11
8

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 1 year has passed since last update.

『Blazor 入門』のサンプル DB を Docker で構築する

Last updated at Posted at 2021-12-12

Blazor を扱った技術書として、増田智明さんの著書『Blazor 入門』があります。

本書では第 9 章から Entity Framework を用いたデータベースアクセスについて解説されますが、その導入として SQL Server データベースをローカル環境上に構築しています。

近年では Linux 環境で SQL Server が利用できるようになったので、Docker で上記の解説に必要な DB コンテナーを構築してみたいと思います。

前提確認

以下の方針に則り、コンテナーを構成します。

また、自分の開発環境の構成は以下の通りです。

PS > dotnet --list-sdks
5.0.401 [C:\Program Files\dotnet\sdk]

PS > docker --version
Docker version 20.10.10, build b485636

本書における開発環境は .NET Core 3.1 が想定されていますが、.NET 5 でも大きな違いはないと思われます。

コンテナー定義の作成

以下の docker-compose.yml ファイルを作成します。

version: '3.4'

services:
  mssql:
    image: mcr.microsoft.com/mssql/server:2019-latest
    environment:
      ACCEPT_EULA: Y
      SA_PASSWORD: P@ssw0rd!
    ports:
      - 1433:1433
    volumes:
      - "blazor-introduction-mssql:/var/opt/mssql"
      - "./mssqlserver/ddl:/usr/src/ddl:ro"

volumes:
  blazor-introduction-mssql:

コンテナーを起動する際は、以下のコマンドを実行します。

docker compose up mssql

コンテナー定義の解説

docker-compose.yml の記載内容について、以下で解説します。

ベースイメージ

mssql:
  image: mcr.microsoft.com/mssql/server:2019-latest

SQL Server 2019 のベースイメージ mcr.microsoft.com/mssql/server:2019-latest を参照し、mssql コンテナーとして定義しています。

環境変数

environment:
  ACCEPT_EULA: Y
  SA_PASSWORD: P@ssw0rd!

environment の節に指定した環境変数は、それぞれ以下の意味を持ちます。

変数名 意味
ACCEPT_EULA ライセンス条項への同意
SA_PASSWORD 管理者アカウント (System Administrator) 用のログイン パスワード

パスワードは DB へのログインの際に使用します。

使用ポートの指定

ports:
  - 1433:1433

SQL Server が標準で使用するポート 1433 を、ホスト側のポートと対応させています。ホスト側で既にこのポートを使用している場合は、別のポートを指定する必要があります。

データベースの状態の保存

services:
  mssql:
    # ... 省略
    volumes:
      - "blazor-introduction-mssql:/var/opt/mssql"
      # ... 省略

volumes:
  blazor-introduction-mssql:

コンテナーを終了しても DB の状態が維持されるよう、/var/opt/mssql 以下のパスを、Docker ボリューム blazor-introduction-mssql 上で永続化する構成としています。

DDL ファイルの共有

volumes:
  # ... 省略
  - "./mssqlserver/ddl:/usr/src/ddl:ro"

コンテナー内のパス /usr/src/ddl へ、テーブルを作成するための DDL ファイルをマウントしています。DDL ファイルはコンテナー側から変更を加えることはないため、:ro フラグにより読み取り専用 (Read-Only) として宣言しています。

ホスト側で対応するパスは、ここでは相対参照により ./mssqlserver/ddl として指定しました。ホスト側でこのパスに保存したファイルが、コンテナーからは /usr/src/ddl 以下に存在するものとして扱われます。

データベースの構成

データベースの作成

コンテナー起動後は、データベース blazordb を作成する DDL を実行します。

以下の SQL を記述したファイルを database.sql として、./mssqlserver/ddl へ保存します。

EXECUTE AS LOGIN = 'sa'
GO

CREATE DATABASE blazordb
GO

これは管理者アカウント sa でログインし、解説に用いるデータベース blazordb を作成するクエリです。

docker compose exec コマンドにより、コンテナー内で目的の DDL ファイルを実行します。

docker compose exec mssql /opt/mssql-tools/bin/sqlcmd -U SA -P P@ssw0rd! -i /usr/src/ddl/database.sql

テーブルの作成

続いて、データベース blazordb 上にテーブル books を作成します。

この時に実行する DDL ファイルは以下の内容になります。管理者アカウント sa により、先ほど作成したデータベース blazordb へ接続し、テーブル books を作成するクエリです。

EXECUTE AS LOGIN = 'sa'
GO

USE blazordb
GO

CREATE TABLE [dbo].[books]
(
   [id] INT IDENTITY(1, 1) NOT NULL
   , [title] NVARCHAR(50) NOT NULL
   , [author] NVARCHAR(50) NOT NULL
   , [price] INT NOT NULL
   , [publisher] NVARCHAR(50) NULL
   , CONSTRAINT [PK_books] PRIMARY KEY CLUSTERED
   (
      [id] ASC
   ) WITH (
      PAD_INDEX = OFF
      , STATISTICS_NORECOMPUTE = OFF
      , IGNORE_DUP_KEY = OFF
      , ALLOW_ROW_LOCKS = ON
      , ALLOW_PAGE_LOCKS = ON
   )
) ON [PRIMARY]
GO

これを books.sql として保存し、コンテナー内で実行します。

docker compose exec mssql /opt/mssql-tools/bin/sqlcmd -U SA -P P@ssw0rd! -i /usr/src/ddl/books.sql

レコードの登録

レコードを登録する場合は、コンテナー側の CLI か、Visual Studio 上の SQL Server オブジェクト エクスプローラーを利用します。

CLI を利用する場合は、以下のコマンドによりサーバーへ接続します。

docker compose exec mssql /opt/mssql-tools/bin/sqlcmd -U SA -P P@ssw0rd!

以下の INSERT 文を実行し、レコードを登録します。

INSERT INTO [dbo].[books]
   ([id], [title], [author], [price], [publisher])
VALUES (1, N'タイトルA', N'著者A', 5000, N'出版社A')
GO

最終的に、以下のような books レコードが登録された状態とします。

登録されたレコード

データベースへの接続

サーバーは Linux コンテナー上で稼働しており、Windows 認証は使用できません。そのため、接続文字列を SQL Server 認証 (ユーザー名とパスワードによる認証) へ変更します。

具体的には Models\blazordbContext.cs へ記載する接続文字列を、以下の内容へ変更します。

  if (!optionsBuilder.IsConfigured)
  {
-     optionsBuilder.UseSqlServer("Server=.;Database=blazordb;Trusted_connection=True");
+     optionsBuilder.UseSqlServer("Server=.;Database=blazordb;User ID=sa;Password=P@ssw0rd!");
  }

変更前の文字列に含まれる Trusted_connection=True が、DB への接続に Windows 認証を使用することを表しています。これを User IDPassword の 2 項目へ置き換えることで、SQL Server 認証により接続する構成となります。

SQL Server 認証を使用するのは、Entity Framework を用いたスキャフォールディング操作を行う場合も同様です。コマンドを実行する際の認証情報に、上記と同様のパラメータを指定します。

dotnet ef dbcontext scaffold "Server=.;Database=blazordb;User ID=sa;Password=P@ssw0rd!" Microsoft.EntityFrameworkCore.SqlServer -o Models

実行例

前述の通り Docker コンテナーを使用する場合は、接続文字列の指定に修正を加えるだけで対応が可能です。Blazor アプリケーションを実行した結果として、以下の内容が返されます。

実行結果

SQL Server をホスト上にインストールしない場合でも、Docker を利用して対応可能であることが確認できたと思います。

11
8
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
11
8

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?