【Azure】Template specsを用いてストレージアカウントを作成する。

1. はじめに

1-1 ご挨拶

初めまして、井村と申します。
お仕事でTemplate specsを利用することになりました。初めて触るリソースの為、動作確認と備忘録として投稿します。

1-2 対象読者

• Azureに興味がある

1-3 Template specsとは？

Azure上にARMテンプレートを格納するサービスです。ARMテンプレートはAzureで利用できるIaCです。Template specsを利用するメリットとしてはAzure内で他組織へ共有できる、Azure RBACで適切な権限を付与して運用できる、バージョン管理ができる点が挙げられます。
※Bicepでもok！

1-4 システム構成と検証の流れ

上記がシステム構成図です。左がTemplate specs、右がストレージアカウントです。今回はそれぞれにリソースグループを作成します。

mslearnよりワークフロー図を拝借します。

1. ローカルでARMテンプレートを作成。
2. Template specsを作成
3. Template specsからストレージアカウントをデプロイ

となります。本記事は上記に加え、エクスポート、バージョンアップも検証します。

2. 構築

2-1 ARMテンプレートの作成

ARMテンプレートは以下コードになります。ストレージアカウントを作成するものになります。デスクトップ上に作業フォルダとして「ts」フォルダを作成しARMテンプレートを格納します。

mainTemplate.json

mainTemplate.json

{
  "$schema": "https://schema.management.azure.com/schemas/2019-04-01/deploymentTemplate.json#",
  "contentVersion": "1.0.0.0",
  "parameters": {
    "storageAccountType": {
      "type": "string",
      "defaultValue": "Standard_LRS",
      "allowedValues": [
        "Standard_LRS",
        "Standard_GRS",
        "Standard_ZRS",
        "Premium_LRS"
      ]
    }
  },
  "resources": [
    {
      "type": "Microsoft.Storage/storageAccounts",
      "apiVersion": "2019-06-01",
      "name": "[concat('stimura', uniquestring(resourceGroup().id))]",
      "location": "[resourceGroup().location]",
      "kind": "StorageV2",
      "sku": {
        "name": "[parameters('storageAccountType')]"
      }
    }
  ]
}

2-2 リソースグループの作成

以下コマンドでリソースグループを作成します。Azure CLIを本項番以降でも度々利用していますが、変数は宣言している前提となります。

Azure CLI

# 変数宣言
tsName="createStorageAccount"
rgSou="rg-ts-imura"
rgDes="rg-imura"
lc="japaneast"

# Azureへログイン
az login

# template specs保管用リソースグループの作成
az group create --name $rgSou --location $lc

# ストレージアカウント保管用リソースグループの作成
az group create --name $rgDes --location $lc

正常終了後、Auzre上にリソースグループが作成されます。

2-3 Template specsの作成

以下コマンドでAzure上にTemplate specsを作成します。

Azure CLI

# template specsの作成
az ts create --name $tsName --version "1.0" --resource-group $rgSou --location $lc --template-file "./mainTemplate.json" --version-description "ストレージアカウント作成" --display-name "ログ格納用ストレージアカウント"

正常終了後、Azure上にTemplate specsが作成されます。

左ペインのバージョンを押すと以下画面に遷移します。

2-4 ストレージアカウントの作成

以下コマンドでAzure上のTemplate specsを用いてストレージアカウントをデプロイします。
Template specsを利用するためにはリソースIDを指定する必要があります。その為、事前にリソースIDを取得し、利用します。

Azure CLI

# template specsのリソースIDの取得およびデプロイ
id=$(az ts show --name $tsName --resource-group $rgSou --version "1.0" --query "id")

az deployment group create --resource-group $rgDes --template-spec $id

正常終了後、Azure上にストレージアカウントが作成されます。

3. 検証

それでは検証を始めます。Azure上のTemplate specsはバージョン1.0で作成しています。バージョン1.0をローカル(構築とは違う作業フォルダ)にダウンロードし、ARMテンプレートを修正。バージョン2.0としてTemplate specsを作成します。

3-1 ARMテンプレートのダウンロードおよび修正

作業用フォルダ「new_ts」にARMテンプレートをダウンロードします。ダウンロードしたARMテンプレートを修正します。修正内容はストレージアカウントにタグを追加しています。

Azure CLI

# template specsのエクスポート
az ts export --output-folder /c/Users/user/Desktop/new_ts --name $tsName --resource-group $rgSou --version 1.0

mainTemplate.json

mainTemplate.json

{
  "$schema": "https://schema.management.azure.com/schemas/2019-04-01/deploymentTemplate.json#",
  "contentVersion": "1.0.0.0",
  "parameters": {
    "storageAccountType": {
      "type": "string",
      "defaultValue": "Standard_LRS",
      "allowedValues": [
        "Standard_LRS",
        "Standard_GRS",
        "Standard_ZRS",
        "Premium_LRS"
      ]
    },
    "resourceTags": {
      "type": "object",
      "defaultValue": {
        "Environment": "Dev"
      }
    }
  },
  "resources": [
    {
      "type": "Microsoft.Storage/storageAccounts",
      "apiVersion": "2019-06-01",
      "name": "[concat('stimura', uniquestring(resourceGroup().id))]",
      "location": "[resourceGroup().location]",
      "kind": "StorageV2",
      "sku": {
        "name": "[parameters('storageAccountType')]"
      },
      "tags": "[parameters('resourceTags')]"
    }
  ]
}

3-2 Template specsの作成

以下コマンドでTemplate specsを作成します。バージョンは2.0です。

Azure CLI

# template specsの作成
az ts create --name $tsName --version "2.0" --resource-group $rgSou --location $lc --template-file "./mainTemplate.json" --version-description "タグ追加"

正常終了後、Azure上にTemplate specsが作成されます。

左ペインのバージョンを押すと以下画面に遷移します。バージョン管理が出来ています。

3-3 ストレージアカウントの作成

バージョン2.0のTemplate specsを用いてストレージアカウントをデプロイします。

Azure CLI

# template specsのリソースIDの取得およびデプロイ
id=$(az ts show --name $tsName --resource-group $rgSou --version "2.0" --query "id")

az deployment group create --resource-group $rgDes --template-spec $id

正常終了後、ストレージアカウントにタグが付与されています。

4. 終わりに

本記事を最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
Azure内でシステムが完結するのであれば、Template specsは良いサービスだと思いました。今回はAzure CLIを利用しましたが、ポータルからでも利用できる為、わかりやすいです。

5. 参考記事

• Azure Resource Manager テンプレート スペック

• 再利用可能なインフラストラクチャ コードのライブラリをテンプレート スペックを使用して発行する

• az ts