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aozorahack hackathon #1について

Last updated at Posted at 2016-07-28

まだ参加者枠に余裕がありそうなので、もうちょっと告知します。とか思いつつ書こうと思ったけど時間が取れなくてもう明後日になってしまいました…。

イベントについて一行で

青空文庫をハックしたい(≒青空文庫のコンテンツを使って何かを作ったり、青空文庫のコンテンツを育てるためのツールを作ったりしたい)人を集めてハッカソンしましょう、というイベントを、7/30・7/31の2日間行います。

主催者について

実はここの説明がちょっと難しいのですが、aozorahackという青空文庫をハックしたい人が集まるコミュニティ的なところと、本の未来基金という組織が中心になっています。青空文庫の活動そのものとはちょっと離れた形でやっています(青空文庫の活動というか運営形態についても説明が難しいのですが)が、連絡は取りつつ行っています。

ちなみにこれを書いている私(takahashim)は本の未来基金の関係者ではなく、aozorahackに設立時から関わっている者です。

ハッカソンの目的について

ハッカソンにはいろいろ目的やスタイルがあることはよく知られています1

aozorahack hackathonでは、いわゆる「新規事業開発型」や「課題解決型」や「競技・コンテスト型」ではありません。優勝したら何か豪華賞品が、みたいな奴ではないです。また、企業やサービス事業者が主催しているわけでもないので、何か新しいAPIやサービスが触れたりするものでもありません

今回ハッカソンを開催する目的・狙いとしては、だいたい以下があげられます。

青空文庫に興味を持っているエンジニア・クリエイターが集まるきっかけがほしい

青空文庫に興味を持ち、積極的に関わる人としては、(青空文庫のコンテンツの性質もあり)文芸などのコンテンツに興味を持っている方が多く、そのインフラやサービスなどの技術的な機能面・運用面に興味を持っている人が多くなかったようです。もちろん、青空文庫を使ったアプリを作ったり、青空文庫を使ったサービスを作ったりする方はいましたし、今もいるわけですが、最近は青空文庫自体には関わっていなかったり、あるいは個人的なつながりのみで横のつながりがなかったように思われます(青空文庫は20年近くにわたる歴史のあるプロジェクトなので、今に至るまでさまざまな変遷があったようなのですが、詳しくは把握できていません)。

しかしながら、青空文庫自体が一つのインターネット上のサービスであり、インターネット上のサービスの開発・運用形態も日々進化していく中、青空文庫がどうなっていけばよいのかということも考える必要があるはずです。そのためにも、青空文庫に興味を持つクリエイター・エンジニアの方々がもっと増えて欲しい、そしてもっと情報交換・情報共有できるようにしたい、という期待があります。

青空文庫を技術的に利用する際に必要となる機能の洗い出しがしたい

上記とも関連するのですが、青空文庫は営利法人でもないので、青空文庫そのものがすごいサービスをもりもり開発することはあまり考えられず、おそらく何かしらの形で外部のアプリやサービスと連携する形になっていく将来像が現実的に思われます。具体的には、例えば青空文庫のWebサイト自体も、API的なものから生成されるものとなっていくことも考えられます。

その際、外部からはどのようなデータやAPIが必要になるのかが問題となりますが、それは実際にいろんな方が作ってみないと見えてこないところもあるかと思います。そのような場になることも、今回のハッカソンの狙いの一つです。

FLOSS的な開発・運用体制を模索したい

これはtakahashimの私見なのですが、青空文庫やその周辺のサービスについて、もうちょっとフリーソフトウェア・オープンソースソフトウェアプロジェクト(FLOSS)の開発・運用で行われている、コミュニティ型の今風の方式を導入していけるといいんではないかと思っています。

青空文庫はネット上でのサービスの中でも、長期的に発展する運用が期待されていると思っていて、それを支えるには営利法人による運営体制は馴染まないような気がしています。特にネット系のサービスは短期間で寿命が終わるものが多く、それはそれで悪いことではないでしょう(競争原理が適切に働くことはむしろ良いことであるとも言えます)。が、青空文庫のようなプロジェクトに関しては、うまく行かなくなったら売却するとかクローズするといった形は全力で避けるべきでしょう。

もちろんそのために、例えば非営利の公益法人化するみたいな方向性もあるとは思いますが、青空文庫に関わってきた方の書かれたものを読んだり、またお話を聞いたりした限りでは、あまりかっちりとした組織化を行う方向性は、少なくとも近い将来にはなさそうに思っています。

で、現実のネットで、そのような長期運営がなされてるものというと、有志により地味ながらも開発・運用が続いているFLOSS的なプロジェクトが思い浮かびます。例えばtDiaryとかですね。そういう形になっていくと、劇的に進化することはあまりないとしても、倦まず弛まずブラッシュアップが行われるようになるんではないかと思います。

とはいえ、今までクローズドで行われていたものがいきなりばーんとオープンにできるわけはない上に、過去の経緯ももろもろあるようなので、運用体制を変えていくにはしばらく時間がかかりそうです。おそらく年単位の、気長に進める話になるでしょう。そのため、今回のハッカソンでいきなり何か新しい形ができるわけでもないのですが、中長期的な変化を進めためのささやかな一歩、という布石を狙っているところはあります。もっとも、最終的にこれが成功するかどうかは分かりませんし、現時点で考えている方向にそのまま進むことはなく、さらに紆余曲折があるとは思っています。

なお、今回のハッカソンと並行して動いている青空文庫のサブプロジェクトとして、青空文庫の管理サーバの移行プロジェクトというものがあり2、こちらの方はaozorahackとは別にtakahashimが関わる予定です。これはハッカソンとはもろもろ違う話なのですが、技術面での青空文庫の今後を考える上では関わりのある話ではあるので、ハッカソン当日にも少しお話しできればと思っています。

……などと、主催者側にはいろいろな狙いはあるわけですが、参加者の方は「青空文庫を使っていろいろしたい」くらいの気持ちがあればOKです。気軽にご参加ください。

基調講演について

今回のハッカソンでは、Rubyのパパことまつもと ゆきひろさんをお呼びして、基調講演をしていただく予定です。

先ほど書いたようなハッカソンの目的のみを素朴に考えると、特に青空文庫の活動理念的なことはあまり気にする必要はないかもしれません。が、青空文庫はトップページに「著作権の保護期間延長に反対します」というバナーが貼ってあるように、著作権と自由なテキスト、あるいは公共性といったことと強い関係があります。フリーソフトウェア(自由なソフトウェア)やオープンソースソフトウェア、あるいはクリエイティブ・コモンズがその理念と切り離せないように、青空文庫も理念を無視して理解することは困難でしょう。

なお、まつもとさんは、「フリーソフトウェアの精神に則った活動を通じ、フリーソフトウェアの進歩と発展に大きく寄与した個人に与えられる賞」であるFree Software Awardsを2011年に受賞しています3。別に賞をもらったから偉いという権威主義的な物言いをしたいわけではありませんが、そこに至るまでの背景があるということは触れておきたいです。Rubyのパパとして広く知られる以前からフリーソフトウェア活動に関わってきてた方なんですよ、というわけで。

まつもとさんにソフトウェアとコンテンツの自由について語っていただける機会はあまりないと思われるので、個人的にも期待しています。

事前に準備しておいた方がよいことはあるか

とりあえず http://www.aozora.gr.jp のサイトはいろいろ見ておくと良いでしょう。
青空文庫の概要を理解するために、特に読むのをおすすめしておきたい文章は以下になります。

青空文庫で配布しているテキストファイルの記法、いわゆる青空文庫注記記法については注記一覧 http://www.aozora.gr.jp/annotation/ と 組版案内 http://kumihan.aozora.gr.jp/ があります。

青空文庫での外字表記に興味がある人は、青空文庫・外字注記辞書の説明ページ http://www.aozora.gr.jp/gaiji_chuki/ と辞書PDF http://www.aozora.gr.jp/gaiji_chuki/gaiji_chuki.pdf が必読です。

あ、会場には電源とネットワークは用意しますが、PCは用意してないので、各自普段お使いのものをお持ちください。

参加したい方へ

開催場所は東京と福岡の2箇所になります。当初は東京のみでの開催になる予定でしたが、サテライト会場として福岡会場も用意されることになりました。

前日の夕方くらいまでは参加受付をしている予定なので、直前ではありますが興味があればご応募ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

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