日本数学会と日本応用数理学会は, それぞれ学会アブストラクトのテンプレートを用意しているけど, クラスファイルが jarticle
なので非常にアレである.
しかし, 指定の書式 [数学会, 応用数理学会(2016Ver.)] を守っていれば指定のテンプレートを使う必要はなさそうなので, 自分で作ってみた.
自分は普段 ltjsarticle
を使うので以下もそうなっているが, graphix
パッケージに dvipdfmx
オプションをつければ jsarticle
でも動くと思う(未確認).
そこそこ長くなってしまったので, プリアンブルを .sty
で保存して \usepackage
するのが良いと思う.
(あくまで自分用のメモなので, もし使う人がいれば自己責任で.)
日本数学会
\documentclass[12pt]{ltjsarticle}
%%%%%%%% ページのレイアウト
\usepackage[%
noheadfoot,
vmargin=25truemm,
hmargin=27.5truemm
]{geometry}
\pagestyle{empty}
%%%%%%%% 節の見出しの設定
\usepackage{titlesec}
\titlelabel{\thetitle.\quad}
\titleformat*{\section}{\large\sffamily\bfseries}
\titlespacing{\section}{0pt}{*2}{*0}
\titleformat*{\subsection}{\normalsize\sffamily\bfseries}
\titlespacing{\subsection}{0pt}{*2}{*0}
%%%%%%%% タイトル関連マクロ
%%%% タイトル
\newcommand{\Title}[2][]{
\renewcommand{\thefootnote}{\fnsymbol{footnote}}
\begin{minipage}{135truemm}
\centering
\Large #2#1
\end{minipage}
}
%%%% 謝辞
\newcommand{\Thanks}[1]{
\footnotetext{#1}
\vspace*{0.5\baselineskip}
\renewcommand{\thefootnote}{*\arabic{footnote}}
\setcounter{footnote}{0}
}
%%%% 著者情報
\newcommand{\Author}[5][E-mail: ]{%
#2 (#3)\footnote{#4. #1\texttt{#5}}\par
}
%%%% 出力
\newenvironment{header}%
{\begin{center}}%
{\medskip
\end{center}
\renewcommand{\thefootnote}{\arabic{footnote})}
\setcounter{footnote}{0}}
%%%%%%%% その他パッケージ
\usepackage{amsmath, amssymb}
\usepackage{graphicx}
\begin{document}
%%%%%%%% タイトルなど
\begin{header}
%\Title[\footnotemark]{ここにタイトル} % タイトルの右上にアスタリスクを付ける場合はこっち
\Title{ここにタイトル}
\Thanks{本研究は, ○○の助成を受けた.}
\Author{著者1}{所属1}{〒123-4567 東京都△△区~}{mail@univ.ac.jp}
\Author[]{著者2}{所属2}{メールアドレス非公開の場合}{}
\end{header}
%%%%%%%% 本文
以下, 本文を書く.
\end{document}
日本応用数理学会
\documentclass[11pt]{ltjsarticle}
%%%%%%%% ページのレイアウト
\usepackage[%
noheadfoot,
hmargin=25truemm,
top=20truemm,
bottom=30truemm
]{geometry}
\pagestyle{empty}
%%%%%%%% 節の見出しの設定
\usepackage{titlesec}
\titleformat*{\section}{\large\selectfont\sffamily\bfseries}
\titlespacing{\section}{0pt}{*2}{*1}
\titleformat*{\subsection}{\normalsize\sffamily\bfseries}
\titlespacing{\subsection}{0pt}{*1}{*0}
%%%%%%%% 行送りの設定
\renewcommand{\baselinestretch}{0.85}
\usepackage{setspace}
%%%%%%%% 図などのキャプションの設定
\usepackage[labelsep=period, font=footnotesize, aboveskip=0pt]{caption}
%%%%%%%% タイトル関連マクロ
\newcommand{\Title}[1]{%
\begin{spacing}{1.2}
\textbf{\Large #1}
\end{spacing}
\medskip}
\newcommand{\Authors}[1]{\hspace*{2\zw}#1\par}
\newcommand{\Affiliations}[1]{\hspace*{2\zw}#1\par}
\newcommand{\Emails}[1]{\hspace*{2\zw}e-mail: #1\par}
\newcommand{\header}[1]{\twocolumn[#1
\bigskip\medskip]}
\begin{document}
%%%%%%%% タイトルなど
\header{
\Title{タイトル}
\Authors{著者1姓 著者1名$^{1}$, 著者2姓 著者2名$^{2}$, 著者3姓 著者3名$^{1,2}$}
\Affiliations{$^{1}$所属1,$^{2}$所属2}
\Emails{authors1@e-mailaddress}
}
%%%%%%%% 本文
以下, 本文を書く.
%%%%%%%% 参考文献
\bibliographystyle{unsrt}
\bibliography{bibfile}
\end{document}
少し説明と注意点
共通
-
オリジナルのものを完全に再現しているわけではないという点に注意. 特に, フォントサイズは
jsarticle
とjarticle
で11pt
オプションを指定した時の挙動が異なる (多分) ために, 完全再現は無理. - ページの余白は,
geometry
パッケージで. 使い方はマニュアルなどを参照. - 節見出しの前後の余白をコントロールしたいので,
titlesec
パッケージを利用. 以下で少し説明するが, 詳細はマニュアル参照. - ついでに数学会用は
\titlelabel{\thetitle.\quad}
で節番号の後ろにピリオドを付加 (個人的な好み.\titlelabel
はtitlesec
パッケージのコマンド).
数学会用
- タイトル右上にアスタリスクを表示することもできる. この場合は脚注の謝辞の先頭にもアスタリスクがつく.
- 謝辞を書かないとちょっと変になる. けど, 謝辞を書かないことのほうが稀であろう.
- 同様に所属も書かないと変になる.
応用数理学会用
- 行送りの指定があったので
\renewcommand{\baselinestretch}{0.85}
で設定しているが, オリジナルの0.95
とは変えてある. 理由はフォントサイズと同じ. ここはある程度お好みで変えてしまっても素人目にはわからないと思う. - 図のキャプションの表示もいじってあったので, そこは
caption
パッケージを利用. 詳細はマニュアルや下記のリンクを参照. - 数学会用と同様にヘッダー部は環境にしたかったけど, うまくいかなかった (
\newenvironment
の開始を[
で終わらせるのは無理?) ので仕方なくコマンドにした. - 著者情報の番号付けは手動でやるのが早いと思うのでそうした.
- 参考文献を出現順にするには,
bibtex
で\bibliographystyle{unsrt}
するのが楽だろう.
使ったパッケージ
共通
応用数理学会のみ
titlesec
パッケージについて
\titleformat*
コマンド
\titleformat*
コマンドは見出しのスタイルを変更できる. 次のように使う.
\titleformat*{編集したいコマンド}{見出しのスタイル}
-
編集したいコマンド とは,
\section
や\subsection
など. -
見出しのスタイル のところに,
\bfseries
など好みのものを入れる.
アスタリスク無しの \titleformat
というコマンドもあるが, これを用いるともっと複雑な設定ができるようだ.
\titlespacing*
コマンド
\titlespacing
コマンドは余白を変えることができる. 次のように使う.
\titlespacing{編集したいコマンド}{左余白}{*N}{*M}
- 左余白には単位付きの長さを入れる.
-
*N
は上側の余白を制御する. 大きさN ex
の余白が入る. -
*M
は下側の余白を制御する. 大きさM ex
に加えて, 何かしらの余白が入っているようだ. よくわかっていない. - どちらも
*
は省略できないと思う (1ex * N
ということなのだろう).
参考にしたもの
setspace.sty: LaTeX パッケージ
[LaTeX] 図・表 (Figure & Table) キャプションのカスタマイズ