こんにちは、techafavoです。
今年の投稿は少し遅くなってしまいましたが、今回はカンファレンスCfP用の声かけフレームワークについて書きたいと思います。
以前から「カンファレンスに登壇者を出すことが一番の技術広報」と主張してきました。
しかし、近年ではカンファレンス登壇の競争が激化しており、登壇枠を勝ち取るのが非常に難しくなっています。
2024年で特に極め付けだったのはEMConf JP 2025の倍率で、ツイートによると、20分枠の倍率は27倍、40分枠の倍率は11倍という状況でした。
https://x.com/emconf_jp/status/1857692771307626567
このような厳しい状況でも、会社のため、エンジニアのため、(そして自分のため)にも、技術広報はカンファレンスへ登壇者を出さないといけないのです。
この記事では、登壇者を出すための第一歩である社内への声かけについて効率的に行うための「声かけフレームワーク」をご紹介します。
声かけフレームワークとは?
声かけフレームワークは、カンファレンス登壇者を増やすための具体的な手順で、図に書いたものがこちらです。
流れとしては以下の通りで、確実にCfPへの対応を進められるようになります。
- CfPが出たら全体へアナウンスする:CfP(Call for Proposals)が公開された時点で、社内やチーム全体にその情報を周知します
- 登壇してほしい方をバイネームで指定する:全体アナウンス後、登壇して欲しいエンジニアにバイネームで声をかけます。メンションやDMで直接依頼します。返事があればそのままプロポーザル執筆をお願いしましょう
- 返事がない場合は本人に再度確認を取る:この段階で、登壇を渋る理由をしっかり聞き出すことが非常に重要です
- 返事の内容に応じて行動:返事の内容によって支援方法をカスタマイズします。場合によっては違う方に声をかけます
- 締切の2週間前にはレビューを行い提出を確認する
このフレームワークのキモは3.の返事がない場合は本人に再度確認を取るという箇所です。
多くの方は依頼を送る際はある程度緊張しますし、依頼メッセージに返信がないと「怒らせてしまったかな?」「迷惑だったかな?」というネガティブな思考になってしまい、再度確認するのがはばかられてしまうと思います。
しかし、再度確認すると「返信を忘れていました」「返信を考えていました」という返信が多いので、安心して確認してください。ただ、こういう返信が遅れるケースというのはだいたいお断りとなりますね。
エンジニアが登壇を断る理由とは?
断られた場合でも「なぜこの人は登壇を断るのか?」という理由をしっかり理解することで、次のアクションへつなげられる可能性があります。断る理由をあげると表1のようなケースに分類されることが多いです。エンジニアによってそれぞれ理由や都合が違うので、それぞれの障壁を適切な対応で取り除いてあげることが重要です。
分類 | 断る理由 | 対応 |
---|---|---|
業務系 | 業務が忙しい | 上司やチームメイトに掛け合って、業務量を調整してもらうよう説得する |
登壇準備が負担 | デザイナーにスライドを作ってもらう、技術広報が文字起こしを行うなどをする | |
本人の問題系 | 心理的ハードルが高い | 励ましたり、練習の場を用意したりする |
メリットがわからない | 登壇することで得られるメリットを説明する | |
登壇初めて系 | 登壇するためのネタがない | 壁打ちを行う |
プロポーザルの書き方がわからない | もくもく会を開く |
「業務が忙しい」というのが、一番よくあるパターンだと思いますが、これはCTOやVPoEを巻き込んで業務量をなんとか調整してもらうようにするのが得策かとは思います。巻き取れるところがあるようでしたら、技術広報の方でなんとか巻き取っていき、負担を減らしていきたいですね。
「本人の問題」によるところは、一番改善の余地があるので、なんとか説得を行います。「ネタがない」や「書き方がわからない」は技術広報の腕の見せ所なので、施策をさまざまな企業の情報が発信されていると思いますので、確認して実行してみてください。
応募後のことを考えた登壇者を増やす3つのやること
応募はあくまで最初のステップになりますので、応募後のことを考えると、早めに以下の3つのアクションを用意していくと慌てないで済むかと思います。
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スケジュールの調整や雑用をこなし登壇者の負担を軽減する準備をする
業務を優先しながら登壇準備を進めるには、スケジュール調整が不可欠です。たとえば、いつまでに完成していたらいいのか、他の業務の合間にどのように時間を見つければいいのか、など事前にスケジュールを引いておくことで、繁忙期を避けたタイミングで準備時間を確保できるようになります。 -
チームで支援する体制づくり
登壇準備を個人任せにせず、チームで支える雰囲気や体制を構築しておきます。スライド作成やリハーサルを分担することで、本人の負担が軽減されますし、チームでレビューや応援を行うことでモチベーションを高めることもできますので早めにそう言った雰囲気作りを行います。 -
小さな登壇機会から始めて自信をつける
初めての登壇に対する不安を減らすには、社内での発表練習やLT会など小規模な発表の場を技術広報で作っていきます。これにより、練習の場を提供し、成功体験を積むことができます。
まとめ
声かけフレームワークは、カンファレンス登壇者を増やすための最初のステップです。「声をかけたけど誰もプロポーザルを提出しなかった」では何も広報ができません。エンジニアが抱える課題を細かく分解し、具体的な支援を行うことで、登壇へ一歩進むことができるかと思います。
ちなみに、これは今年の持ちネタの一つだったのですが、PyCon JP 2025のLTでも発表することができました。登壇機会はいつ訪れるかわからないので、普段からこういう持ちネタを1個か2個は持っておきたいですね。