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「生成AIパスポート試験(by 生成AI活用普及協会)」受験記

Last updated at Posted at 2023-10-11

日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催の「Generative AI Test 2023」を受験したのは6月のこと(「JDLA Generative AI Test 2023」受験記(準備として勉強したもの一覧など))。
その後も、ChatGTPのみならず多くのLLMモデル、生成AIサービスがリリースされ、生成AIの勢いは強まるばかりです。
そんな中、また新しい生成AI資格が誕生しました。
資格マニアとしては、こんなネタになる第1回試験を受験するチャンスを逃すことなどできるわけもなく、こちらも受験して来ましたので、受験勉強や感想などをまとめます。(ちなみに弊社、ちゃんと資格受験料は決裁してくれたので、ネタにできて勉強できて経費で落ちるので、もうノーリスクです^^)
なお、合否連絡は二か月後とのことですので、合否が出る前に本記事を執筆していること、ご承知おき下さい。(※試験結果を追記しました(11/13))
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参照 公式HP:https://guga.or.jp/2023-9-1/

0.まとめ

先に結論を述べますが、試験自体の良し悪しはあるにせよ、公式ガイドとなる教科書の出来が秀逸なのが良い出会いでした。
「機械学習とは?」から始まり、「生成AIの根幹技術」や「生成AIのリスク」までを一通り薄く広く程好い分量で網羅する、良著でした。(最初から根を詰めるとドロップアウトしてしまうので、この「程好い分量で」がポイントだと思っています。)
「機械学習は触ったことないけど、これから生成AIを学んでみよう」という人には、最初に読むにはちょうど良いテキストだと思います。
試験を受ける予定がない方も、是非、スタートラインに立つ際にはお手に取って頂くと後悔がないかと思います!
image.png
https://amzn.asia/d/airOlVM

1.筆者について

書いた人間がそもそもどれくらいの知識を持っていたかを知らないと、勉強教材をご参考頂いたときに過不足が出てしまいますので、例のごとく、私のステータスを少し書いておきます。

  • 15年戦士のインフラエンジニア。
  • ここ10年くらいはずっとビッグデータ基盤を担当。
  • ビッグデータの出口としてAIは王道なので、機械学習がなんたるかとか、その特徴・リスクなどは把握済み。
  • インフラエンジニアなので、ディープラーニングの理論はあんま理解できていない。再帰的~とか、畳み込み~とかは、概要は知っているけど、数式はちんぷんかんぷん。
  • 生成AIは「JDLA Generative AI Test 2023」を保持するくらいには理解。

2.試験概要

JDLAの方もそうでしたが、こちらも第1回とのことで、試験の合格ラインの情報が公開されていませんので、そのあたりが事前準備が難しいところでした。(7割の点を取る勉強と、8割の点を取る勉強は違ったりするので。。。)
また、金曜・土曜の2日間が試験期間として用意され、好きな1時間を選べるのは、社会人にも学生にも優しくてとても良かったと思います。

名称 生成AIパスポート試験
開催形式 オンラインでの実施 ( IBT方式)
試験時間 60分間
問題数 60問
出題範囲 シラバスより出題
受験費用 11,000円(税込)

3.試験範囲

「機械学習とは?」から始まり、「生成AIの根幹技術」や「生成AIのリスク」まで、生成AIの利用者として知るべき知識は網羅されます。
それに加え、「AIの歴史」「個人情報保護法・著作権法」「情報セキュリティ対応」など、情報処理系の一般知識も広く範囲に入ってきます。

大項目 中項目
第1章 AI(人工知能) AI(人工知能)の定義
AIに知能をもたらす仕組み
AIの種類
AIの歴史
シンギュラリティ(技術的特異点)
第2章 生成AI(ジェネレーティブAI) 生成AI(ジェネレーティブAI)とは
ChatGPT
第3章 現在の生成AI(ジェネレーティブAI)の動向 生成AIが出来ることと主なサービス
ディープフェイク(深層偽造)技術
第4章 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則 インターネットリテラシー
セキュリティとプライバシー
個人情報保護の観点
制作物に関わる権利
AIを取り巻く理念と原則・ガイドライン
第5章 テキスト生成AIのプロンプト制作と実例 LMとLLM
プロンプティングの基礎
LLMプロンプティングの実践
テキスト生成AIを用いたビジネス応用
テキスト生成AIの不得意なこと

冒頭で紹介した公式テキストは、試験範囲シラバスと完全同期していますので、公式テキストを読むことで必要な知識は網羅できます。
私も、公式テキストをしっかり1周+怪しいところだけ2周目、といった勉強のみで本番に挑みました。
(この業界に十何年務めており、JDLA試験などで事前知識もあったので、公式テキストを読んだ際に、理解できないものはほぼなかったので追加教材は不要と判断しました。)

4.JDLA資格との比較

試験傾向

生成AIパスワード試験は、JDLAに比べて広く浅くの印象です。

生成AIパスワード試験は、「機械学習とは?」というAIの基礎のみならず、「特許や著作権等の法関係」「マルウェア等の情報セキュリティ関係」など、情報システムを利用する上での一般知識まで範囲に入ります。
一般のエンジニアの方で、「著作権の保護は何年?」とかを覚えている方は少ないと思いますので、少なくともテキストを読んで記憶する試験勉強が必要な試験かなと思いました。

その一方で、JDLA資格は、記憶というよりも、しっかりと生成AIについて理解をしているかが問われた印象です。
例えば、テクニカル面では、生成AIパスポート試験では、

「GPT/BardはTransformerのモデルだよ、TransformerはAttension層が特徴だよ」

を覚えていれば問題ないのですが、JDLA試験では

「Transformerのデコーダーのみを使っているのがGPT、エンコーダーを使っているのがBERTだよ」

までしっかり理解する必要があった印象です。
あと、JDLA試験は最新のニュースに沿った問題なども出てきたので、生成AIに興味を持っている人を本当に見定める試験でした。

試験難易度

試験傾向が違うので、試験対策としての難易度は、情報処理業界の常識が既に頭に入っているか、記憶が得意な人か、しっかりと本質を理解するのが好きな人か、でみなさんの比較難易度は変わると思います。
ただ、一つだけ、言えることがあります。

JDLA試験の15分20問という試験方式がキツイ!!

今回、生成AIパスポート試験は、素直な問題が多かったためか、余裕を持って全問題の見直しまで出来ましたが、JDLA試験はまともに見直しをする時間すら取れませんでした。
そういう意味で、確実に試験自体の難易度はJDLA試験の方が上な印象ですw

5.受験した感想

私は長年このIT業界におりますので、AIもセキュリティもそれなりに携わってきており、正直、試験勉強を通して新しく得た知識はなかったかなという感じです。

その一方で、冒頭にも述べましたが、「広く浅くをほどほどの分量で」のバランスの取り方は秀逸だった印象で、「パスポート試験」の名には相応しかったと思っています。

「パスポート試験」としては情報処理試験の「ITパスポート試験」が有名ですが、AIに絞ったパスポート試験はありそうでなかったので、これからAIに携わろうと考えられている学生には、「ITパスポート試験」とセットで取得するには良い試験だったと思います。

6.試験結果(11/13追記)

無事に受かってました!
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