こんにちは!この記事は、電子回路をこれから学ぶ方・設計していきたい方向けに、
「抵抗(Resistor)」の基本から実践までをやさしく解説する入門記事です。
・電子工作を始めたばかりの方
・これから回路設計を学ぶ学生やエンジニアの卵
・CADや回路図で「R1」「1kΩ」など見かけるけど、よくわからない方
そんな方に向けて、「なんとなく使う」から「ちゃんと使える」へ
ステップアップできる内容を目指します!
🗂️ 目次(Table of Contents)
✅ 抵抗ってなに?
抵抗の大前提の定義は電気の流れを制御する部品 です。
しかし電子回路のにおいて、
抵抗は電流を制御したり、電圧を分けたり、信号ラインを安定化させるなど、
非常に多くの役割を持った受動素子となります。
例えば:
- LEDに流れる電流を制御(電流制限抵抗)
- ADCの基準電圧作成(分圧回路)
- 信号ラインの終端処理(ターミネーション抵抗)
- プルアップ/プルダウン抵抗で状態を決定
などがあります。
特徴はシンプル(電気の流れを制御)なのにこれだけの役割を持っているのはすごいですよね?
そのおかげでおぼえることが増えてしまいますが笑
ココから先では実際に抵抗をどのように扱うのか、どのような種類があるのか
解説していきたいと思います。
🔢 オームの法則
オームの法則は、電圧(V)、電流(I)、抵抗(R)の関係を表す超基本公式であり、
回路設計を行う上でとても重要となるのでしっかり覚えておきましょう!!
公式:
V = I \times R
単位:
- V:電圧(ボルト,V)
- I:電流(アンペア,A)
- R:抵抗(オーム,Ω)
この式を使えば「電圧に対して、抵抗値がいくつなら、どれくらいの電流が流れるか」が
簡単に計算することができるようになります。
🧪 回路例:LEDと抵抗

上記の回路はLEDを点灯させるための回路です。
電圧5Vで電流を20mA流したいとき抵抗値は何Ωにすればよいのか考えてみましょう。
※ダイオードの順方向電圧(VF)は0V(電圧降下なし)として考えて下さい
解答を表示する
オームの法則より
\begin{align}
V &= I \times R \\
R &= \frac{V}{R} \\
R &= \frac{5}{0.02} \\
R &= 250Ω \\
\end{align}
答え:250Ω
どうでしたか?
このぐらい楽勝でしたって方も、少し難しかったと感じた方もいるかと思います。
難しいと感じた方も楽勝と感じた方も
オームの法則は回路構成を理解していくうえでの基盤となる計算力になるのでしっかりと身に付け、変形式までが頭の中でパッと浮ぶようになっておくことをお勧めします。
ダイオード(LED)に関する詳しい内容は別の記事にて作成します。
🧱 抵抗の種類と使い分け
リードタイプ(スルーホール)
- 教材や実験、プロトタイピング(試作品)などでよく使われる
- 端子が長く、ブレッドボードに直接刺せる
- カラーコードで表記
チップ抵抗(SMD抵抗)
- 表面実装(Surface Mount Device)用
- 回路の小型化、量産向け
- リール供給され、自動実装に適する
- EIAコード(例:「103」⇒ 10kΩ)で表記
サイズ inch(mm) | 一般的な用途 |
---|---|
0603(1608) | 家電・一般電子回路 |
0402(1005) | 携帯・小型機器 |
0201(0603) | 超小型モバイル・高密度基板 |
-
読み方:長辺×短辺
例:0603(1608)の場合
長辺 ⇒ 0.6inch(1.6mm)
短辺 ⇒ 0.3inch(0.8mm)
チップ抵抗には上の表のように様々な大きさがあるが、
サイズが小さくなるほど、定格電力・電圧が小さくなるので選定に注意!!
🧮 抵抗値とE系列
抵抗値は「Eシリーズ」と呼ばれる規格値に従っています。
例:E24シリーズ(24種類/10倍こと)
10Ω,11Ω,12Ω,...,91Ω → 次は100Ω,110Ω,120Ω...
CADで部品配置する際、「なんでぴったり50Ωがないの?!」とならないように、
E系列の存在を知っておくと◎
📌 回路設計で気をつけたいポイント
定格電力(Power Rating)
- 消費電力
P = VI = I^2 \times R = V^2 \times R
単位:ワット[W]
- 定格の1/2程度で使用するのが安全
- 小型チップ(例:0402)は0.0063W程度しか持たない
- 定格を超えると部品の破損や不具合につながる
温度係数(TCR)
- 抵抗値が温度でどれだけ変化するか(ppm/℃)
- 精密なセンサ回路用では低TCR品を選定するとよい
許容誤差(±1%,±5%など)
- 回路にどこまでの精度が必要かに応じて選定を行う
💡 よく使う用途別の設計ノウハウ
用途 | ポイント |
---|---|
プルアップ・プルダウン抵抗 | 10kΩ~100kΩが一般的。信号速度で調整する。 |
LED駆動 | 電流20mA以下、電源電圧とLEDの順方向電圧から計算。 |
分圧回路 | 2つの抵抗値の比で電源電圧を分圧することができる。 |
電流検出 | シャント抵抗として、1Ω未満の低抵抗を使用する。 |
🛠 抵抗の選び方のフローチャート(簡易版)
目的は何?
├── 電流制限 → LED回路、設計電流から値計算
├── 信号制御 → プルアップ/分圧、入力インピーダンスも考慮
└── 精密用途 → 誤差・TCR・パッケージ選定に注意
まとめ
- 抵抗は電子回路の最も基本となる部品
- 抵抗値はオームの法則で計算できる
- 回路設計では定格電力・誤差・温度係数の要注意
- チップ抵抗はサイズに応じて制約あり(小さすぎ注意)
※最近の回路設計ではチップ抵抗を用いての設計がメジャーなのでよく覚えておくこと。
最後に
いかがでしたでしょうか。
今回は電子回路の基礎として、抵抗について解説しました。
使い方や抵抗の種類を知ったことで、回路図上の抵抗を「なんとなく見ていた」から「なぜこの位置に実装されているのか」という視点を持つことができるようになってくるはずです。
電子回路の世界は覚えることがいっぱいで大変ですが、着実に一歩ずつ確実に進んでいきましょう!!
もし分かりにくいところがあれば、お気軽にコメントくださいね!