本記事は READYFOR 株式会社の READYFOR Advent Calendar 2021 の [7日目] です。
昨日の記事は @amachino さんの『不確実性下の意思決定理論入門』、明日の記事は @laura_ko さんの予定です!
※ 本記事の内容は所属会社の公式発表・見解を示すものではありません。
■ はじめに
コロナ禍により世はオンライン時代となり、勉強会などのイベントが非常に多くなっています。
それに伴い登壇のハードルも下がり、なんだかんだと色々な場面で「話す」機会が増えていますよね。
『この人の発表は上手いなあ!』という印象を抱くことも、正直『聞くのがつらい・・・』という印象を抱くこともあります。
そんな中、「大事なポイントが伝わりづらくなるアンチパターン」があるな、という漠然とした気づきを得ました。
せっかく勇気を出して発表して頂いているのですから、伝わりやすい喋り方が出来ると全員がもっともっと幸せになるでしょう。
そして幸いなことに「大事なポイントを伝えるための喋り方」は 身につけることの出来る技術 です。
しかし知らなければ「アンチパターン」にハマったまま改善することすら出来ません。
そこで今回は例として 悪印象を与えがちな喋り方 の3つのアンチパターンを例に、
それがなぜ聞いていてつらいのか? どうすれば解消できるのか? について記事を起こしてみようと思います。
■ この記事の目指すゴール
話し方と資料の構成には「大事なポイントを伝える」ためのテクニックがあります。
これらのテクニックを身につけることで、
プレゼンやイベントに際し、あなたのセリフや資料の「どこに着目すれば良いのか?」を伝えられるようになります。
その結果、喋りを届けたい方々が感じる つらみ を減らすことができ、与える印象がとても良くなるのです。
本記事では上記のようなゴールを目指し、アンチパターンを避けて
人間の限られた集中力を最大限に活用するためのテクニックについて記述をしていきます。
■ アンチパターン①: ずーっと声の大きさやテンポが同じ
▶ つらみポイント: それ念仏っすか?
まるで念仏のように一定のトーンで進むプレゼンほど辛いものはありませんよね。
なぜ辛いかというと、ただ単純につまらないのです。
その一因が「どこが大切なのか?」や「どこに着目すれば良いのか?」が理解しにくい点にあります。
何を伝えたいのか分からない内容を聞きながら、資料を読みつつ大切そうなポイントを探す作業。もう超超つまらない。
間違いなく眠らせにかかって来ています。
それが自分の興味のある分野の話であればまだギリギリなんとかなります。
しかし全社定例会のようなものであれば集中を長い間続けることは困難でしょう。
寝るかスマホか内職か。さて、どれにしましょうかね? ... Zzz ......
▷ こうする: メリハリをつけ「ここが大事だよ」というシグナルを送る
▷ 「ここが大事だよ」を伝える事例
まずは具体的な事例を挙げてみます。
こうしたつらみと真逆にいるのが 「いつやるの?今でしょ」 に代表されるような有名予備校講師の方たちです。
彼らの喋り方は特徴的(個性的) ですよね?
CM とかに出てくる 予備校講師たち を想像してみてください。
「いつやるの?↑ 今でしょ!!↓」
「ここが↑ 大事なんだ↓」
「そう! これはぁ↑ ○○とぉ↑ 一緒なんです↓」
彼らは注意を引きたい所や大事な所が来ると、
声の大きさ、テンポ、トーン を変え、表情を作り、あえて 間を作る ことでメリハリをつけます。
謎の すしざんまい的なポーズ がついていることもあります。
人間の集中力は本当に脆いですから、限られた集中力という資源をどう効果的に使ってもらうか工夫をこらしているのです。
人は相手の話の「大事な部分」が分かればそこだけに注意力を割くことが可能です。
だからこそ大事な部分は 大きな声で、テンポを落とし、声を高くしたり、声色を変えたり、表情を変えたり、あえて間を作って... 「ここが大事だよ!」というシグナル を送り、興味を引くのです。
更にちょっとしたポーズは興味を引く効果だけではなく、ポーズを取るために時間を使うことで早くなりがちなテンポを抑え、意図的な間を作るために利用することもできます。
最近であれば 人気 YouTuber の動画も参考に出来るでしょう。
ただ長々とぼそぼそ喋っている動画はあまり見たいと思いませんよね。
そこで彼らは変顔をしてみたり、新商品を例の持ち方で見せたり、ここぞという場面で喋り方を変えてみたりテロップを出してみたりなどの工夫を凝らしています。
通販番組 も同様にノウハウの宝庫です。
同じ9,980円という価格でも、最初から9,980円と紹介するのではなく 19,980円から1万円引きした方がよりお得に感じるわけです。
今回のみのご提供だったり、今から30分以内だけだよと煽ったり、お電話が殺到したり、商品が売り切れていくのもそうです。
人間の五感や心理に働きかけている のです。
また別の例として コントの上手いお笑い芸人 を想像してみてください。
彼らは常に同じ大きさ、同じテンポで喋っているでしょうか?
大抵の場合、日常会話っぽい部分とツッコミの部分では全く喋り方が異なっています。
少し溜めを作ってワンテンポずらしたり、大げさに言ってみたり、異性を模した声を出してみたりなど、ネタの核心部では上手く伝えるための工夫がこらされている筈です。
▷ メリハリをどう付ける?
さて前述した具体例を元に、どのようにメリハリを付けるとよいか考えてみましょう。
具体例に出てきたものは概ね以下のとおりです。
- 声の大きさ
- テンポ
- トーン
- 声色
- 表情
- 間
- ポーズ(姿勢)
・・・たくさんありますね。
これらを全く変えないままだらだら喋ってしまうと、聞いている側はどこが大事なのか分からず、興味を保つことも出来ずにつらみの底に沈んでしまうのです。
ですから、例えば 大事なところを喋る際 にはこうすると良いでしょう。
- 声を 大きく。
- テンポを ゆっくりに。
- トーンは 高く。
- 声色は少し 演技じみた感じに。
- 表情は 目を見開く。
- 間をあけて 溜めを作る。
- 資料を指すなどの ポーズを付ける。前のめりになる。
そして 大事な部分以外や繋ぎ部分はこの逆 にします。
声は小さく早口、トーンは普通にしてサクサク進みます。
こうして声やテンション、間などの上がり下がりを上手く使って 「本当に興味を持ってほしい部分」を強調する のです。
すると、
「○○○ です。××× が △△△ です。」と抑揚なく話してしまっていた内容が、
「○○○ です↓。 で、ここが大事なのですが・・↓ なんと!↑ ××× が!↑ △△△ になるのです!↑」 と変わってきます。
なお、必ず常に全ての要素を変える必要はありません。
その大事さや伝えなければいけない度合いによって、取捨選択やどの程度適用するべきかが変わってきます。
振り幅が大きいほど強調されるため、常にテンション MAX で話すと今度は 全部が大事な部分に見える ので良くありません。
あくまでもメリハリを意識して「大事な部分こそ強調」するようにしましょう。
このメリハリの付け方は、先述した「予備校講師」や「お笑い芸人」などが非常によいサンプルとなるはずです。
皆さんも急に「いつやるの?」とか言い始める必要はありませんが、
日常的に触れているコンテンツに必ずと言ってよいほど用いられている 「いかに興味を引くか?」 という様々な手法は発表にも応用可能です。
一度じっくりと観察し、発表に取り入れてみてはいかがでしょうか。
▷ メリハリの付け方: はじめの一歩
・・とメリハリの付け方を説明しましたが、いきなり全てを取り入れることは困難です。
適切な間を作るにはトレーニングが必要ですし、表情を変えたりポーズを付けるのはとても難易度が高いです(恥ずかしいですしね)。
まずは・・・
- 「ここを伝えたい!」というポイントを定めておき、
- その部分に差し掛かったら 「ここが大事です!」 という旨を伝え、
- 少し間を作り、
- 声を大きくし、
- 話すテンポをゆっくり にする
と良いでしょう。
「○○なんです。 で、ココが大事なんですが... ×××が、 △△△に、 なるんです!」 のようなイメージです。
上記は一例ですが、普段の喋り方と少しだけ変えて強調してみる ところからスタートすると良いでしょう。
いきなり全部入りのプレゼンが出来るなら誰も苦労していないですよね。
まずは出来そうな所から始めてみましょう。
あまりいきなり大げさに変えると「なんやコイツどうした!?」ってなってしまうかもしれないですしね。
■ アンチパターン②: ずーっとスライドをただ音読し続ける
▶ つらみポイント: 資料配って終わりにしてくれないすかね?
ユーモアもなければスライド外の話すら無く、ただただスライドを音読するだけ・・・
あなたのその話、必要ですか?
...これは極論なように見えると思いますが、残念ながら不要と言えるでしょう。
ただスライドを音読するだけなら「このスライド読んでおいてね!」で OK なんです。
だって書いてあることを音読するだけなんですもん。
ここに価値が生まれるのは有名人や声優さんが朗読してくれる場合くらいですよね。
あなたの音読を聞いてくれている人たちは、業務時間であれ自由時間であれ限られた自分の時間を使っています。
その時間を、あなたは 「ただスライドを音読するだけの時間」で奪っている のです。
本来は何かを生み出すことに使えたかもしれない時間を。
とても辛いことですが、まずこの問題を知って自覚する必要があります。
またスライドを配った場合は読む人のペースで自由に読み進めることができるのですが、音読はそれすら奪います。
最も避けたいのが、このただスライドを音読するだけのパターンかもしれません。
しかもこのパターン、なんと 大抵の場合『アンチパターン①: ずーっと声の大きさとテンポが同じ』と併発 します。
それがどんなつらみを招くのかは想像に容易いでしょう。
でも本当によくあるんです(悲)
これは喋っている側も聞いている側も辛い、どちらも損をしている悲しい状態です。
でも大丈夫、テクニックで改善することが可能です。
▷ こうする①: ただ読み上げるだけの資料にしない。ここ大事!を伝える。具体例を挙げる。思いを伝える。発表しない。
プレゼン資料や発表資料は音読するものではありません。
「あなたが伝えたいこと」を書くもの です。
スライドに書いてある 見れば分かること以外の価値 を提供出来るかどうかがそのまま発表の価値につながってきます。
書いてあることを読み上げるとただ棒読みになりやすいだけでなく、わざわざ時間を掛けて発表する意味が薄れてしまいます。
したがって喋ることの 100% 全てを一語一句漏らさず資料に載せるのは避けたほうが無難です。
それでは喋っている側も聞いている側もつらみしかない Lose-Lose な状態で誰も幸せになれないのです。
また同様に、喋るセリフ全てをスライドの発表者欄に入れておく ことも 推奨しません。
読み上げると抑揚が失われつい棒読みになって発表がつまらなくなりやすい為です。
以上より、資料は伝えるべきメッセージや要点のみをメインとする と良いでしょう。
一方 資料単体で見返したときに必要となるルールや仕様 などは全て書き出す必要がありますが、それも喋ることをそのまま書く必要はありません。
そしてこれらの要点を伝える際には 「ここが大事なポイントだ!」という点を強調 して伝えます。
その際のテクニックとしては『アンチパターン①: ずーっと声の大きさとテンポが同じ』で紹介したような、声の大きさやトーンなどを変えることで実現すると簡単です。
また分かりやすい説明のためには 具体例を挙げる ことも大切です。
ただし具体例を全て書いてしまうと資料がどんどん複雑になるため、資料中では触れてもタイトルやサマリ程度にします。
その具体例の内容を あなたの口から直接「語る」 ことで、資料を複雑にしすぎることなく資料に書ききれないようなニュアンスを伝えることが出来ます。
また上級者向けですが、ウケそうなネタを突っ込みたい時は具体例を活用するとスムーズです。極端な例にしてみたり。
更に実は『発表しない』というのも有力な手段のひとつです。
ただ音読し続けるくらいなら、いっそのこと資料を配って終わりに出来ないか考えてみましょう。
このオンライン時代、無理に全員を集めて同期的に時間を使う必要はない 筈です。
もし Slack などのチャットツールを使っている場合は『読んだら抜けてねチャンネル』を作って、資料を読んだ人からチャンネルを抜けてもらうなどの方法が取れないかなど検討してみてください。
また感想や疑問についても Google Form などのツールを使えば集めることが可能です。
その場で「質問ありますか?」と聞くよりも、じっくり考えられるので良い質問が見込めるでしょう。
▷ こうする②: 発表する内容を一語一句暗記しない。
喋るセリフ全てを一語一句記憶することも推奨しません。
記憶した内容を読み上げると思い出すことに必死になりやすく、抑揚が失われつい棒読みになり、テンポは失われ... と発表がつまらなくなりやすい為です。
このため自分はパワポや Slide の発表者欄へ殆どメモをせずに発表に臨みます。
メモをするのは、説明・構成上絶対に触れておきたい内容がある場合。 例えばスライドを見るだけでは思い出しにくい具体例があるケースなどです。
それも キーとなる単語程度に留める ことが多いです。
ただ暗記するのではなく、ちょっとしたメモを見ながら毎回漏れがないように話せるように何度も練習をしておくのが個人的なスタイルです。
そう、必要な要素が揃ってさえいれば、毎回ちょっとずつ喋る内容が変わったって良いんです。
思い出そうとするから棒読みになってしまうのですから、毎回スライドの要点や少しのメモを元に伝えるべきセリフを生成出来るように繰り返し練習してみましょう。
もしも私の喋りが自然な感じに聞こえるとしたら、完全暗記でない状態で話をしているからだと思います。
(あるいは完全にその場のノリで喋っている場合もありますが..)
■ アンチパターン③: ずーっと「あー」とか「えー」って言ってる
▶ つらみポイント: ゾンビなのかな?
「あー」とか「えー」、「あのー」、「なんか」という言葉が会話の端々に出てくる人って居ますよね?
これは「フィラー(Filler)」と呼ばれる、言葉と言葉の間を繋ぐために自然と出てしまう声のことです。
無意識に出てしまうこのフィラー、適度であれば場のつなぎや「まだ喋っているよ」の表明などに活用することも可能です。
しかしフィラーの数が多すぎる場合は聞き手に多大なる負担を与えます。
フィラーが言葉の間に挟まりまくると「どこが大事なのか分かりづらい」、また「言葉の切れ目が分かりづらい」ためです。
例えば、
「今日は良い天気ですね。こんなに天気のいい日には、自転車で遠出したくなります。」がフィラー使いの手にかかると、
「えーーーあのーー今日はぁーーえーー良い天気ですねえーーあーこんなにいーあのー天気のおーーいい日にはぁーーあのー
自転車ぁあーーでーえーー遠出したくなりますうー」となります。
もうね、何言ってるかほんと分からないの。
▷ こうする: フィラーを減らすテクニックを身に着ける
フィラーには 発生するメカニズム があります。
例えば考え中の場合や自分の意見に自信がないと出がちです。
なら考えなければ良いかと言うと今度は棒読みになりますし、自信をつけろと言ったってそんな簡単な話ではないでしょう。
そこで、この節では フィラーを減らすテクニックや方法 について触れていきます。
言葉の選び方 というちょっとしたテクニックでフィラーを減らしたり、たとえフィラーがあったとしてももう少し分かりやすい喋り方をすることができるのです。
※ なお私はフィラーの専門家ではないので、あくまでも個人的な見解であることにご注意ください。
▷ フィラーを減らす方法①: 語尾を延ばさない。「ですます」調にする。
まずフィラーの害となる性質のうち「言葉の切れ目が分かりづらい」という点に着目した、「語尾を伸ばさない」というお手軽な対策があります。
よく使われる「○○なので」という言葉、実はフィラーを招く めちゃめちゃ危険 な言葉なんです。
これは「で」などの 音に「あ」、「え」が含まれる言葉が語尾になる と、語尾そのものがフィラーになった上で、更に後ろにフィラーを導いてしまう という最悪な性質をもっているためです。
このため「○○なのでーー」と語尾を延ばすと、自然に 「○○なのでーーーえーーーあのーーーー」 のように 語尾が延びる形でフィラーに繋がってしまう のです。
ですので、語尾を伸ばさないよう「○○なので!」と言い切る ことを意識しましょう。
言い切ることでフィラーの発生を防ぎつつ、言葉との切れ目を作ることができます。
こうして言い切ることが出来ると、「○○なので! ××がですね...」 という形で 音節が2つに分かれます。
例えその後ろに続いてフィラーが出て 「○○なので! えー××がですね...」 となってしまったとしても、「なので!」で音が途切れる ことにより言葉に境目が生まれ、言葉の切れ目が分かりやすくなる = つらみが減る という効果が生まれるのです。
これは「○○なので」という言葉以外でも同様です。
言い切ってフィラーをなくすことで説得力も出てきますので、意図して言い切るようにしていきましょう。
また同様に 「ですます調」にする ことで語尾を伸ばしづらくするという対策もあります。
「ですます」で終わると音が途切れ「あー」「えー」に繋がりづらくなる のです。
「○○なんですぁー」や「○○なんですぇー」とはあまり言いませんよね? (京都弁だと言うのかな...?)
このため「ですます」で終わることで語尾を伸ばしづらくなり、フィラーの発生を抑えることが可能になります。
▷ フィラーを減らす方法②: 言葉が途切れるタイミングで「なので!」や「で!」という言葉を使って『間』を作る
言葉が途切れるタイミングに出やすい「えー」 に関しては、「なので!」や「で!」、「ですので!」、「ここが!」といった言葉に置き換えます。
「○○です。 なので! ××と考えられます。」 のような形です。
この「なので!」という言葉は「まだ次に続きますよ。でも一旦ここで言葉は途切れますよ。」を表明しています。
聞く側としても「きっとこの後大事な内容が来るな?」という心の準備が可能です。
このため どちらにとっても自然な間を作る ことができるのです。
実は思ったよりも沈黙は怖くないものですよ。 沈黙ではなく「間」や「溜め」 だと考えましょう。
また言い切ることでついフィラーが出てしまうことを抑える効果もついてきます。
▷ フィラーを減らす方法③: 考え中であることを声と表情やジェスチャーで伝える
考え中など沈黙が続く場合は左上を見ながら「えーーーー」等と言ってしまいがちです。
これは仕方がない側面もありますし、考え中であることを伝える効果もあるため 無理して減らす必要はありません。
しかし、もしも「えーーーー○○がーー」という形でそのまま次の言葉に繋がってしまう事が多い場合は、
「うーん」といった言葉や「そうですね...」という言葉に合わせ、考え中のジェスチャーを併せて使う と良いでしょう。
ジェスチャーをする/解く時間が自然と少しの間や溜め を作ってくれるのです。
代表的なジェスチャーとしては、口を覆うように片手を持ってきて「うーーーん」と言い、話すことが思い付いたら手を外す というものがあります。
▷ フィラーを減らす方法④: ゴールと自分の現在地を知る
今まで紹介したような手法を使っていくあたっては、ゴールを意識することも重要です。
どの程度のフィラーであれば分かりやすくかつ現実的か、発表が上手いなあと思える人の動画を探してそのレベルを目指してみる ことをお勧めします。
こうして目指すべきゴールを確認したうえで、自分の発表などを録音してフィラーの量や、出やすい状況・タイミングを知りましょう。
スマホで動画を撮ったり録音アプリを活用したり、Meet や Zoom であれば録画機能を利用したりする事で 自分の喋りを観察 します。
自分の想像と違う声に泣きそうになるのを我慢してじっくり聞いてみると、おそらく思ったよりも悲惨な状況に出会うでしょう。
現実を知って、直そうとしたら喋りながら自分のフィラーに気がついて言葉が出なくなる・・・という状態になります。
その後一度フィラーが出るのを諦めて普通に発表した後、次にまた練習・・と繰り返すことで徐々にフィラーを減らせる可能性があります。
ここで「可能性」と書いたのは、残念ながらこの手法のサンプルが自分しか居ないためです。
私は録音して練習することで、自分の脳内イケメンボイスとの違いに愕然としつつ、フィラーに気がつけるようになるも喋れなくなって...
これを繰り返すことで徐々にフィラーが減ってくるというものを実体験しました(でもゼロには出来ていません)。
この方法に則れば皆さんにも同じものを提供できるかどうかは分かりませんが、1つの案として参考にしていただければと思います。
▷ フィラーを減らす方法: まとめ
フィラーを減らすためには、下記から始めるとお手軽です。
- 語尾を延ばさない。「ですます調」にする。
- 言葉が途切れるタイミングで「なので!」や「で!」という言葉を使って『間』を作る
- 考え中であることを声と表情やジェスチャーで伝える
またそのためには「ゴールと自分の現在地を知る」ことも重要です。
更により根本的なものとして、「フィラーのメカニズムをもっと掘り下げて知る」 方法もあります。
フィラーの発生するメカニズムを理解することが出来れば対策が打ちやすくなるでしょう。
スピーチの本やコミュニケーションの本などを読んでみると良いかもしれません。
未読なので書名を挙げての紹介はしませんが、最近はフィラーに特化した本も出ているようです。
もしよい本をご存じでしたら教えて頂けると嬉しいです。
■ まとめ
以下をうまくコントロールすることで「どこに着目すれば良いのか?」を伝えられるようになり、与える印象がとても良くなります。
-
話し方
- 声の大きさを可変する
- 話すテンポを可変する
- 声のトーン(高さ) を可変する
- 表情を可変する
- 間を作る
- ここ大事!を伝える
- フィラー(「あー」や「えー」、「あのー」) を減らす
- ポーズを付ける、姿勢を変える
-
構成の工夫
- 具体例を挙げる
- 思いを伝える
- ただ読み上げるだけの資料にしない
一覧だけを見るととても難しそうに見えますが、
「有名予備校講師」や「有名YouTuber」、「お笑い芸人」などを参考にするとイメージが付きやすいはずです。
しかしこれらを一度にすべてを改善することは本当に難しいです。
体に染み付いたクセを変えていく必要があるためです。
そしてクセを知って意識すると、「あーまた言っちゃった...」みたいな感じになって急に喋ることが困難になることもあります。
こればかりは産みの苦しみで避けることは困難でしょう。
欲張らずにひとつずつ改善していきましょう。
・・・そうして勉強&練習を続けていって、言葉や表情や間などを駆使できるようになり、最終的にフィラーがゼロになると あなたのプレゼンは TED みたいな感じ になります。
あるいは タートルネックに丸メガネを付けたおじさんが台上を歩き回ってプレゼンする感じ でしょうか。
が、あれは練習に練習を重ねているから出来るのであって目標とするには遠すぎますし、そもそもいちエンジニアに求めるレベルではありません。
フィラーも適切・適度に使えばコミュニケーションを円滑にします。
またビジョンを伝えて投資を勝ち取るような場でなければ無理してフィラーをゼロにする必要もありません。
用法容量に注意して頂くのが良いと思いますのでご注意ください。
以上、長文を読んで頂きありがとうございました。
■ 注意点
本記事で紹介した手法は論文などを根拠としたものではありません。
あくまでもサンプルの一つでしかなく、プレゼンやコミュニケーションの本が星の数ほどあるのと同じくただの一説です。
万能ではありませんのでご注意ください。
本記事は READYFOR 株式会社の READYFOR Advent Calendar 2021 の [7日目] です。
昨日の記事は @amachino さんの『不確実性下の意思決定理論入門』、明日の記事は @laura_ko さんの予定です!
※ 本記事の内容は所属会社の公式発表・見解を示すものではありません。