はじめに
チャットツールの自身の発言を見返す機会があったのですが、面接や1on1という業務の開始から1年以上経過していることにふと気づきました。
それまでは時間経過を意識したことは無かったのですが、2023年ももう終わってしまうので2024年の準備として
- きちんと言語化して再現性を保ちたい
- 自分と同じような立場の方やそこを志す方の助けになりたい
という背景から得た経験値や自身の価値観を執筆します。
記事の目次
- マネジメント業務として勘違いされることあるある
- 文化 編
- 文化について知る
- 文化の体現方法
- 安定の提供
- リーダーのミッション
- 管理職 アンチパターン
「マネジメント業務として勘違いされること」あるある
技術面でのフォローや会社のローカルルールを伝える
役職に関係なく会社の先輩として後輩に「仕事を引き継ぐ」というのは当たり前の行動です。
先輩として相手のペースで情報共有していきましょう。
「毎日定期的な間隔で必ず話しかける」をマイルール化してしまう
多いのが、
- 話しかけてあげている、と思っている
- その人と仲良くなる為に、が動機になっている
となってしまっているケースです。
小さな親切大きなお世話という言葉がありますが、本当に話しかけて欲しいと思っているかどうかはきちんと様子を見ましょう。※本当は貴方とそんなに話したくないかもしれません
また、「仲良くなりたい」は相手の情報収集をしたい為であって、自分のメリットにはなるが、本人にとってはメリットが無いケースがあります。
相手は下手に出てくれていますが、決して鈍感なわけではありません、「この人わざと褒めているな」や「この人は管理職として自分に話しかけているな」はすぐにバレます。
我々はビジネスパートナーであって決して友達ではありません、相手の様子をみて干渉しましょう。
困ったらなんでも相談してね
絶対に相談してもらえません。
逆に距離を作ってしまう発言なので避けたほうがベターです。
文化 編
企業文化について知る
会社や組織には必ず明文化された文化が存在します。
経営理念だったりパーパスだったりです。
全員が文化を体現出来るようにするのはマネジメントのお仕事です。
文化 is 何
文化とは他者の真似の連鎖です。
流行と文化の違いは、その連鎖が一過性かどうかです。
最近「チョベリバ」って言ってる人はなかなか見ないです。
文化はなぜ必要なの?
大前提として、文化の体現をしようと思ってない人が役職についてしまうと事件や事故が起きます。
下の図の[赤色の棒人間]が「この会社はクソだ。あのシステムはクソだ。」みたいなことを言い始めると、そのチームのメンバーは本当にそう思っていなくても、上司の真似をして「そうですね、クソですね」と言い始めます。
この悪習は必ず他の組織にも波及していきます。
結果的に会社の全員が「〇〇はクソだ。この会社は人を大切にしない。頑張ってもどうせ評価されない。アイツとはやっていけない。」などと全員が好き勝手にネガティブな噂を流し始めます。
「嫌いな人とは仕事が出来ても、価値観が合わない人とは仕事が出来ない」とよく言われますが、まさにその通りで、
「皆で足並み揃えて成果を出しましょう」という文化を持つ会社もあれば「個々人の個性で戦っていきましょう」という文化の会社もあります。
「会社の価値観」と「個人の価値観」が異なる場合は、遅かれ早かれ退職に繋がるので、文化を設定し明文化しておくことは会社と個人の双方の視点から見ても理にかなっていることがよくわかります。
文化の体現方法
文化の体現方法には2つの方法があります。
リスペクトと秩序です。
(模範的行動への) リスペクト
そもそも、会社から与えられた役職というのは「貴方は優れている特別な人間ですよ」というレッテルを貼られているわけでは決してありません。
会社から「役職パワーによる影響力」という道具を一時的にレンタルしている立場なのです。
「影響力」という道具を用いて、周囲の模範的な言動に同意や尊敬や感謝を相手に伝えることで、受け取った側は「自分って間違ってなかったんだ、もっと似たようなことを再現していこう」と前向きかつ率先的に文化の体現をして頂けます。
これが1つ目の(模範的行動への)リスペクトです。
秩序 (割れ窓理論)
文化とは「他者の真似の連鎖」であると前述しましたが、
良いことも悪いことも人は人の真似をします。
例えば
- ミーティングの時間に毎回5分遅刻しても許されている
- 残業の際は報告するルールでも守らないがなんとなく許されている
こういった「行動への許容」は役職に関わらず先輩の行動を、100%後輩は真似をします。
※100%絶対です。
※なので後輩が直接の原因ではなく先輩の行動に問題があるケースもありえます。
こうなると社長が体現したかった文化とはかけ離れた文化形成が行われていきます。
これを発見した際は、
- 対象の人の名前は伏せて再度合意形成を取る
- 上長は絶対に破らないを徹底する
- 度を越している場合はきちんと本人に伝える
が必要となります。
また、役職が上がれば上がるほど徹底かつ率先して秩序を守る必要があります。
もし「自分が守らなくても回ってるし」と思ってる場合はメンバーからかなりの信頼を失っているので危険信号です。
安定の提供
リーダーには「信頼・安心・納得」をメンバーに提供する義務があります。
この3つを担保することによってチームは安定的に働けたり成果を出すことが可能になります。
信頼とは
信頼には色んな種類があります。
- 期日や納期への信頼
- 周囲が成果を出すという信頼
- 分業への信頼
- 嘘をつかないという信頼
- 攻撃をしてこない人であるという信頼
安心とは
- 業務で困ったらその内容に応じて適切な部署が親切に助けてくれる
- 将来的にもこの会社でやっていける
- サービス(プロダクト)が安定稼働している
- 会社や個人の収益や成長が安定して伸びている
- メンバー間の公平性が保たれている
納得とは
- 上司の評価に納得ができる
- 会社の文化に納得ができる
- 周囲の意見や判断に納得ができる
- 目的に対する自分なりの方法論を周囲が納得して聞いてくれる
- 方向性に納得し、命令ではなく自発的に仕事を進められている
これらすべてをメンバーに提供できて初めて「管理職」といえます。
これは持論ですが、管理職とは「従業員の行動の監視」ではなく「組織の安定の可観測とその調整」だと考えています。
リーダーのミッション
2つあります。
1つはチームの成長。
2つめは採用です。
※ 本記事で採用の話は割愛させて頂きます。
成長機会の創出
チームの成長を細分化すると自分を含めた個人レベルでの成長が必ず必要となります。
しかし、管理職の能力でメンバーを成長させるような魔法というのは存在しません。
なぜなら、専門的な分野の能力は管理職側の方が劣っているケースが多々あるからです。
なので、個人の成長を促すには職位権限を発動させサポート(援護射撃)を行うことで成長機会の提供というアプローチを取ります。
以下がアプローチの一覧です。
- 成功体験を獲得した際に再現性の為、本人に要因を言語化してもらう
- チーム全員で課題感や打ち手へのロジカルトレーニング
- 模範的行動への賛同と感謝
- 意欲のある案件の主担当としてアサイン (※絶対に声が大きい者勝ちにしないこと)
- 不要な承認フローの排除
- ステークホルダーとの代理交渉
- 成果の共有と布教活動
- 業務ブロッカーの排除
- 本人の求める情報へのアクセスと収集
- その人の関心事の記憶
- 本人のプライベートや会社の中の意外な部分が意欲やブロッカーに繋がっています
- 手段の正しさや明快な回答を求めすぎない
- 事象に深く考えて頂けたら感謝、更に行動に移して頂けたら大感謝
- 組織として向かうべき目的・方向性の修正やそこに対する納得感の形成
- その方向に向いて貰わないと本人や組織にとって困る場合は一度の話し合いで合意を得ようとせず、周期的に根強く同じことを何度も繰り返し伝えましょう
- 平等な承認やリスペクト
- 本人にもメリットがある形での適切なポジションへの配置
管理職 アンチパターン
NGワードの発言
立場が異なることによって言ってはいけない内容やワードなどがあったりします。
個人情報だったり特定の個人だけが傷つくようなことやエンゲージメントを下げるような言動です。
求められてない状況で細かい指示をしてしまう
これをやると成長機会の創出と逆行してしまいます。
「指示がないと動いてはいけないんだ」と思わせたり、考える機会(チャンス)を奪ったりしてしまいます。
自他や周囲の意見を同等に扱わない
自分の意見だけだったり特定の個人だけの意見を尊重するような振る舞いはやめましょう。
「どうせ、言っても意味がないと思われる」=>「言わなくなる」=>「エンゲージメントが下がる」=>「退職」
となります。
成長の強要
無理に答えを引き出そうとしたり、ロジカルトレーニング(脳の筋トレ)を本人が苦しんでいるのに求めるはやめましょう。
短い期間で成長してもらおうとすると必ず信頼を失います。
そして失った信頼関係は修復が出来ないと思ったほうがいいです。
相手から求められていないのに「こうすると成長できるかも」のアドバイスをするのはやめましょう。
「相手が納得していないことは何を言ってもやっても絶対にやってもらえない」ことを知りましょう。
なんだったら求められていたとしてもしない方がよいと思います。
まとめ
noteで有料コンテンツとして売ってもいいのではないかと思いながら書いてみたのですが、如何でしたでしょうか?
「無料で妥当でした」でも過去の上司とのエピソードでもいいので感想頂けると嬉しいです。w
2023年も色々ありましたが、関係各位や弊社のエンドユーザ様に感謝しかありません。
来年もよろしくお願い致します。
良いお年を
(※ 2023年の最終出社日に執筆)