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パーソナライゼーションの時代におけるセグメンテーション

Last updated at Posted at 2021-09-17

Segmentation in the Age of Personalization - The Databricks Blogの翻訳です。

本記事で参照しているノートブックへのリンク

パーソナライゼーションは、カスタマーエンゲージメントの標準モデルの先駆者です。自身でデジタル体験のパーソナライゼーションに成功した企業は、5%から15%の収益の改善、マーケティング投資に対するリターンが10%から30%増加したとの報告があります。今となっては、多くの顧客エクスペリエンスのリーダーは、店舗内体験にもパーソナライゼーションを拡張し始めており、消費者がどのように物理世界におけるブランドにエンゲージするのかを改革し、競合のはるか先に行こうとしています。

しかし、全てのカスタマーエンゲージメントの側面に対して、真のパーソナライゼーションを実現することはできません。小売業者が店舗を建設する決断をした際、サービスを提供しようとする人口の一般的な需要を検討します。店舗に備えるべき製品の選択肢に対しても同様の検討が行われます。消費財メーカーも同様に、新たなブランド、製品を立ち上げることを決断した際に、特定のターゲット顧客セグメントを検討します。そして、最もパーソナライゼーションを容易にデプロイできるデジタルワールドにおいても、ターゲットそしてある程度広範な消費者グループの需要を満たす様に、サイトやアプリを通じてコンテンツの組み合わせ、製品、サービスが提供される様に設計されています。

どうして個人をターゲットにしないのでしょうか?

基本的に、消費者が支払いたいと考える金額に対する、商品・サービスの提供に要するコストの話に帰着します。セグメンテーションの初期のアプリケーションにおいて製造者は、一般化された需要に対する特別な特定の製品ラインとターゲットの消費者グループが欲しがるものを、競合から差をつけることに使えるのではないかということに気づきました。これらの消費者と製品をうまく組み合わせることで、より魅力的になり、消費者が彼らの消費をシフトし、消費者、製造者両者にさらなる価値がもたらされることになります。この様な考え方の到達する先を見るために、著名な雑貨店で料理用オイルや日用品の通路を歩いてみると、非常に基本的な消費財であっても驚くほど様々な商品が並んでいることに気づくことでしょう。

図1. 消費者の異なる需要と目標の理解が数多くの商品の選択肢を生み出した

この考え方、すなわち、顧客を類似の需要、目標をもつグループ(セグメント)のメンバーとして考えることで、製品開発を顧客中心としたあらゆるビジネスファンクションへと拡張しました。顧客セグメンテーションによって、それぞれのグループは、特定の消費者グループの需要を満たすであろう製品、サービス、エンゲージメントの一般的モデルを設計することができます。しかし、この様なオペレーションはコストを必要とします。

異なるオファリングには、異なるプロダクション、デリバリーの手段が必要になります。特定のセグメントをターゲットとした製品、サービス、広告などを実行するためには、特別な設計、エンジニアリング、マーケティング、サポートが必要となります。差別化された製品によって得られる大きな価値によって、消費者はさらに支払いたいと考えるでしょうし、商品がより多くのお客を競合から引き寄せ、市場シェアを拡大し、スケールの経済は増加するでしょう。しかし、これはギャンブルです。

どうしたらセグメントが適切であることを確認できるのでしょうか?

これをギャンブルと呼ぶのは、完全に正確な表現ではありません。実際のところ、多くの企業は特別なオファリングを立ち上げる前に、顧客を詳しく調査し反応をテストするために、膨大な時間とリソースを費やしています。市場へのリリース、市場での地位を確立するまで、この分析は続きます。うまくいけば、オファリングは企業が利益を生み出せるニッチを支配することができるでしょう。

しかし、市場は決して安定しません。顧客のニーズ・目標、支払い能力・意図のシフト、規制の変更、そして、競合他社のアクションは特定のニッチの成功可否を変化させます。企業の差別化オファリングを生み出す能力の変化は、企業による市場へのアプローチも変化させます。

このため、企業は継続的に脅威・機会両方の観点で自身の顧客セグメントを再検証しつづけています。多くのマーケティング企業のキーとなるプラクティスとしてデータサイエンスが出現することによって、データサイエンティストはこれまで以上にセグメンテーションに関する会話に呼び出されています。

どのようにデータサイエンスをセグメンテーションに適用できるのでしょうか?

セグメンテーションはモダンマーケティングの基礎であるとよく言われます。60年以上の歴史を通じて、セグメンテーションを実施する際に利用できるテクニックとアプローチは、若干引くほどの量となっています。どのようにこれをナビゲートしたら良いのでしょうか?

最初に、現実世界の特徴としてセグメントは存在しないことを認めましょう。そうではなく、これらは我々が形作る一般化であり、これによって、それぞれの個人の消費者を形作るニーズ、嗜好、目標、モチベーションのユニークな組み合わせを要約することができます。セグメントの価値は、自身が示す絶対的な真実(実際には基礎となりますが)ではなく、この複雑性を取り扱う際の有用性です。

次に、企業が顧客を見る際には複数の方法があり、これらは異なるセグメンテーション定義となりえます。理想的には、企業が一貫性を持ってエンゲージできる様に共有できる観点があるべきですが、サブセグメントの定義や、別のセグメントの設計ですらも、特定のビジネスファンクションの文脈においては有用なケースもあります。

最後に、望ましく予想可能なリターンを得られる可能性が高いやり方でリソースをフォーカスできるので、セグメントの定義は有用です。しかし、既にリソースが特定のセグメントの設計に費やされている場場合があるので、新規セグメンテーションの観点に基づく顧客エンゲージメントのモデルの変更を行う際には、組織変更の懸念について注意深く検討を行う必要があります。

セグメンテーションのウォークスルー

データサイエンティストがどのようにセグメンテーションの取り組みを行うのかを説明するために、大規模雑貨チェーンにおけるプロモーションマネジメントチームを考えてみましょう。このチームは、全体の売り上げを向上させることを目的とした、数多くのプロモーションキャンペーンの実行に責任を持っています。現時点では、これらのマーケティングキャンペーンには、個々の世帯に郵送されるリーフレットとクーポン、製造者クーポンのマッチング、店舗内ディスカウント、人気のあるナショナルブランドの代替となる様々なプライベートラベルのストックが含まれます。

世帯によって反応率が異なることを知ったチームは、これらのプロモーションに対する反応に基づいて、顧客をセグメント分けできるのかを知りたくなりました。この様なセグメンテーションによって、プロモーションマネジメントチームは、それぞれのプロモーション投資に対して高い反応率を実現できる様に、それぞれの世帯をターゲットにできることが予想されます。

POSシステムから得られる履歴データとプロモーション管理システムから得られるキャンペーン情報を用いて、チームはプロモーションに対する様々な世帯の振る舞いを捕捉するための特徴量を作成しました。標準的なデータ準備テクニックを適用することでデータは分析できる様に整理され、k-meansや階層化クラスタリングのような様々なクラスタリングアルゴリズムを用いることで、チームは潜在的に活用できそうな2つのクラスターのデザインに落ち着きました。

図2. 様々なプロモーションに対する反応に基づき世帯を分類するオーバーラップセグメントのデザイン

これらのクラスターのプロファイリングを行うことで、チームのマーケターは顧客の世帯は大きく2つのグループに分かれることに気づきました。クーポン・リーフレットに反応するグループと、反応しないグループです。さらに分割を行うと、プロモーションのオファリングごとの反応の度合いに違いがあることがわかりました。

図3. クラスター間の振る舞いの違いを特定するためのクラスターのプロファイリング

クラスターの作成自身には用いなかったデモグラフィック属性で世帯を比較すると、年齢や他の要因によってクラスターのメンバーを分離する興味深いパターンが見えてきました。この情報はクラスターのメンバーを予測する際に有用なだけでなく、特定の世帯グループをターゲットとしたより効果的なキャンペーンのデザインに役立つことに加え、チームはこれらの結果を強調しすぎる前に、追加のデモグラフィックデータを収集する必要があることに気づくことができました。

図4. 振る舞いベースの顧客セグメントの構成要素における年齢ベースの差異

この分析の結果によって、データサイエンティストとプロモーションマネジメントチームの間で新たな対話を引き起こしました。クラスターの設計をシンプルなものにし、全体的なクラスターの安定性を評価するための手段として、世帯を区別するための重要な特徴量が何であるのかにフォーカスした、初期の発見に基づいた次の分析が実施されます。後続の分析では、プロモーションエンゲージメントの変更がどのように顧客の消費にインパクトを与えるのかを理解するために、様々な世帯から生み出される利益も検証することでしょう。この情報を用いることで、チームは経営層に変更を納得させることができる能力が得られるものと信じています。プロモーションターゲットの変更が承認されれば、チームはこの分析で用いられたのと同じデータの大部分を用いて、世帯の消費、プロモーション費用、キャンペーンに対する反応をモニターするための計画を立てます。これによって、チームは彼らの費やした労力のインパクトを評価し、いつセグメンテーションのデザインを見直すべきかを特定できる様になります。

ここで説明されたワークフローの分析パートを検証したいのでしたら、普通に利用できるデータセットとDatabricksレイクハウスプラットフォームを用いて記述された以下のノートブックをチェックしてみてください。

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