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個人用の"無償版G Suite"からメールサーバーを移行した件

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1.はじめに

 2007年から個人用に使っていた無償版G Suite (旧Google Apps for Your Domain)の提供が終了という連絡を受けました。
この無償版G Suiteは、独自ドメインでGmailを使えるサービスでした。
家族で使っていて、とても便利だったのですが、有償プラン(Google Workspace)に移行すると年額8,160円×10アカウントみたいに課金が生じるので断念。
そこで、さくらインターネットのレンタルサーバーへ移行することにしました。

2.前提条件

【移行前】
・無償版G Suiteを独自ドメインで利用
・家族分のアカウントを運用(10個)
・クライアントは、ブラウザとiPhone版のGmailアプリ
・ドメインは、onamae.comのDNSサーバーを利用

【移行後】
・さくらインターネットのレンタルサーバー(ライト版)
・家族分のアカウントを運用(10個)
・クライアントは、macOS版のMailアプリとiPhone版のMailアプリ
※さくらインターネットでもWebメールは用意されているが、ちょっとUIが古いので、パスワードの変更などでのみ利用。
・ドメインは、onamae.comのDNSサーバーを利用(継続)

3.メールサーバー移行手順

 家族で複数アカウントを使っているため、移行は次の(1)〜のようにしました。
ちなみに、既存の無償版G Suiteのデータはアカウントごとにダウンロードすることができます。
わたしは、メールサーバーを移行してから、データのダウンロードを行いました。
受信用のメールサーバーが切り替わるタイミングは、DNSサーバーのMXレコードを書き換えた時です。
それ以降は、旧サーバーにメールが送られることは基本的になく、新メールサーバーへ送信されることになります。
(ただし、一部の送信者のメールは、DNSを切り替えた後もしばらく、G Suiteへ送られることもあり、DNSの変更が浸透していないのか、ここは謎です。)

(1)レンタルサーバーを契約します
 メール専用プランもありますが、今回はライトプランにしました。ライトプランは、Webサーバーのレンタルも付いていますが、100GBまで使えるようです。ただし、メールは1アカウント2GBという謎の制約条件がついています。
さくらインターネットレンタルサーバー

(2)新メールサーバーの設定を行います
レンタルサーバーのコンソールにアクセスし、独自ドメイン名(例、example.com)を追加します。

(3)ユーザーアカウントの追加します
これまで使っていたメールのアカウントと同じ文字列で新メールサーバーでメールのユーザーアカウントを追加します。
このとき、各ユーザーごとに初期パスワードを設定します。(hogehoge1@example.com等)

(4)DNSサーバーの移行します
独自ドメインは、onamae.comで登録しているため、onamae.com側のコンソールにブラウザからアクセスします。
 G Suite関係のDNSのレコードはたくさんありますが、メールサーバー移行で必要なものは、MXレコードです。
※Webサーバーのホスト名とIPv4アドレスの情報は、Aレコード、ホスト名とIPv6アドレスの情報はAAAAレコード、別名はCNAMEレコードです。

従来のMXレコードは、

ホスト名 TYPE TTL VALUE 優先
example.com MX 300 aspmx.l.google.com 1
example.com MX 300 alt1.aspmx.l.google.com 5
example.com MX 300 aspmx2.googlemail.com 10

というように登録されています。これらのgoogle関連のMXレコードを削除し、
新しいさくらインターネットのサーバーをMXレコードに設定します。

ホスト名 TYPE TTL VALUE 優先
example.com MX 300 ****.sakura.ne.jp 1

また、送信ドメインを認証するためのSPF(Sender Policy Framework)レコードについては、

ホスト名 TYPE TTL VALUE
example.com TXT 300 v=spf1 include:aspmx.googlemail.com ~all

のように書いてある部分を次のように変更します。(ホスト名=www****.sakura.ne.jpの例)

ホスト名 TYPE TTL VALUE
example.com TXT 300 v=spf1 a:www****.sakura.ne.jp mx ~all

このようにDNSサーバーの設定を変更すると、
上位のDNSサーバーへ順次浸透していきます。数分から数日で各DNSサーバーで応答することになります。
このDNSサーバーの設定を変更すると、これまでG Suiteのサーバーへ転送されていたメールが新サーバーへ転送されるようになります。

4. 既存メールサーバーのデータダウンロード

既存の無償版G Suiteのデータは、すべてダウンロードすることができます。

(1)Googleアカウントへログインします
    https://myaccount.google.com/?hl=ja

(2)データとプライバシーのメニューに移動します

(3)「データをダウンロード」を押下します
Google データ エクスポートというタイトルの画面が表示されます。
https://takeout.google.com/?hl=ja

新しいエクスポートの作成にあるチェックボックスを選択します。
私は、「Access Log Activity」以外、全て選択しました。
「次のステップ」ボタンを押下します。

・配信方法:ダウンロードリンクをメールで送信
・頻度:1回エクスポート
・ファイルの形式とサイズ:zip、10GB

「エクスポートを作成」ボタンを押下します。

しばらく、数分から数時間待つとエクスポートできるようになります。

5.既存メールサーバーのデータの復元

MacOSに標準で搭載されているMailアプリにアカウントを追加します。
(1)メールメニュー→アカウントの追加を選択
(2)その他のメールアカウントを選択し、「続ける」押下します。
(3)名前、メールアドレス、パスワードを入力し、「サインイン」を押下します。
(4)ダイアログボックスに次の情報を入力します。

項目名
メールアドレス abc@example.com
ユーザー名 abc@example.com
パスワード **********
アカウントの種類 IMAP
受信用メールサーバ ******.sakura.ne.jp
送信用メールサーバ ******.sakura.ne.jp

なお、受信用のメールサーバーのポート番号は993(TLSあり)です。

これでMailアプリにアカウントが追加できました。
(5)ファイルメニューから、メールボックスを読み込むを選択します。
(6)データの読み込み元=mboxフォーマットのファイルを選択します。
(7)3.でエクスポートしたファイルの中に.moxファイルがあるので選択します。
(8)Mailアプリの左側に読み込んだ既存のメールボックスが追加されます。
IMAPの領域が2GBなので、わたしはこのままIMAPにはコピーせずに使うことにしました。

6.おわりに

久しぶりにメールサーバーの移行をしました。これで、安価に家族のメール環境を使い続けることができます。
ただ、メールの着信の確認がプッシュではなく、フェッチ(手動、時間指定)になるので、Gmailアプリのようにリアルタイムで確認することはできません。
昔は、MicrosoftのActive Syncプロトコルなどでリアルタイムなプッシュなどができるのもありましたが、メールはあまり進化してないですね。
何かのご参考になれば幸いです。

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