#第2講 和と積
##2.1 和の記号Σの定義と性質
###(2.2)
\begin{align}
\sum_{i=1}^n (ax_i +b) &= (ax_1 +b) + (ax_2 +b) + \cdots + (ax_n +b) \\
&= a(x_1 + x_2 + \cdots + x_n) + nb \\
&= a \sum_{i=1}^n x_i + nb
\end{align}
###(例 2.1)
\begin{align}
\sum_{i=1}^2 \sum_{j=1}^2 x_i y_j &= \sum_{i=1}^2 (x_i y_1 + x_i y_2) \\
&= \sum_{i=1}^2 x_i(y_1 + y_2) \\
&= (y_1 + y_2) \sum_{i=1}^2 x_i \\
&= (y_1 + y_2) (x_1 + x_2) \\
&= (x_1 + x_2) (y_1 + y_2) \\
&= \sum_{i=1}^2 x_i \sum_{j=1}^2 y_j
\end{align}
###(2.13)の証明
\begin{align}
0 \leq \int_c^d \{g(x)t - h(x) \}^2 dx &= \int_c^d \{g(x)^2 t^2 - 2 g(x) h(x) t + h(x)^2 \} dx \\
&= t^2 \int_c^d \{g(x)\}^2 dx - 2t \int_c^d g(x)h(x)dx + \int_c^d \{h(x)\}^2 dx
\end{align}
$\int_c^d g(x)^2 dx \geq 0$ なので、上式を$t$の二次関数と考える。
それがつねにゼロ以上となるので、判別式 $D = b^2 -4ac \leq 0$ となる。
すなわち、
\begin{align}
&D = 4 \{ \int_c^d g(x)h(x)dx \}^2 - 4[\int_c^d \{g(x)\}^2 dx][\int_c^d \{h(x)\}^2 dx] \leq 0 \\
\Leftrightarrow \quad &\{ \int_c^d g(x)h(x)dx \}^2 \leq [\int_c^d \{g(x)\}^2 dx][\int_c^d \{h(x)\}^2 dx]
\end{align}
である。
###(2.20)
$(k+1)^3 - k^3 = 3k^2 + 3k + 1$ に $k = 1, 2, \cdots , n$ を順次代入したものを辺々加えると、次式を得る。
\begin{align}
(n+1)^3 - 1^3 &= 3 \sum_{k=1}^n k^2 + 3 \sum_{k=1}^n k + n \\
&= 3 \sum_{k=1}^n k^2 + \frac{3n(n+1)}{2} + n
\end{align}
これより、
\begin{align}
\sum_{k=1}^n k^2 &= \frac{1}{3} * \{ (n+1)^3 - 1 - \frac{3n(n+1)}{2} - n \} \\
&= \frac{1}{3} * \{ n^3 + 3n^2 + 3n +1-1 - \frac{3n(n+1)}{2} - n \} \\
&= \frac{1}{3} * \{ n^3 + 3n^2 + 2n - \frac{3n(n+1)}{2} \} \\
&= \frac{1}{6} * \{ 2n^3 + 6n^2 + 4n - 3n^2 -3n) \} \\
&= \frac{1}{6} * \{ 2n^3 + 3n^2 + n) \} \\
&= \frac{n}{6} * (2n + 1)(n + 1)
\end{align}
###(例2.3)
(2.30)の数式は幾何分布の確率密度関数に相当する式であるが、統計学入門とは式の形が異なっていた。
調べてみると、幾何分布の確率密度関数は2種類の定義があるらしい。(Wikipedia)
(2.30)のまま、(2.31)の無限和を計算すると釈然としなかったので、
より一般的であるらしいwiki前者の定義に直す。
まず、(2.30)は「最初に成功するまでに重ねた失敗の回数」を$x$ととしており、
その確率密度関数は
Pr(x=k) = PQ^k \quad(k=0,1,2,\cdots)
である。
wiki前者の定義では、「最初に成功するまでにかかった回数」を変数$x$とおく。
その回数を$l:=k+1$と定義すると、
Pr(x=l=k+1) = PQ^{l-1} \quad(l=1,2,3,\cdots)
と書ける。この式は、初項:$P$、公比:$Q$の等比数列の一般項を表す式と同じ形である。
今、$Q=1-P$であり、$0 < P < 1$であるので、$|Q|<1$である。
よって、この等比数列の無限和は以下の通り得られる。
\begin{align}
\sum_{l=1}^\infty Pr(x=l) &= \sum_{l=1}^\infty PQ^{l-1} \\
&= \frac{P}{1-Q} \\
&= \frac{P}{P} = 1
\end{align}
確率密度関数の無限和が$1$となり、幾何分布は確率分布である、と言える。