本の情報
タイトル
博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本
著者
ひきた よしあき
概要
「意見を言葉にできない若手社員」と「大学で講義を行っている広告会社の社員」がメールをやり取りする という形式で、「思いを言葉にする力」について学ぶ本。
「頭の中にあるものを知る」「考える習慣をつける」「論理的に発想する力をつける」「真に伝わる表現力を磨く」「言葉に説得力を持たせる」の5つの章から成る。
各章では、テーマに基づいた考え方のコツや日常で行えるトレーニングが紹介されている。
内容
形容詞に逃げない
「頭の中にあるものを知る」の章の一つ。
「おいしい」「やばい」といった形容詞で自分の感想を述べるだけでは、出来事に反応して話した気になっているだけ。
脳は怠け者であり、複数の意味に使える「やばい」のような言葉を知ってしまうと、そういった言葉ばかり使うようになってしまう。
これを改善するために、なぜそう感じるのか / 自分がどんな気持ちになったのか といったことを考えて言葉にするトレーニングが有効。
例)「みかんがおいしい」→「柑橘系の匂いで気持ちがリラックスする」
このトレーニングを行う上で、言葉を思いつくためのコツが3つある。
- 聴覚、味覚、視覚、嗅覚、触覚などの五感を使って表現する
→「おもしろい」を「鳥肌が立った」「髪の毛が逆立つようだった」などの身体感覚で表現する。 - 自分以外の人の様子を交えて表現する
→「一緒に映画を観ていた彼女は、ずっと目をつぶっていた」のように、他の人を登場させる。 - 自分の過去や思い出の中から探してくる
→「私が過去に観た映画の中でも3本の指に入る怖さ」のように、自分の経験と組み合わせる。
形容詞を使わないと決めてこのようなトレーニングを積み重ねると、自然と言葉が出てくるようになる。
なんで、そうしたのか?を考える
「考える習慣をつける」の章の一つ。
理由を聞かれて答えられないのは、日ごろから「なんで、そうしたのか?」を考えるクセができていないから。
例えば、ランチにその店を選んだ理由を考えて、声に出してみると良い。
「おいしいから」だけではなく、「気温が低くて温かいものを食べたくなった」「朝見たテレビで特集をやっていた」などの理由があるはず。
自分が起こす行動は、全て脳の命令によるもの。
自分が今行っていることに対して、脳がどんな命令を出したのかを考えることが大切。
そうすれば、「~なので、~した」と考えて、即座に語れるようになる。
所感
形容詞に逃げない
自分が困っていたことを言われた と感じた部分でした。
→食事や趣味など好きなことをしたときに、いつも「おいしい」「楽しい」といった同じ感想しか出すことができないと感じていました。
自分では「どんなふうにおいしいのか」「なぜ楽しいのか」というように形容詞を掘り下げるように考えていたため、形容詞を使わないようにするという考え方は新しい観点でした。
なんで、そうしたのか?を考える
こちらも、「なんとなく」が口癖になっている自分にとっては重要な指摘であると感じました。
「なんとなく」で片づけてしまったことにもその選択をした理由が必ずあるはずで、まさにそれを考えるクセがないことが現在の状態である と理解しました。
本の中でもランチを選んだ際の例が紹介されていましたが、自分が身近で「なんとなく」で片づけてしまっていることの理由を考えるようにしたいと思います。
まとめ
自分の考えを言葉にして相手に伝える「思いを言葉にする力」について述べられた本でした。
特に、ある若手社員の悩みを解決する物語仕立てになっていること / 「やばい」などの語彙に対する警鐘があること から、2020年代入社の若手社員にとっての効果が大きい本であると感じました。
私は、「脳を活性化させ、なまけない脳を作る」といった記述が自分に合っていると感じたので、その点を意識してこの本の内容を取り入れていきたいと思います。