この記事は KLab Advent Calendar 2017 16日目の記事です。
え、Stingray?
正直なところ、余りにも触る人がいないので自分で触ってみました。
でも、なんとか遊べるものは作りました
何はともあれ、動くものを
テトリスですね。下手くそですがラインは消えててちゃんと遊べます
リポジトリも公開してます
月一で行われる社内勉強会において、先月Stingrayについての発表を行いました。
内容はStingrayの紹介と上記のようなモノを作った程には触ったのでその雑感…というものでした。
内容を搔い摘むとStingrayは
- Autodeskが出してるものだけあってMayaとかの連携が強い
- VRの対応は多い(ガジェット持ってないので他との比較が難しいですが)
- 大規模向けの設計がなされている、一方で個人レベルで触ると弊害が大きい
- ノウハウが共有されないとゲーム開発は難しいという感想
- 触る環境もハードル高い
- 先行のゲームエンジンと比べるとやれることの幅がどうしても狭い印象
概ねこんな感じです。で、結論としては
少なくとも現状で「個人」で「ゲームを作る」という用途で考えると
やはり先行のUnityなどのゲームエンジンでやる方が作りやすいと思います。
実際、このテトリスを作るだけでもかなり労力を使ってますし、結構挫折もしました
勿論Stingrayがダメな部分ばかりというわけではなく、
Luaを採用している強味などもあり、ホットリロードなども優秀だそうです。
ただ、特にゲームを作るということは表現的にも、インタラクティブな部分にも、ビルド周りとしてもゲームエンジンとしての総合的なやれることの幅・性能やユーザーのノウハウの共有が求められると思います。
しかし、Stingrayはこれらに於いて先行のゲームエンジンに勝ててるとは言い難いです。
じゃあどうしよう
なので、別の用途でStingrayを活用できないかと考えました。
結論としては映像作品とかはどうだろうと考えました。理由は以下のようなものです
- 先行のゲームエンジンであっても活用例がそれほど多くなく、ノウハウという点ではゲームほど差がついていない(はず)
- DCCツールとの相互運用が生かしやすい上、ゲームエンジンとして触る範囲がある程度限定される
- Stingrayのアップデート内容がゲーミングより表現に寄ってる印象が強い
- アーティストよりの内容が多い一方でLuaのAPIの機能追加がほぼないように見える
つまりはアーティストの補助的な使い方、くらいの位置づけなら生きる道はあるのかもということです。
まずはここから
というわけで、CaptureFrameツールで手軽に試すことはできそうなのでやってみました。
とりあえずカメラを置いて、
※背景はライティングのデモ用プロジェクトです
StoryEditorで簡単なアニメーションを設定して
この辺のUIはアニメーション作ったことある方なら多分分かると思うので割愛します
で、キャプチャ設定。ほぼここも見たまんまですね
FileTypeはOpenExrという形式でしか今のバージョンでは出力できず
プレビューしようにもツールは限られしまうのですが
djv_view というフリーソフトがあったので使わせていただきました。
※PhotoShopでもプラグインあれば開けます。ただ、手持ちのElementsではHDRに対応してないのでダメでした
そしてCapture Framesをポチ。
で、プレビュー。連番再生を自動でやってくれるので便利ですね
とりあえずカメラをぐるっと。一応、サクッとは出来そうな感じです。いいかも
HDR用のデータもちゃんと入ってる(hdr_no_Post_RGBAレイヤー)
使いこなしたことないので妥当な内容なのかわかんないですが…(;^_^A
上記のGIFと比べても階調がそれっぽい…気がする
法線情報(normalsRGBA)とかも入ってる。
depth.Vレイヤーは深度情報…とおもったんですが…
真っ白。AfterEffectでも見て確認したんですが取れていない様子…
ヘルプを見ても明らかに取れるように書いてあるんですが…
原因がつかめない以上英語圏のフォーラムに投げるところからスタートですね
おわりに
使う人が全然いないのもあって詰まった時のダメージが多く、やはり難しい部分は否めません
とはいえ、全く使えないのではなく特化している部分はちゃんとあるので
使いどころを見極めれば使う場所もあるかもしれないな、という印象でした。
とりあえず見極められるところまではちょくちょく触っていこうと思います。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。
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おわりのおわりに
と、ここまでがだいたい一週間前までに書いていた記事です。
そこからこの記事を公開する日から5日前、ひっそりとこういう発表が行われました。
ちなみに、この発表を教えていただいたのは14日です。自分も気付けなかったです
On January 7, 2018, Autodesk will stop sales and development of the Autodesk Stingray game engine. This change will have the following implications for subscribers.
( ^ω^)・・・
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(´;ω;`)ブワッ
断っておきますがこの記事、決して笑わせるつもりで書いてはいません。真面目に書いたつもりです。
個人的な興味としては新しい技術を作るというより、既存技術をどう活用するか、の方が強く
だからこそこういったゲームエンジンを「どう使うか考える」内容の記事を書きました。
(手段が目的化してて微妙なのは否めないですが)
そしてこれから、っていう締めの内容の記事でこういう結末になってしまったのは非常に残念です。
ただ、ある程度こうなるのは予測し、実際社内勉強会の発表でもこうなるであろうことは少し触れていました。
というのもUnity2017の発表後AutodeskとUnityとの連携強化の話などは結構耳にしてましたし、
その内容を見るに少ない強みだった部分すら没個性になりそうだな、という印象があったから。
また、現在のバージョン1.9から2.0にするほどの大型アップデートが触る人がいない中あり得るのか、
という疑問も大きかったからです。
それでも細々とアップデートの可能性は信じてたんですが、こういうことに。
ただ、ちょっとあんまりすぎるタイミング…なのでこの記事、正直お蔵入りしたかった気持ちもあるのですが
アドベントカレンダーで一応予告していた以上、差し替えませんでした。他のネタを考えてなかったのもありますが
話の流れ的に「オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな」という言葉が最適解な気がしますが
開発がストップするものをこれから触るのは流石に…
残念ですが、この記事をもって追悼とするしかありません。
しかし、Stingrayは意外といろんなツール、言語を触るきっかけにもなったので、
なんだかんだで身にはなったのかなと思います。
MayaLTに引き継がれる部分もあるという話ですし(Maxは持ってないので置いておいて)、全く無駄にはならなかったはずです。
良ければその辺の記事を今後書ければと思います。
さて、あとがきが長くなっては本末転倒なので、ここで締めます。
ありがとう、Stingray!