方針転換しました。

注文ページが頻繁に品切れで注文できなくなる中、偶然あっさりと注文し入手できました。
我が家に届いた新型は、現在リモートワーク環境下で大活躍しています。

新型.jpg

2020/06~07頃

組織変更で上司が変わり、今の方になりました。
私が入社して以来、何かとお世話になっている方です。

その方がある日、Zoom越しにこんな話をしました。
上司「この前話していた新型、私も買ったよ」

おお同志よ!と思いつつ疑問が一つ。
この方、ThinkPadは好きなのにトラックポイントはあまり好きではなかったはずなのです。

  • マウスカーソルが勝手に動く現象、通称「ドリフト」が許せないと以前話していた
  • ThinkPad自体は好きで、先日ThinkPad X1 Carbon 3rdから7thに買い替えたと話をしていた

そういった方が、新型を購入する動機がさっぱり思い浮かびません。
真っ先に想像したのが、以下2つの仮説でした。

  1. 筆者が知らない間に改良が進み、新型ではドリフト現象が起きにくくなっている
  2. 上司本人が、以前ほどドリフト現象にイライラしなくなった

ひとまず仮説1番を確認する形で話を振ってみました。
筆者「あれ?ドリフト現象があるから買わないと思ったのに、最近改善されたんですか?」
上司「まだドリフトは起きてイライラしてるよ」

どっちの仮説もハズレでした…。

2. 謎解き開始

筆者「だったら、どこが気に入ってトラックポイントキーボードを買ったんですか?」
上司「キーボードが気に入っているから、買ったんだよ」

世の中には他にもキーボードだけの製品がいろいろあるだろうに、
本人にとって「いらないパーツ」であるトラックポイントがついている新型を購入する理由がわかりません。

上司はキーボードのどこが気に入って、新型を購入したのか

わからないまま放置するのも嫌だったので、新型のキーボードに関してどこが気に入ったのかを詳しく聞いてみました。

60%:キーボードレイアウトが、自宅のマシンと同じである

上司「会社支給のPCがね、自宅のThinkPadと少しキー配置が違うんだよ」

曰く、会社支給されたノートPC(Dell Latitude)のキー配列がThinkPadと微妙に違っていて、ミスタイプを連発するとのこと。

  • 「無変換」キーを押下すると、IMEがオフ
  • 「変換」キーを押下すると、IMEがオン

IMEのオンオフ制御を以上のようにアサインしているが、変換キーの位置がキー1つ分右にズレていているため、「変換」キーを押したつもりがスペースを押してしまうそうです。
たまに出社するたびにプチストレスを感じていたため、会社用に新型を購入してしまったとのことでした。

20%:キーを支えている土台が、しっかりした作りになっている

上司「キーを一番下まで押し込んでも、底板がたわまないのがいいね」

確かに昔のトラックポイントキーボードと比較すると、新型はほとんどたわみません。
以下記事でも、鉄板による補強がされている旨を取り上げていました。
PC Watch:上質な打鍵感の“赤ぽっちThinkPadキーボード”がパワーアップして帰って来た~ThinkPadトラックポイント キーボード IIレビュー

10%:押し込む際の反発加減が心地よい

上司「ググっと反発して、最後にストンと落ちる感じが気に入っている」

筆者の知る限り、キータッチの感覚は昔からコメントの通りだったと記憶しています。
以下記事にある、荷重たわみ線図を見るとわかりやすいです。
PC Watch:レノボ、ThinkPadのキーボード設計へのこだわりを開発者が語る

10%:キーのストロークが浅い

上司「東プレのRealforceも持っているけど、久しぶりに使うとストロークが深くて疲れちゃうんだよね」

ThinkPadや今回購入した新型は、キーストロークが2mm程度です。
Realforceなどのキーボードはキーストロークが4mm程あるため、倍近く押し込むことになります。

大半の方にとっては、きっと4mmほど沈むのがちょうどよく感じるのだと思います。
ただ上司(と筆者)にとっては、2mm程度が「ちょうどよい範囲」でした。

上司は「指が怠けるようになったよ」と笑ってましたが。

上司と筆者の「こだわり」の違い

ここまで話を聞いてみて強く感じたのは、同じ製品に対する「ここが気に入った」という部分が大きく異なることです。

筆者の「ここが気に入った」という部分:

  1. 60%:トラックポイントが搭載されている
  2. 30%:無線通信が2系統ある(Bluetooth + 独自規格)
  3. 10%:上4つのうち3,4番(押し込む際の反発加減が心地よい、キーのストロークが浅い)

また、好きなポインティングデバイスが順位が違うこともわかりました。

1位 2位 3位
上司 マウス タッチパッド トラックポイント
筆者 トラックポイント マウス タッチパッド

ここまで話して、ようやく「わかり合えない」ことがわかり合えてすっきりしました。
※どちらが正しいとかではなく、趣味嗜好が違うのでどうしようもないという話

3. 話してみて感じたこと

教訓:「結論が同じでも、大切にすること(背景や目的など)が同じとは限らない」

仕事における合意形成の際も、同じようなことが起きそうだなとも感じました。

  • 結論だけでなく、そこに至るまでのロジックを共有しておくことが大事
  • ロジックを共有したうえで、至った結論に対して合意形成すべき
  • ここで「結論が問題なければ後はどうでもいい」という態度を取ってはいけないし、取らせてはいけない

これら想像をした後で上司に聞いてみたところ、「実際によく起きている話で、実は重要なこと」と言われました。
例えば、とある機能の改善をすることになった場合、どういう経緯で現状の仕様にまとまったのかを知っていないと、当初の設計理想とズレた変更をしてしまう可能性が高く、建て増しを続けた温泉旅館みたいないびつな進化をする危険性もあるとのこと。
それを防ぐためにも、意思決定の経緯や責任者などを情報として残しておくことが大事なんだそうです。

今回の体験が、これから自分自身が何か機能の設計をする際に役立つと考えています。
※設計そのものを考える前に、ちゃんと関係者の「やりたいこと」を聞き出すなど

4. 最後に

次回は本記事の登場人物「上司」である、クロキさんです。
お楽しみに!

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