はじめに
私の本職である学校教育について書いていきたいと思う。これを読んでいる教員は多くないかもしれないが、皆昔は生徒だったと考えるとほぼ全員が関係者とも言える。さらにその印象・評価は各個人や見方によって実に様々に分かれる。学校とは不思議な場所である。これから実状などを書いていこうと思うが、全国には実に様々な学校がある。従って、基本的には「私の務める学校(地方の私立中・高)では」と、という前提で読んで欲しい。
現状
コロナ禍でGIGAスクール構想が前倒しで実施された、というようなニュースを目にされたことがあると思う。学校の状況はこの2年で一気に様変わりした。私の学校では、教員・生徒ともにiPadを支給(教員はpro!!)、全校にwifiを張り巡らせ、教室にはプロジェクターまたは大型スクリーンを設置した。現在のレベルでは十分すぎる設備であると考える。では、肝心の授業での活用、生徒の利用状況はどうだろう。ほとんど使えていない、という報道が多いような気がするが、実際には思った以上に素早く対応し、活用している教員も多い。実際は以前から研究していたが環境がなく実施できなかったが、やっとできる!という意識の高い先生方も多い。当然ここにもグラデーションがあり、これは想像通りであるが、年齢が高くなればなるほど現状維持を好む傾向にある。しかし、実際には報道よりも積極的に前向きに捉えている先生方が多い(本校では)ということは伝えておきたい。
問題点
最も大きな問題点は、ではICTを導入しましょう!という話になったとき、残念ながら声の大きな先生の意見が強ということだ。会議担当メンバーはどうしても年配の先生方が多くなり、結果「今までこれでやれたんだから変える必要ないだろう!」となりがちであることである。どんなに整備しても良いプロダクトを作っても採用してもらえないのである。
今回感じたこと
ICTなど新しいこと、技術に関して若い方と年配の方(ここではあえて分かりやすくデジタルネイティブと非ネイティブとさせてもらう)の違いを考えてみたい。現状維持を望む非ネイティブは、導入したくない、ICT嫌い、という人ばかりではない。ただ、導入するなら今まと全く同じことができて、自分にとって全く同じ感覚で扱え、かつ効率は上がるならいいよ。という感覚が強いようだ。自転車は乗れるが、自動車には乗ったことがない人がいたとしよう。例えるならば、時速60kmまで出る自転車で今までと同じように程よい運動になり、高齢者も子供も乗れる、尚且つ安全に移動できるものならば使うけど、自動車は免許がいるし動かし方も違うから嫌だ。という感じだ。ネイティブは運転を覚えると今まで行けなかったところへ行ける、時間が短縮できる。ではそこで、その時間で新しいことができる、と考える人が多いというところか。
これが現状である。嘆いていても仕方がない、結局導入してもらうにはほぼ自発的に何も新しいことをしなくて良いプロダクトが必要となってくる。AIなどを使って自動でやってくれるものでないと大きな変革は起こせなさそうなので、まだ少し時間がかかりそうだ。
学校教育について
少し外れてきたので教育の話に戻したい。様々なデータを見ていると、これからの社会ではICTを活用できる人材へと育てなくてはならない、と切に思うが、教員には危機感がない。やはり学校というものが社会とは隔絶しているせいだと思う。子供達を社会へ出すための訓練として学校があるはずなのに、実際はかなり特殊な状況の場所だと言わざるを得ない。大変な状況を肌で感じている個人事業主の方や経営者の方の話と、教員仲間との話には大きすぎるギャップがある。そんな世の中に送り出していかなくてはならないのに何十年と変わらぬ価値観で構成された今の教育、偏差値重視で良いのだろうかと疑問を持たないのか、と言いたくなるが、そもそも隔絶されていると思えば仕方ないことかとも思う。多くの教員は多忙すぎてそんなことを考える余裕がないということも大きいと思うが。
私はもっと学校を社会へ開き、教員を社会へ繋げたい。現状でも教員は一生懸命努力をしているが、残念ながら子供のためになっていないことも多いのではないかと思う。教員は広い視野を持ち、子供たちが出ていく社会がどのように変化をしていくのか、想像しながら適切な教育を行っていかなくてはならない。変化の早い今の時代、残念ながら「これまでの慣例」「先輩たちのやってきたこと」といったものが通用しないことも多くなるのは当然である。教員1人ひとりが常に社会とつながりを持ち、勉強し続けなくてはならない。そのために何かできないか、という思いでG'sへ入学した。幸い素晴らしいチューターの方、同期に恵まれ忙しいながら充実した日々を過ごしている。G’sのメンバーのように、自分の意志で新しいことにチャレンジしてみよう!というマインドセットを持った生徒に育てたい!それをサポートするのが学校教育でありたい。その実現のために、何ができるのか、why Meを続けてみたいと思う。