こんにちは!
ポーラ・オルビスホールディングスのITプロダクト開発チームでスクラムマスターをしている川田です。
スプリントプランニングにおいてプロダクトバックログのタスクを見積もる際にはプランニングポーカーを利用することが多いと思います。以前にトランプのような紙のカードを使って対面でプランニングポーカーを行った経験がありますが、現在のチームはリモートメインの働き方ということもあり、オンラインでプランニングポーカーを実施したい!と考えました。
この記事では私たちITプロダクト開発チームの2つのスクラムチームそれぞれで実践してみた、オンラインのプランニングポーカーについてご紹介します!
※本記事は 株式会社ポーラ・オルビスホールディングス Qiita Advent Calendar 2024 の12日目の記事です。ITプロダクト開発チーム以外の方々からも多くの記事が投稿されていますので、ぜひご覧いただけると嬉しいです!
プランニングポーカーとは
プランニングポーカーはアジャイル開発でよく利用される見積もりの手法です。進め方には多少のバリエーションがありますが、概ね以下の流れで実施します。
- (事前準備)見積もりの基準となるタスクを決定し、基準のポイントを決定する
- 例)ユーザー情報取得APIの作成:3ポイント
- 数字が書かれたカードを開発者に1セットずつ配布する
- ポイント見積もりの場合:フィボナッチ数列(1, 2, 3, 5, 8 ...)
- 時間見積もりの場合:1~10の数字
- 見積もり対象のタスクを確認し、不明点があればチームで議論して明確化する
- タスクの内容が明確になったら見積もりを行い、見積もったポイントのカードを伏せた状態で出す
- 全員がカードを出したら一斉にカードを裏返してポイントを見せ合う
- 最大の値と最小の値を出した人が理由を説明し、見積もりの根拠について議論する
- 4~6を繰り返し、ポイントをチームで合意して決定する
- 3に戻り、残りのタスクを見積もる
本題からは少し脱線しますが、私たちのチームでポイント見積もりを行う際は「1、2、3、5」の4つの数字しか利用しないルールとしています。これは8以上の数字が出るような場合は見積もり対象のタスクが大きすぎるか、内容が理解できておらず着手不可であることが多く、タスクの分割や詳細化が必要と考えているためです。時間見積もりの場合も同様に、概ね10時間以内に収まるようにタスクを分割や詳細化するよう心がけています
利用するツールの選定
オンラインで利用できるプランニングポーカーはWebアプリやスマートフォンアプリなど様々な形態で、ここでは紹介しきれないほど多くのツールが無料で提供されています。(作成者の皆さま、ありがとうございます!)
数あるツールの中で、私たちのチームでは Fuda-jitsu と hatjitsu の2つを利用しています。
選定にあたっては、両社とも共通して ①会員登録やインストール作業が不要 ②シンプルな使い勝手 という点がポイントでした。見積もりをポイントで実施するのであれば Fuda-jitsu に一本化できるのですが、2つの開発チームのうち片方のチームは時間で見積もりを行っているため、そちらのチームではシーケンシャルな数値が選べる hatjitsu を利用することにしました。
実際に使ってみた(Fuda-jitsu編)
では実際に使ってみましょう、ということでまずは Fuda-jitsu からです。Fuda-jitsu を使ったポーカーの進め方は以下の通りです。
- 最初にオーナーとなる人が Fuda-jitsu にアクセスし、
部屋を作成する
ボタンをクリックします。 - オーナーは作成された部屋のURLを他のメンバーに共有し、入室してもらいます。全員が入室したらお題を決定し、ポーカーを行います。
- 各メンバーは手元に表示されているカードを1つ選択します。選択したカードは、他のメンバーには共有されません。
- 全員が選択すると自動的にカードがオープンされ、ポイントの平均値が計算されます。これらの内容を元にチームで議論し、最終的なポイントを決定します。
実際に使ってみた(hatjitsu編)
では続いて hatjitsu を使ってみます。こちらは表記が英語となりますが、ポーカーの進め方は Fuda-jitsu と同じです。オーナーとなる人が Create new room
から部屋を作成、他のメンバーが入室し、表示されるカードをクリックして見積もりを行います。
Fuda-jitsu と異なる点は大きく2つあります。1点目は、前述しましたがポイント以外の見積もり方法が選択できる点です。カードの右上に表示されているプルダウンを選択することで、1~10のシーケンシャルな数値(Sequential pack)や、Tシャツサイズ(T-Shirt pack)を使った見積もりが可能です。
2点目として、not a voter(オブザーバー)機能がある点です。プロダクトオーナーやスクラムマスターなど見積もりを行わないメンバーがツールにアクセスするとそのままでは見積もりを行う人数にカウントされてしまいますが、not a voterモードに切り替えることでその人数から除外し、閲覧メンバーとして参加することが可能です。voterモードとnot a voterモードはカードの下に表示されるボタンをクリックすることで切り替えが可能です。
所感
使ってみた所感として、複数の開発者が集まったときに他のメンバーの意見に流されることを防げる点が特に良いと思います。対象のタスクの内容に精通したメンバーの意見はもちろん重要ですが、全員で見積もることで以下のようなメリットがあると感じました。
- 全員が見積もることで、個人に主体性が生まれる
- 見積もり内容を全員で議論して結論を決めることで、納得感が醸成される
- 見積もり内容が異なった場合にその根拠を説明することで、考慮の抜け漏れや認識の違いに気付ける
また、トランプのポーカーのようなゲーム感覚で実施できるため、チームビルディングの一環としての効果もあると感じています
さいごに
いかがでしたでしょうか。オンラインでの場はもちろんのこと、オフラインでプランニングを行う際に今回ご紹介したようなツールを利用しても、開発者の人数分のカードを準備する手間が省けるため手軽に実施できてよいと思います!
また開発手法によらず、チーム全員での見積もりを行う際にはプランニングポーカーを活用すると納得感や一体感が出るのでオススメです。今回の記事が読んでいただいたみなさんの開発に少しでもお役に立てれば嬉しいです!