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Copilot for Microsoft 365 について (3)

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「Copilot for Microsoft 365 (以下「Copilot for M365」という)」は複数の製品・サービスで構成されているため、その境目や使い分けに苦労されるケースも多いのでは無いかと思います。
そこで、今回は含まれている機能を大きく分類して、そのカテゴリーごとに紹介したいと思います。

概観のためのマインドマップ

image.png

このマインドマップは、私が自身の整理のために作ったものですが、皆さんに機能の分類をして頂く際にも参考にして頂けるのでは無いかと考えています (今回は、Teams と連携できるマインドマップ ツールを使って書いたのですが、ツールの使い方に慣れていないため、意図したものと若干ギャップがありますが、このまま進めていきたいと思います)。

固有の機能

まず、上から順番に「固有」の機能からスタートしたいと思います。

この「Office 文書作成」機能ですが、前回ご紹介した仕組みで動いています (Copilot for Microsoft 365 について (2))。
現在 (3/17 時点)、「Microsoft 365 Apps (以下「M365 Apps」という)」でこの機能が使えるのは、Word、Excel (プレビュー)、PowerPoint、Outlook、Teams といった主力アプリケーションだけでなく、OneNote、Loop、Whiteboard といったアプリケーションにまで拡大しています。
そのため、Office 文書作成という枠で表現しきれない部分 (操作の自動化や支援機能) も出てきていますが、基本は ODSL から Office JavaScript API を呼び出す仕組みと併せて、それぞれのアプリに生成 AI による機能を付加しています。
この仕組みが整備されていくごとに Copilot for M365 でできることが増えますし、今後も使い勝手の向上に期待ができる領域となっています。

次に「組織内情報の参照」機能です。
これは、M365 Apps の各アプリ内からと Teams やブラウザから利用する「Copilot (M365 用)」で利用可能となっています。
前々回の記事 (Copilot for Microsoft 365 について (1)) でも触れた組織のテナント内に蓄積されたデータベースである「Microsoft Graph」とそれらとコンテンツを参照して作られる「Semantic Index」が実現している機能となります。
いわゆる RAG の仕組みが実現している機能ということとなります。

さらに Microsoft Graph に外部の情報を取り込む「拡張性」の手段として存在しているのが「Graph コネクタ」となります。
通常、Microsoft Graph は Microsoft 365 のテナント内の情報しか蓄積しませんが、オンプレミス製品や他社のクラウドサービスの情報を Microsoft Graph に取り込むことが可能となります。
各ベンダーが様々な製品に対応したコネクターを提供していますが、以下のサイトで目的とするコネクタを検索することができます。

Microsoft Graph コネクタ ギャラリー

また、検索した結果、お目当てのコネクタが見つからなかったとしても「Microsoft Graph コネクタ API」を使って、自作のコネクタを作成することも可能です。
どちらにしても、Graph コネクタ経由で取り込んだデータを元に Semantic Index のインデックスが新たに作られますので、そのための領域 (インデックス・クォータ) が別途必要になりますので認識しておいてください。

もうひとつの拡張性が「Copilot プラグイン」となります。
仕組みとしては、OpenAI 社の ChatGPT 向けのプラグインと同様に外部の情報を取り込み AI による生成に利用することが可能となります。
Graph コネクタとの大きな違いは Microsoft Graph のデータベース内にデータを取り込んで Semantic Index のインデックス作成の対象とするか、取得したデータを生成 AI に直接渡すかの違いとなります。

汎用の機能

次に「汎用」の機能に関してです。

ここでいう汎用というのは ChatGPT に代表される GPT 系の生成 AI、LLM (大規模言語モデル) が持つ機能という点での汎用となります。
いわゆる巷で ChatGPT 向けに作られた「プロンプト」を活用した「プロンプト・エンジニアリング」がそのまま活用できるといういう意味での汎用です。

ただ、この中でも「Copilot (M365 用)」は、以前「M365 Chat」と言われていたもので、Teams や ブラウザから利用することができる機能です。前述の通りに Microsoft Graph や Semantic Index を参照することから、一般的な話題よりも組織内の情報に関する質問を投げかけることで、より役立つ機能と言えるかも知れません。
ちなみに、Copilot (M365 用) は、「GPT-4」の能力を活用することができます。

次に「Copilot (旧:Bing Chat Enterprise)」ですが、こちらは従来 Bing の名前が入っていたことからも、検索との相性が良いサービスとなっています。「Prometheus (プロメテウス)」と呼ばれるアーキテクチャを活用して、最新の情報を検索した上で生成を行ってくれる仕組みとなっています。GPT-4 だけでなく、最新の「GPT-4 Turbo」や画像生成機能の「DALL・E 3」などの OpenAI 社の新しいモデルを使った生成を行うことができます。GPT-4 以降が持つマルチモーダル機能を Microsoft 365 E3/E5 ユーザーであれば無償で活用することができるのは大きな魅力です。最近のリリースでは「Deucalion (デュカリオン)」と呼ばれる新しいモデルを採用してアップデートを図ることが発表されています (ちなみに、デュカリオンはギリシャ神話の中でプロメテウスの息子になります)。

共通の機能

最後に「共通」の機能に触れて終わりたいと思います。

ここでは、「商用データ保護」の機能を取り上げておきたいと思います。
組織がこうした生成 AI を使う際に付きまとう不安が、企業内の機密情報などが外部に漏れたり、生成 AI のトレーニングに使われないかという点です。この点に関しては Copilot for M365 も他のマイクロソフトの生成 AI サービスと同様に「Responsible AI (責任ある AI)」という「アカウンタビリティ、包括性、信頼性と安全性、公平性、透明性、プライバシーとセキュリティ」の 6 つの原則からなるフレームワークを設けています。これらに関しては改めて触れたいと思います。

マイクロソフトのクラウドサービスの中では、情報保護の要となるのは「Entra ID」となります。これは生成 AI に限らず、その他の各種サービスでも基本となっている認証・認可の仕組みとなります。この Entra ID によるアクセス制御が適切に行われていれば、生成 AI による生成物に意図しない情報が含まれることを防ぐことができます。また、こうした制御を行う際にオーケストレータ内部で行われている処理も深く関係してきます。オーケストレータの中ではテナントやユーザーに関わる情報を分離・除去する処理が行われており、組織の情報を守ることを実現しています。組織が安心して生成 AI を使うために非常に重要な役割を果たしています。

まとめ

今回は、Copilot for M365 の持つ機能を大きなカテゴリーごとに分けてご説明することで、利用者の皆さんの理解に役立てればとチャレンジしてみましたがいかがだったでしょうか?
公開情報だけではなかなか見えてこない部分をご理解頂く一助になれば幸いです。
これまでの記事で大枠のイメージを掴んで頂けたことと思いますので、次回以降は詳細な部分に触れられればと思います。

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