vimconf2017 に参加してきた。
これで3回目になるが、僕が知っているこれまでの2回と比べて、国際カンファレンス感が大幅に増した回だったと思う。
国際カンファレンス感というのは、日本語を母国語としない人が理解できるように意識されているか?ということで、
同時通訳をつけたし、日本人でも英語で発表した人がいた、ということ。
こういう既成事実があると、来年からは、日本語を理解できなくても参加する人が増えるのではないか。
これは大きな変化だと思う。
会場も大きく、スポンサーもついてすごくちゃんとしたカンファレンスになったと感じた。
去年に続き、自分も発表者として応募し、採用されたので発表できた。
去年に続き、Atom editor 用の vim-mode-plus について話した。
自分としてはすごく思い入れの強い発表だった。聞いた人がどう思うかは別にして。
自分の発表
vim-mode-plus: The most ambitious vim emulator in the world
自分で振り返るために記録を残しておこう。この感想は自分のために書いてるんで、自分語りが多めだけど勘弁してよね。
英語で発表するのは人生初
ちゃんとできるのか?30分もつのか?
日本語程、速く話せないし、スライドの進みが日本語よりは絶対遅くなるな。。。
となるとスライド減らすか。。でも緊張して頭真っ白になったらどうしよう??スライドの文字削りすぎると今度は頼るものが無くなるな。。。。
とか英語発表故の不安要素がいくつもあった。
しかしやってみたかった。よい経験になると思ったし。やはり国際カンファレンスと言っている以上、英語の発表が多い方が良いだろう。
英語発表にした方がトークが採択されやすいかもしれない。。。
そもそも vim-mode-plus は世界中で使われてるんだし、録画された動画を海外の人が見て伝わったら凄くよさそう!
どうせ vim-mode-plus のことは俺が世界で一番分かってるんだし、英語はリリースノートで常に書いてるから、俺が話さな誰が話すんやー、おらーっ送信ボタンぽちっ
という感じで自分に勢いをつけて申し込んだチャレンジだった。
皆の反応は別にして、自分ではめちゃくちゃ上手くいった。
英語での発表ということでお風呂とか、トイレとか、いろんなスキマ時間で声を出してやったり、時間を計ってやってはスライドを調整したりと、試行錯誤していたが、
練習で時間内で終わらせられたことは一度も無かった。
理由は英語で説明しながらやるにしては、デモが多すぎるからなのだが、デモはある程度削ったので、もう削りたくなかった。。
ちょっとアドリブで発言しようとすると、それがうまく言えず、継ぎ足し継ぎ足しで補足が長くなり、喋りに時間を取られてしまう。
母国語の日本語でデモをする時はこのような事はないので、もっと沢山のデモをテンポよくこなせるのだが、英語だとそういう訳にはいかなかった。
もう本番でなるようになれ、という感じで望んだ。
結果は予想に反してめちゃくちゃ良くできた。普段の練習が 10 点のうち 8 点の出来だとすれば、本番は緊張するから 6 点ぐらいになるかもしれん。
7点いけば上出来、、、みたいな事を考えてたが、12点ぐらいの出来だった。
時間どおりに終わった。アドリブで付け足した発言も英語でスムーズに言えた。ちゃんと意味を成す英語になっているかはビデオとか見ないとホントは分からない。
ただ、個人的には英文が出てきたし、口も動いた。アドレナリンが出たのか、、本番で予想を遥かに超える出来を出せたのだった。
1年間 vim-mode-plus ばかりやってきた。
去年の俺の発表を見た人は、今回の発表は去年の続編のような感じであまり驚きは無かったのかもしれない。
個人的には今年 vmp に割いた時間はそれまでの比ではなく、安定性、コードの読みやすさ、UX 諸々、スーパー良くなった。
今回は vmp のユニークな機能は単なる fancy なオモチャ機能じゃなくて、実践場面でめちゃくちゃ活かせるんだぜ、ということを show として見せたくて発表を応募したのだった。
それが今回できた。
vmp も際限なくやることはあるものの、自分が使う分には不満がなくなった。
今回の発表が1つ大きな区切りになると思う。
あー超感慨深いよ。。ほんとに vim のこと vmp のことだけを考えて過ごした一年だったんだよ。この感慨深さは多分俺にしかわかんねーよ。。あー燃え尽きた感じだよ。マジで。
どんなデモをやったか?
後々動画は上がると思うが。。。
試しにいまローカルでやってみた。
お題はコレ
TODO をこなしていくことで最後 enlightenment(悟り)に達する koan シリーズの vmp 版みたいなもの。
3分程度で終わるデモ。当日は喋りと解説込みなので、15分以上やっているはず。
デモ動画: キーストローク表示なし ver
デモ動画: キーストローク表示あり ver
他の人の発表について
他の人の発表について、興味深かったものを3つ書いた。
バーっとフリースタイルで書いてポストするから内容がテキトーなのはご愛嬌ということにしてくれ。
3つの発表以外も総じてレベルが高かった。これは twitter でも多くの人が書いていた。
この発表内容、昼飯、夜飯、ドリンク、会場、通訳とか合わせて 5000 円は安いか高いかで言うと安いと思う。
どの発表者も自分で何かをつくって、それについて発表しているので、結果的に自分の事を語っている。なので、内容が当然濃くなるし、興味を惹くものになる。
これだけレベルが高いと来年の vimconf はどうなるんだ、ハードル高くない!??と感じさせる程、どの発表もかぶり無く、個性があり良かった。
Vim, Me and Community
hayabusa さんは hayabusa さん自身の Vim との歴史を話した。
それは彼のプログラムの歴史そのものでもあった。彼の人柄や説明のわかりやすさが光っていた。
hayabusa さんが EasyMotion を fork して弄り始めた頃は僕も覚えているが、その頃と今とではプログラマとしての技量は大きく違うのだろうというのは想像できる。
しかし元々、勘所もよく、何より "ちゃんとしたものに仕上げる" とか、 "しぶとい" という印象は持っていた。
しぶとさ、粘り強さというのは、ソフトウェアを個人で作り上げる上での超重要な要素だと俺は思っていて、hayabusa さんは今みたいにすごくなる前から信頼の hayabusa 印的なものがある人だった。だからこれからもどんどん凄くなっていくだろう。かっこいいぜ!
Creating your lovely color scheme
cocopon さんのカラースキームのお話。
これは vim のカラースキームの作り方を解説するものだったが、vim のカラースキームに興味のない俺でもすごく興味を持てるような、幅広く有用な発表だったと思う。
これは cocopon さんの話す順序や、ポイント整理の上手さ。スライドの美しさ、話すテンポ等、cocopon さん自身のスキルの高さがあるのだと思う。
カラースキーム俺でも作れそうだぜと、多くの人が思ったのではないだろうか、そういう風に思わせてしまうところが素晴らしい。
新しい知識を人に教える時のお手本のような発表だった。
cocopon 先生!
How ordinary Vim user contributed to Vim
dice_zu さん、 Vim のコントリビュータになった話。
ええ話。OSS の超有名なソフトウェアに自分のコミットログが残るということに憧れている人、その気持ちは分かるぜ。
でもそれは凄くならないと出来ないスーパーなことだと思うだろ?いや分かる、でもそうじゃないかも知れんぞ、もっと身近なものかもしれん、いまからやってみたら案外来月にはあなたのコミットが入っているかもしれない!というような煽りを受けた。dice_zu さんのトーンはこんな軽い感じじゃないけど。。
dice_zu 先輩!
さいごに
特に ujihisa さん、同時通訳、理解できないレベルですごかったです。あれだけのぶっ通しで、それぞれに内容の違う深いレベルの言葉を訳すのは色々なことのレベルが高くないと出来ません。
打ち合わせで、ざっくりと同時通訳のリハをちょっとやってみた時、なんでそれ初回からできちゃうの?というレベルで出来ていてビビりました。
あなたはすごすぎます!
Vim に凄く昔から関わってきた mattn さん、 kaoriya さんはどんな気持ちなんだろう?沢山の人が集まり、若い Vim コントリビューターも育ち。。
すごいことですよこれは。
去年も感じたし、今年も感じたが、mattn さんや kaoriya さん、k_takata さんといったすごい人、偉そうにしても誰も怒らないだろう様な人が本当に温厚で優しく、コワくない、というのは素晴らしく、また当たり前じゃない貴重なことだと思う。だから日本の Vim コミュニティは心地よいのかもしれん。
スタッフの皆様おつかれさまでした。最高に良かったです。