こんにちは!
ポーラ・オルビスホールディングスのITプロダクト開発チームでスクラムマスターをしている川田です。
私はスクラムマスターとしてキャリアを積んでいきたいと思った2018年頃に、Scrum Allianceが提供している研修を受講して認定スクラムマスター(CSM)を取得しました。CSMは有効期限が2年間に設定されており、維持するには更新が必要でしたが、更新を行っていませんでした
ITプロダクト開発チームが所属するグループデジタルソリューションセンターではIT関連の資格取得が推奨されており、対象の試験に合格すると受験費用を負担してもらえます。この素晴らしい制度を使わないのはもったいない!と思い、改めてスクラムマスターの理解を深めるため、Scrum.orgが提供しているProfessional Scrum Master(PSM)を取得することにしました。2024年の末に無事にPSM IIに合格したので、今回はその合格までの道のりについて書こうと思います
PSMとは
PSMはスクラムマスターの資格の一つで、前述の通りScrum.orgが認定しているものです。
スクラムマスターの認定試験として他に有名なものとしてはScrum AllianceのCertified ScrumMaster(CSM)やScrum Inc.のRegistered Scrum Master(RSM)がありますが、CSMやRSMと比較し、PSMは特に以下の2点が特徴的です。
- 研修を受講せず、認定試験だけ受験することが可能
- 有効期限がなく、更新が不要
1について、もちろん研修そのものは非常に有用で、講師の方や他の受講者とのコミュニケーションを通じて学びを深める効果がありますが、研修が含まれると費用が高くなるのでなかなか気軽に受けられない方も多いのではないかと思います。
また2についてもコスト面ではかなり助かります。その代わりに合格ラインが他の認定試験と比べて高めに設定されています。
PSMは全部で3つのレベルがあり、今回受験したPSM IIは中級のレベルです。各レベルの詳細は以下の通りです。
PSM I | PSM II | PSM III | |
---|---|---|---|
受験費用 | $200 | $250 | $500 |
合格ライン | 85% | 85% | - |
制限時間 | 60分 | 90分 | 120分 |
設問数 | 80問 | 30問 | 24問 |
問題形式 | 単一選択 複数選択 Yes/No選択 |
単一選択 複数選択 Yes/No選択 |
記述式 |
対応言語 | 英語、中国語 | 英語 | 英語 |
合格までにやったこと
スクラムガイドを読み込む
まずは何と言ってもスクラムガイドを読むことから始めました。
日々の業務で詳細な内容まで意識できていないポイントもあり、そういった内容が試験で問われたりします。また、PSMは最新のスクラムガイド(執筆時点では2020年11月版)に基づいて出題されるため、古いガイドしか読んだことがない方は絶対に読んでおいた方がよいです。
Scrum Openを解いてみる
続いて、Scrum.orgがPSM対策として提供してくれているScrum Openを解きました。
Scrum Openで出題される内容はPSM Iのレベルに近いですが、PSM IIの受験においても有用な知識ですし、一部似たような問題も出題されました。PSM IIは全体の問題数が少ないため間違えた場合の影響が大きく、比較的簡単な問題を確実に正解することが特に重要です。そのため、Scrum Openを繰り返し解き、安定して高得点を出せるようにしておくと良いでしょう。
また、実際の試験の回答形式と同じなので方法に慣れる、日本語で受験される方はブラウザの翻訳機能に慣れるといった観点でも一度は実施をお勧めします。加えて日本語への翻訳については、翻訳された文言に慣れるという観点もあります。例えばProduct Owner
が設問や選択肢によってはプロダクトオーナー
ではなく製品オーナー
と訳されることがあります。こちらは複雑な例ではなく、前後の文脈から正しく理解することはできますが、あらかじめ慣れておくことで余裕をもって受験できます
模擬試験を解いてみる
Scrum Openは完全に理解した!と感じてきたので、続けてPSM II向けの模擬試験を解きました。検索すればネット上にいくつか模擬試験はありますが、私はUdemyの以下の2つを繰り返し解いて90%以上のスコアが出せるようになった時点で本番の試験に臨みました。
回答の選択肢については、最初にこれはスクラム/スクラムマスターっぽくないよね、と感じるものを除いてから考えるのがよいと思います。その際には、こういう試験によくありがちな誤っているものを選べ、という形式に注意が必要です。
受験した感想
PSM IIの前にPSM Iも受験していたのですが、PSM Iと比較してより実務に沿った内容でした。実際にスクラムを実践している現場で起きそうなシチュエーションに遭遇したときに、スクラムマスターとしてどのように行動するのが最善か、という観点を改めて理解・認識するよい機会になったと感じます。
実際の現場において、ガイドやルール通りに進められないときもあります。プロダクトの性質やスクラムチームの状態によって良し悪しの判断は異なりますが、それは仕方がないよね、で済ませるのではなく、できていないポイントは何で、放置した場合のリスクを認識し、チームにどのように働きかけていくかを考えるためにも、まずは正しい知識を身につけることが重要だと思います
Scrum Master Learning Journey
今回PSM IIの受験とそのための学習を通して、スクラムの理解を改めて深めることができました。Scrum.orgからは他にも試験が提供されており、スクラムマスター向けのラーニングパスも描かれています
今年はこちらのラーニングパスを参考にして、PSMだけではなく他の資格にも挑戦していきたいと思います。資格を取得したら、またQiitaの記事でアウトプットします!