Emscriptenは、C/C++のコードからJavaScriptを出力することのできるコンパイラです(厳密にはちがう?)。
C/C++で書いたコードをそのままブラウザ上で動かすことができるので、とても便利です。
また、GLFWやOpenGL ESにも対応しているため、グラフィックアプリケーションもコンパイルすることができます。
この記事では、Windows上で、Emscriptenのビルド環境を構築する方法を紹介します。
執筆時のEmscriptenのバージョンは、1.35.0です。
#準備
Windows上に環境を整備するには、以下のものが必要です。
筆者は、Windows 10上で構築しています。
- Emscripten SDK : emsdk-1.35.0-web-64bit.exe (http://kripken.github.io/emscripten-site/docs/getting_started/downloads.html)
これをダウンロードし、実行するだけで環境構築が完了します。上手く行かない場合は、Offline版をダウンロードして実行しましょう。
かつては、Pythonを入れたり、ClangやLLVMをビルドしたりが必要だったようですが、今では上記のSDKをダウンロードして実行するだけで一通り必要なものをインストールしてくれます。
これで一通りインストールはされるのですが、大規模なソフトをコンパイルするさいに必要なmakeがインストールされないため、別途準備する必要があります。
筆者はとりあえず以下のものを使っています。
- Make for Windows (http://gnuwin32.sourceforge.net/packages/make.htm)
上記のMake for Windowsには、LibIntlとLibIconvも必要なようです。
- LibIntl for Windows (http://gnuwin32.sourceforge.net/packages/libintl.htm)
- LibIconv for Windows (http://gnuwin32.sourceforge.net/packages/libintl.htm)
これらのサイトから、Binariesをダウンロードし、各binディレクトリ内のファイルを、パスの通っているディレクトリに入れて下さい。
インストールが完了したら、パスを通しておきまます。
(ちなみに、Emscripten SDKのインストールをすると、「C:\Program Files\Emscripten\mingw\4.6.2_32bit」というパスが追加されますが、このフォルダはインストールされないようです。32bit版のSDKなら、インストールされるのかもしれません。)
これで環境構築は完了です。
#まとめ
Windows上でのEmscriptenのセットアップ方法をまとめました。
検索するとOS XやUbuntu上での記事が多く、Windowsのものが少なかったため、改めてまとめてみました。
特にWindowsユーザーにはmakeなどの馴染みもあまりないため、その点も含めてまとめています。
古い記事ですと、ビルドが必要だったりと難しいことが書いてあるものもありますが、今ではとても簡単になっています。
incoming版のインストール方法や、WebAssemblyへのコンパイル等についてはこちらを御覧ください。