紹介する本
会議での進行が上手くなりたいと思い、手に取った「超ファシリテーション力」がとても良書だったので、本書で紹介されているフレーズの中から、明日の会議から早速使えそうなものを備忘録としてまとめます。フレーズは本からの引用で、その要約と感想を交えながら書きます。
フレーズ集
「反復」と「要約」と「同調」
私は相手の発言に対する一声目は結構考えてしまいますが、これら3つを無意識に上手く使いこなせると、良い雰囲気を作れそうです。特に、反復が比較的使いやすく、効果的とのことなので使っていきたいです。とはいえ、いきなり実践は難しいので、友人や同僚との雑談で意識的に使うと、話し手も気分が良いですし練習になりそうです。
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「いま〇〇さんがおっしゃった××というご意見ですが」
反復の例で、相手の言葉を繰り返します。重要なポイントを取り上げることで、発言者の気を良くし、議論を活性化できる比較的容易な手法です。
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「〇〇さんは主に〇〇とおっしゃっていますが、皆さんはいかがですか?」
要約の例で、発言者の趣旨を、ファシリテーターがわかりやすく噛み砕いて伝えます。
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「おっしゃる通りですね」「〇〇というご意見はたいへん重要なご指摘だと思います」
同調の例で、発言に対する同意を表します。相手は味方が増えた感覚になり、より喋りやすくなります。
その場にいない第三者の意見を紹介する
職場の会議では参加者が多くて、かつ初対面同士の方々が多い会議なので妙な緊張感が漂っています。そんな時に使えるみんなが口を開きやすくなるようなフレーズです。確かに、第三者の意見はファシリとしても言いやすく、参加者も発言しやすい気がしますね。
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「インターネットで見かけたこんな意見が今日の議論の参考になるかもしれません」
呼び水となる最初の発言を、アウトソースとしてしまっておくことで、これを機に議論を活発にさせる効果がある。
参加者に出番があることを伝える
有意義な会議というのは、特定の人ばかりが話すのではなく、すべての参加者がそれぞれの立場から自由に意見を言える状態がベストですね。発言してもらうために、参加者への不意打ちするのではなく、事前に発言してもらう旨を伝えておくことをお勧めします。
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「今日はみなさん全員にご意見をうかがいたいと思っています。ちょっとしたアイデアでも質問でも、どんなことでもいいので、ぜひ考えておいてくださいね」
参加者へ不意打ちをしないで、事前に伝えておくことでメンバー全員の参加意識が高まります。
論点や目的からズレていれば軌道修正
参加者のトークが盛り上がり、気づいたら議題から大きく逸れて時間もたくさん使っていた、というは会議あるあるですね。以下のように軌道修正をして、方向性を示すこともファシリテーターの役割です。
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「話が少し脱線してしまいましたが、きょうはぜひとも〇〇という点について、方向性を確認していきたいと思います」
初対面の人が多い会議
面識ある人であれば、会議前にアイスブレイク的に参加者の近況に触れるなどして緊張を解くことができます。ただ、初対面の場合は何をアイスブレイクに話していいのか私も悩みました。そんな時は、自己紹介から始めると気が楽になります。
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「本日、進行を担当させていただきます。不慣れなもので不手際も多いと思いますがご容赦ください」
発言者への問いかけの言葉を用意しておく
ファシリテーターは会議前に議論をシミュレーションしますが、それ通りにはいかないものです。発言者の「言い換え」を促していき、本番の議論を整理しながら理解を深めていくことが大事です。
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「例えばどのようなことですか?」
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「具体的に言うと?」
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「なぜそう思うのですか?」
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「他にはどんなことが挙げられますか?」
意見を求められたとき
ファシリテーターはしきり役ですが、意見を求められたり、発言者がいないときは自分が意見を言わなければいけない場があります。主張がある時は明言して良いですが、ない場合は前置きを使うと良いです。
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「私の中でもまだ十分には考えがまとまっていないのですが」
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「現時点で私がもっとも関心を持っているのは、」
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「みなさんのご意見を伺って、少しずつこう考えるようになってきましたが、」
残り時間を意識させる
タイムマネジメントをきっちりこなすことも、ファシリテーターの大切な仕事です。終了が差し迫っても、議論の収集がつきそうにない状況なら参加者にまとめの時間であることを意識させると良いです。
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「そろそろまとめに入らせていただきたいと思いますが、○○さんはこの件についてどうお考えですか」
発言者の話をわかりやすくするために助け舟を出す
話し慣れていない人は結論に到達するまでの言葉が多く、聞いている人にとって理解しにくい場合があります。そんな時は、助け舟を出してあげます。
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「つまり、○○さんがおっしゃっているのはこういうことですよね」
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「それはたとえば、AかBで言えばどちらですか?」
議論を少し噛み砕く
専門性の高い話題になると、発言者が1人に偏ってしまうことがあります。ファシリテーターは本当はその意味を理解していても、置いてけぼりになった参加者たちを手助けすると良いです。
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「今の点について、もう少し補足をお願いできますか」
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「それはつまり、こう言う解釈であっていますか」
フレーズ以外
本書で繰り返し言われていたファシリにおいて重要なポイントを少し引用しておきます。
ファシリテーションは準備が9割
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「芯を外さない進行」を頭の中でイメージして、参加者との間でどのように議論を盛り上げていくかを事前にシミュレートしておくことが大切です。
準備しないと絶対と言っていいほど、たじたじな進行になりますね。軽い準備ではなく、時間をかけてじっくり行います。時間も限られているので優先的にすべき準備は、会議の肝になる要素の情報収集や、肝になる会議の中心人物や初参加者に関する情報収集とのことです。意外と盲点だったのが、参加者がどんな人なのかということです。発言者のバックグラウンドを知っておくと、進行もスムーズにできたなと思うことがあったので、ここも重要ポイントです。
ファシリテーションとは聞く力
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ファシリテーターは受け身のポジションを取りながら、参加者の言葉を拾って補足し、軌道修正し、前述の〝芯を外さない進行〟を実現させていきます。
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ここでは、自分が何を言いたいかではなく、いかに参加者の言葉を受け止めるかが重要で、その意味では「聞く力」こそがファシリテーションのかなめだと感じます。
ファシリが上手な人はトークスキルがある人だと思い込んでいました。上述したようなフレーズがすらっと出てくるから、そういう印象を受けるのだと思います。しかし、発言者の話をしっかりと聞いていないと適切なフレーズが出てきませんので、ファシリテーターは発言者に対して全力で耳を傾けなければいけないのだと気付かされました。
ファシリテーターは声が命
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声の出し方そのものが、場のムードを作る強いツールになる
声のトーンが高めで、声質が安定している方のファシリテートは安心感があって、発言がしやすい印象があります。話し方よりも、話す内容に意識が強く向いてしまいますが、声の出し方も気をつけたいです。本では、会議がその日初めて声を出す場にならないように、事前に誰かと雑談なり話しておくことをお勧めしています。
終わりに
ファシリのノウハウが質問形式で記述されていて、語り口調も読み手が理解しやすいように書かれているので、スラスラと最後まで読めました。非常に多くの学びがありました。いきなり全てを本番で使うのは難しいと思います。ここにまとめた内容を一つずつ実践して、振り返りをして、改善してを繰り返してファシリ力を身につけていきたいです。