1. はじめに
Webサイトやアプリのパフォーマンスを正確に把握し、改善するためには、信頼性の高いデータ分析が欠かせません。私自身、実際にGA4のデータ探索を活用して様々な分析を行う中で、その必要性を実感しました。しかし、データ探索を行うなかで、いくつかの「疑問」や「理解が曖昧な点」が多々ありました。なので、こうした経験から、GA4のデータ探索についての理解を深め、その具体的な活用方法を共有することで、同じようにデータ分析に取り組む方々の助けになればと思い、本記事を書くことにしました。
2. データ探索とは
データ探索とは、収集したデータを詳しく分析し、パターンやトレンド、異常値を発見する機能です。具体的には、データ(ユーザーの行動データ等)の収集、分析、可視化を行い、データの全体像を理解して、問題点や改善点を特定することが可能になります。また、データを理解することで、思いがけない需要を見つけ出し、新しいサービスの開発に繋げることができます。また、異常値の検出やトレンドの変化を早期に分析して対処することでWebサイトやアプリの運営における安定性を確保することが可能になります。
3.知っておきたい重要語句
以下の表に知っておきたい重要語句についてまとめています。他にもたくさんの重要語句が存在しますが、以下の語句を理解しておけば以降の説明は理解できると思います。
語句 | 意味 |
---|---|
イベント | ユーザー行動ごとの種類。ユーザーの特定の行動をトラッキングするためのもの。例)クリック、スクロール、動画再生などの行動ごとの種類 |
パラメータ | イベントに付与される詳細な属性で、イベントの具体的な情報を提供。例)ボタンのID、スクロールの深さなど |
指標 | データの定量的な測定値。例)セッション数、ページビュー数、コンバージョン率など |
ディメンション | データの分類基準や属性を示し、分析の軸となるカテゴリ。例)地域、デバイス、ブラウザ、ユーザータイプ(新規/リピーター)など |
セグメント | Webサイト全体に対して「一部のデータ」を指す概念 |
4.自由形式の「データ探索」活用
自由形式の「データ探索」はディメンションと指標を組み合わせて作成する表形式の探索レポートとなっています。以降、作成ガイドや活用テクニックについて記述していきます。
作成手順
自由形式の探索レポートは、GA4において最も汎用性が高く、利用頻度が高い探索レポートの一つとなっています。また、このレポートは、表形式でデータを出力できるため、様々な分析に対応することが可能です。
作成手順は以下の通りです。
- 「空白」の新しいデータ探索を作成
「自由形式」を選択してもよいが、こちらを選んだ場合、なんらかのディメンションや指標が設定されてしまうので、ディメンションや指標を自分ですべて選択したい場合は「空白」を選択することをおすすめします。
作成すると以下のような画面が出力されます。
- [変数]列の設定
まずは基本となる「ディメンション」と「指標」を設定していきます。
「+」ボタンから追加できます。 - [設定]列に先ほど追加した「ディメンション」と「指標」を設置
「ディメンション」は行 or 列に設置可能です。
※「ディメンション」は最大で行に5個、列に2個設置可能です。
※「指標」は最大10個まで設置可能です。
また、表示できるデータの行数や列数はいくつか選択できるのですが上限がありますので注意してください。行の場合は最大500、列の場合は最大20となっております。
行に設置した場合、以下のように出力されます。
列に設置した場合は以下のように出力されます。
以上が基本的な作成手順です。この手順に従うことでデータ全体の分析を行うことが可能になります。
作成・分析時に使用できるテクニック
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フィルタ
[設定]列の最下に存在する「フィルタ」を用いることで、「ディメンション」や「指標」を対象に、特定の条件を満たすデータのみの表示ができるようになります。
例えば、「月」という「ディメンション」を対象に12月のみのデータを表示するには以下のように設定します。
また、「フィルタ」を用いた条件定義は1つのみしか設定できません。しかし、「12月」の「9時~12時(午前中)」のデータを分析したとき、フィルタを適用させようとすると「12月」か「9時~12時(午前中)」のどちらかの条件しか絞ることができません。
その場合に使用できるのが次に記述する「セグメント」です。 -
セグメント
[変数]列における「セグメント」に存在する「+」をクリックすると以下の画面に遷移します。
基本的にはユーザーデータで分析を行うため「すべてのユーザー」にチェックを入れ、右上の「新しいセグメントを作成」をクリックします。
続いて以下の画面で任意のセグメントを選択します。
この図のように、セグメントには以下の表に示す3種類が存在しているため、目的に合ったものを選択してください。種類 対象 ユーザーセグメント ユーザー セッションセグメント セッション イベントセグメント イベント 任意のセグメントを選択すると、条件設定画面に進みます。
そこでは、フィルタと異なり、複数の条件を設定可能です。
また、上部のタイトルがセグメント名となりますので分かりやすい名前を付けましょう。 -
計算フィールド
「管理」→「プロパティ設定/データの表示」→「カスタム定義」からカスタム指標を作成し、独自の分析基準を設定可能です。 -
エクスポートオプション
探索レポートをCSVやPDF形式でエクスポートすることが可能です。 -
探索レポートの表示形式
表示の形式もいくつか存在するため目的に合ったものを表示しましょう。
以下の表が各表示形式とその概要の説明です。形式 概要 棒グラフ データの比較に適しており、異なるカテゴリ間の違いを視覚的に把握することが可能 書式なしテキスト 数値データをシンプルに表示することで数値情報のみを分析可能 ヒートマップ データの分布や傾向を視覚的に示し、パターンや以上の発見を手助け
効果的な活用方法
自由形式の探索レポートを効果的に活用するためのポイントは以下の通りです:
- 目的に応じたディメンションと指標の選定: 分析の目的に合わせて、適切なディメンションと指標を選びます。
- フィルタの適用: 必要なデータに絞り込むためにフィルタを活用し、特定のデータを分析します。
- 視覚的な表示形式の選択: 棒グラフやヒートマップなど、データの特性に合わせた表示形式を選びます。
- セグメントの活用: 特定のユーザーグループに焦点を当てた分析を行い、詳細な分析を可能にします。
5. まとめ
Webサイトやアプリのパフォーマンス向上には、データ探索が欠かせません。
データ探索の中でも自由形式の探索レポートは、柔軟な表形式でデータを分析できるため、様々なニーズに対応できます。 これを用いることで、ユーザーの行動パターンやトレンドを把握し、データに基づいた意思決定をすることで、Webサイトやアプリのパフォーマンスを効果的に改善できるでしょう。
この記事が、GA4のデータ探索を理解し、活用する助けとなれば幸いです。