AWSのIaaS(EC2、RDS)を使ったWEBサイト構築案件が多い中、最近、業務都合で、AWSのソリューションアーキテクトアソシエイトと、GCPのASSOCIATE CLOUD ENGINEERを取得しました(させられた?)。
正直、社内案件では、メンバのスキルセット、AWSのエンタープライズ性などを考慮すると、まだまだAWSの利用を優先せざるをえないのですが、そんな中でも、GCPのここが凄い!というところが、試験勉強中に両サービスを比較して見えてきたので、3点ピックアップしてご紹介します。
※個人的見解である点は、ご容赦ください。
ちなみに、今回はWEBサイトをIaaSで作るエンジニアの視点に、視野を絞ってます。
BigQuery、AI周辺などは対象外にしたのであしからず。
プライベートIPで別リージョンとつながる
例えば、東京リージョンにある仮想サーバAのプライベートIPが10.123.0.5 で、ヨーロッパにある仮想サーバBのプライベートIPが10.124.0.5 だとします。
このとき、仮想サーバAから仮想サーバBに、ping をしても届きます。低レイテンシーで。
オンプレミスのラックでネットワークを構築したことがある方は、この凄さに共感してくれるとおもいます。自分で設定したサブネットの先は、同一ラック内ではなく、遥か遠い国のどこかのマシン(仮想サーバ)っておもうとロマンがあります。
そんな昔の話は知らんねんという若い方や、ロマンチストでない方にも、
・CMSでアップされたファイルの同期を低レイテンシーで実現
・1つのロードバランサの設定で、東京とヨーロッパのインスタンスにアクセスを振り分ける
などのメリットはイメージできるかとおもいます。
※オブジェクトストレージやCDNなどが使えない場合
ロードバランサ
WEBサイトのシステム保守を運営していると、「〇〇日にテレビ放送でピックアップされるから」「△△日から割引きセールします」といった通知をお客様から受けることがあります。
このような場合、AWSでは暖機申請を行って、ELBに準備運動をしてもらっておきます。
ただ、いきなりYahoo!ニュースに取り上げられたり、SNSでバズったりした場合は、どうでしょう?
残念ながらELBの暖気申請は間に合いません。
※ ELB自体はトラフィック量に応じて、自動でスケールしてくれます。自動スケールする時間も許されないケース(WEBサイト)の話です
一方、GCPのロードバランサは、秒間200万リクエストを準備運動なしで、捌くそうです(いつか検証してみたい)。
GmailなどGoogleが提供するサービスでも、GCPで利用するロードバランサを利用しているからとのこと。Googleさん太っ腹です。
秒間200万リクエストであれば、CDNなし(画像やCSSなどのオブジェクトリクエストがある)場合でも、私の抱えている案件では、超えることはまぁないです。
ライブマイグレーション
IaaSで動く仮想サーバも、所詮は、物理サーバ、OS、仮想サーバを起動する仮想サーバ管理ソフトなどの上で動作しているので、それらで再起動を伴うような、フォームウェアなりの更新が発生すると影響を受けてしまいます。
ただ、GCPのライブマイグレーションという機能はえぐいです。ちょっと引きます。
GCPの仮想サーバは、ライブでマイグレートできてしまいます。
ざっくり言うと、物理サーバAの仮想サーバ管理ソフトで動いていた仮想サーバは、物理サーバBの仮想サーバ管理ソフトにあっという間に移動できるそうです。
仮想サーバの大きさなどにもよるとおもいますが、マイグレート中の停止時間は 0.1-2秒 だったと実測された方がいます。
これは驚異的なことで、2018年の「Spectre(スペクター)」と「Meltdown(メルトダウン)」といったレベルの脆弱性が、今後見つかった場合でも、Googleさんに任せておけば、無停止でパッチ適用された先の環境に移動できることになります。
最後に
冒頭でも書きましたが、正直、エンタープライズ向けにプラットフォーム事業を長く展開しているAWSの方が、現時点では、一日の長があるとおもいます。
ただ、お客様の要件によっては、GCPのプラットフォームが合うケースもあるかとおもい、参考までに、私が凄いとおもったGCPの特徴を紹介させていただきました。