Customer Story: Shell - Databricksの翻訳です。
業種: エネルギー
ソリューション: 統合データ分析
技術的ユースケース: データ投入、ETL、データ分析、機械学習
要約:
- エンジンのリペア要する潜在的コストを数百万ドル削減
- 250人のデータチームのメンバーが160以上の高付加価値ユースケースを推進
- ラベルの検証に要していた時間を45分から5分まで9倍の削減
紹介動画
シェルは、気候変化に取り組むためにデジタル技術に投資を行い、より綺麗な世界を作り出し、実質排出量ゼロの企業になるために最前線で奮闘していました。ビジネス全体にわたり、彼らは作業効率を改善し、カスタマーエンゲージメントを高め、再生可能エネルギーのようなイノベーションを引き起こすために、データとAIを活用していました。大量データという困難に立ち向かうために、シェルは自身のShell.aiプラットフォームの基盤の一つとしてDatabricksを選定しました。今では、数百のエンジニア、サイエンティスト、アナリストがより綺麗なエネルギーソリューションを迅速かつ効率的に生み出せるように、Databricksが強力に支援しています。
大規模データから洞察を得ることの難しさ
シェルは100年以上の歴史を通じて、エネルギー消費に影響をもたらす革新的なアイデアを生み出しました。
「業界全体として、我々は大きな変革の時期に入ろうとしていました」、シェルのデータサイエンティストゼネラルマネージャーのDan Jeavonsは説明します。「我々のビジネスをより効果的、効率的にするにはデジタル技術は不可欠なものでした。業界全体がより持続的、かつ環境へのインパクトを削減する方向に向かっているため、データとデジタル技術は欠かせないものになっていました。」
あらゆるエネルギーカンパニーにおいて、デジタルトランスフォーメーションは最優先の取り組みでしたが、レガシーな技術的インフラストラクチャー、データの指数関数的な複雑性、データを活用したソリューションを構築するためのデータエンジニアリング、データサイエンスのスキル不足は依然として課題となっていました。
シェルは、バリューチェーン全体においてもっとも付加価値の高いユースケースを特定するためのチーム、データサイエンスのセンターオブエクセレンス(CoE)を立ち上げることで、これらの課題に真正面から取り組みました。しかし、データによる革新の可能性を見出したとしても、シェルにおいては、データ分析、データ処理、機械学習のためのデータインフラストラクチャーを拡大することが容易ではありませんでした。
イノベーションを加速するために企業全体でデータとAIを統合する
Shell.aiプラットフォームのキーツールの一つとして、シェルはDatabricksを選択しました。Databricksによって、シェルのデータチームは彼らの全体のデータ分析ライフサイクルを統合する、スケーラブル、かつフルマネージドのプラットフォームを手に入れることができました。インタラクティブなワークスペースはデータを民主化しただけではなく、データエンジニアリング、データサイエンス、アナリストのチームにまたがるコラボレーションを醸成しました。
「シェルはより綺麗なエネルギーソリューションを提供するための一つの手段としてデジタルトランスフォーメーションを推し進めています。取り組みの一つとしては、我々のっよおアーキテクチャーに対する多大な投資があります。我々は、データチームが大量データに対して迅速に問い合わせを簡単に行えるようにしたいと考えています。ペタバイトサイズのデータに対して標準的なBIツールでクエリを行えるということは、我々にとってはゲームチェンジャーと言えます。Databricksによる協働イノベーションアプローチは、製品のロードマップに影響を与えており、市場に製品を提供できるのを楽しみにしています。」と、Danは言います。
データに対する参入障壁を引き下げたことで、BI、レポーティングなど機械学習の先にある分析への道を開きました。実際のところ、シェルのデータと分析へのフォーカスによって、全てのデータが利用可能となり、250人以上のデータアナリストと800人のデータサイエンティスト初心者がより生産的になりました。
シェルを未来のエネルギーカンパニーに変化させる
今やシェルのCoEは、サプライチェーンのオペレーションを改善するデータドリブンのソリューションや、顧客や自身のビジネスのためのこれまでと異なる能力を実現する高付加価値ユースケースを探索し、配備することが可能となっています。
オペレーションの観点において多くの製造業が直面している大きな課題は、在庫、サプライチェーンの効率的な管理です。シェルは、全世界の設備において数千のスペアパーツを保管していましたが、在庫のアナリストは倉庫にどのくらいのレベルでスペアパーツを準備しておけばいいのかに苦慮していました。Databricksによって、全てのパーツ、設備に対して、全ての履歴データを用いた1万回以上のシミュレーションが可能になりました。今や、シェルの在庫予測モデルは、以前の48時間から45分で処理を完了します。これによって、在庫管理を劇的に改善し、年間のコストを大幅に削減しています。
また、シェルは150万人の顧客が利用しているGo+と呼ばれるロイヤルティプログラムのためのレコメンデーションエンジンを開発しました。Azure上のDatabricksにおいて、AIソフトウェアは顧客の全てのトランザクション履歴を参照し、他の集約データと組み合わせることで、顧客に対して適切なオファーや褒賞を提供します。
データとAIは、シェルが顧客とエンゲージするための新たな機会を提供しました。シェルリモートセンスと呼ばれる、クルーズ船などに搭載される大規模エンジンの性能、耐久性を最適化するための、新たな取り組みです。シェルは年間75万以上の潤滑油サンプルを処理し、オイルの品質と現在の性能に関する示唆を顧客に提供しています。これは、エンジンの修理や故障による顧客における潜在的な数百万ドルものコストを削減するだけでなく、シェルにおいてもオペレーションに要する時間、コストを大幅に削減することになりました。
成果をもたらすデータドリブンの文化
今では、シェルはデータとAIを通じて、オイルガス業界の境界を再定義しています。Shell.aiプラットフォームのキーコンポーネントとしてDatabricksを活用することで、オペレーションの効率を改善するためのデータ分析、機械学習モデルの配備を実現しています。
共通的なプラットフォームの活用は、エンジニア、データサイエンティスト、アナリストがより迅速、かつコラボレーティブ、データドリブンになることを可能にしました。今や、シェルでは160以上のAIプロジェクトが推進されていますが、これはまだ始まりに過ぎません。数年中には、シェルはデータとAIを活用することでさらなる技術的革新を実現します。これには、データを収集するための数兆のIoTセンサーから、グローバルサプライチェーンを改革する3Dプリンターによる設備、部品の作成までもが含まれています。そして、これを実現するShell.aiプラットフォームのキーコンポーネントの一つがDatabricksとなっているのです。
参考資料
- ユースケース詳細(PDF)
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シェル石油のユースケース:Databricks Apache SparkRを用いた大規模シミュレーションの並列化 - Qiita
- 在庫シミュレーションの技術的詳細を紹介しています。