はじめに
こんにちは、(株)日立製作所、クラウドビジネス推進センタの富田です。
突然ですが、みなさん技術書は電子媒体、紙媒体どちらが好きでしょうか?
「目的に応じて使い分ける」が正しいのではありますが、私の場合どうしても紙媒体を好んでしまいます(昭和の古い人間だから?!)。そんな私ですが、社内・社外でクラウド技術に関するよろず相談のようなお仕事をさせて頂いております。そこで今年一年の締めくくりとして、私が今年最もお世話になった(クラウド技術の)書籍をいくつか紹介したいと思います。
相談対応での参照頻度で選出してみましたので、改めて見直してみますと「リフト系書籍が並んでしまったかな?」という印象です♪
(在宅勤務が増えたお陰で書籍の参照が楽になりました。仕事効率up!)
それでは早速、AWSの書籍紹介から始めたいと思います!
AWSクラウド技術書籍
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Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド 改訂第2版 (発売日:2018/3/23)
- 初心者から上級者まで、幅広く参考になるAWS本です。私がAWSの勉強を始めたのは2019年冬頃ですが、丁度「AWS Certified Solutions Architect – Associate」の勉強用に購入しました。お陰様で試験は無事合格できましたが、試験後も長く活用しています。各種サービスのリファレンス的に使う事が多いです。つい最近も「DBのフェールオーバ方法としてRDSだけでなく商用クラスタリングソフトウェアの活用」「SESに加え、EC2ベースのメールシステムの実装バリエーション」など、再発見するトピックもありました。
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Amazon Web Services 業務システム設計・移行ガイド (発売日:2018/1/20)
- AWSへのリフトや、オンプレとAWSのハイブリッド構成の設計について詳しく書かれています。特に、エンタープライズなシステムではハイブリッド構成はメジャーと思いますが、そういったオンプレとのハイブリッドシステムを構築する場合の基本が体系的に学べます。
上記「Amazon Web Services パターン別構築・運用ガイド」と合せて、大変お世話になっている良書なのですが、発売日が2018年と少し時間が経っているため、最新情報の確認は必要です。
- AWSへのリフトや、オンプレとAWSのハイブリッド構成の設計について詳しく書かれています。特に、エンタープライズなシステムではハイブリッド構成はメジャーと思いますが、そういったオンプレとのハイブリッドシステムを構築する場合の基本が体系的に学べます。
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みんなのAWS 〜AWSの基本を最新アーキテクチャでまるごと理解! (発売日:2020/4/17)
- AWSの基礎知識(ベスプラ、セキュリティ、監視、学習法など)から始まり、SoR/SoEと幅広いシステムのアーキテクチャが学べます。また、紹介されているアーキテクチャについては、サンプルコードもあり、これが実践的で大変勉強になります。オンラインWebシステムのサンプルも、よく見かけるEC2ベースでなく、ECS(Fargate)ベースとなっている点がお洒落ですね!
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AWSではじめるインフラ構築入門 第2版 安全で堅牢な本番環境のつくり方 (発売日:2023/1/18) ※第2版が出版されましたので更新
- AWSサービスを一通り学んだ中級者が(Associateレベル)、一通り動くシステムを構築してみたいといったニーズに適しています。新人勉強会などの教材に最適です!サンプルはオンラインWebシステムなのですが、(この手の教材でよく見かける)「WordPress」でなく、Ruby on Railsでお手本とされるチュートリアルが題材に使われている点が、他書と大きく異なります。原著: Ruby on Rails Tutorialを手元に、(Ruby)コードの確認ができる点がポイントです。腕に覚えのある人は、このチュートリアルアプリケーションを「コンテナ版」「サーバレス版」として移植してみては如何でしょうか?
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AWSコンテナ設計・構築[本格]入門 (発売日:2021/10/21)
- 2021年12月時点で「AWSでコンテナシステムを構築したい」というエンジニア必須の参考書です。現状、AWSコンテナ開発の集大成といっても過言でないかと思われます。「コンテナとは何か?」の概略から「AWS Well-Architectedフレームワーク」をベースとしたコンテナシステムのベスプラ解説、ハンズオンも基礎編、実践編(CI/CD)と盛りだくさん!少し前までは「コンテナを勉強したいのですが、何かお薦め本ありますか?」と聞かれた際に、一冊で完結できる解説書籍がなかなか無かったのですが、今はこの書籍の紹介で事足りるようになりました。
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現場至上主義 Spring Boot2 徹底活用 (発売日:2018/11/30)
- 従来Tomcatなどで開発されていた(java)webシステムをコンテナ化する手段として、Spring Bootがあります。本書は、そのSpring Bootの解説がメインであるものの、(デプロイの)想定システムはAWS ECS(Fargate)+Aurora(MySQL)になります。これが技術支援で良く聞かれる典型パターンだったりするため、デモなどサンプル実装として重宝しています。
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AWSではじめるデータレイク: クラウドによる統合型データリポジトリ構築入門 (発売日:2020/7/9)
- AWSのAnalytics専門家(ソリューションアーキテクト)による執筆で、AWSのビッグデータ系サービスについて、これ以上の信頼性はないかと思われます。後半のハンズオンも、ステップ・バイ・ステップで学習できるように構成されており、初学者にお薦めです。
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Amazon Web Servicesを使ったサーバーレスアプリケーション開発ガイド (発売日:2018/3/16)
- AWSでサーバレスアプリケーションを何か構築したいと思い購入しました。当時、SPA(Single Page Application)アプリケーションにも興味があった為、この書籍5章の「写真投稿サイト」が参考になりました。Vue、API Gateway、Lambda(Python)、DynamoDBを使ったSPAシステムで、サーバレスなAPIサーバ部分もAWS SAMというフレームワークを使うなど、(当時としても)先進的な内容でした。AWS SAMの説明だけでなく、Cognitoの解説など、著者がAWSのソリューションアーキテクトということもあり、解説がとても丁寧でお薦めです。
Azureクラウド技術書籍
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Azure定番システム設計・実装・運用ガイド オンプレミス資産をクラウド化するためのベストプラクティス (発売日:2018/9/6)
※こちらの書籍ですが、2021/12/23に3年ぶりに改訂版が出版されるとのことです。今から購入される方は、改訂版であるこちらをお薦めします。- オンプレで稼働中のWebサーバ(VM)+SQL Server(VM)をベースに、Azureへのリフト&シフトの進め方、気をつける点が丁寧に解説されています。テクニカルサポートチームが執筆陣ということもあり、各種コラムも実践的で勉強になります。AzureへのシフトについてはApp Service(Web App)の活用が常套手段ですが、App Serviceは、学習始めは理解が難しい部分もあり、この書籍の解説でやっと理解できました。
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Microsoft Azure実践ガイド (発売日:2017/12/15)
- 初版が2017年ということもあり、最新情報の確認は必須ですが、体系的にAzureサービスを学ぶのに最適です。私はこの本で、ストレージアカウントやManaged Diskの概念をしっかり理解できました。後半のARMテンプレートを用いたIaCの説明や、それを使ったリファレンスアーキテクチャ(サンプル)は自動化に興味ある方に良いと思います。最近では、AzureでのIaCツールとして「Azure Bicep」も抑える必要があります。
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Azureテクノロジ入門 2019 (発売日:2018/11/15)
- Azureサービスのリファレンス本です。気になったサービスについては、必要に応じ参照するようにしています。今も時々読返してみて、改めて再発見することも多いです。
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しくみがわかるKubernetes Azureで動かしながら学ぶコンセプトと実践知識 (発売日:2019/1/23)
- 著者の阿佐氏の説明は、本当に丁寧で読みやすいです(内容は簡単では無い筈なのですが^^)。Kubernetesに関する書籍はかなりの数がありますが、AKSをベースにKubernetesを語る書籍は、現状本書だけではないでしょうか?各種「コラム」も勉強になり、開発者として常に先を見られているなぁとの印象を受けます(私も頑張らないと!)。
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速習Azure Administrator (発売日:2020/5/29)
- 紙面がとても薄い、Azureサービスの基本解説書です。ポイントがギュッと纏められており、図も多く、Azureサービスの概略を抑えるのに最適です。現場から少し離れてAzureのシステムを担当するマネージャーなどが、手際良く(技術)内容を理解するのに適しています。
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合格対策Microsoft認定試験AZ-104:Microsoft Azure Administrator (発売日:2021/10/8)
- 試験対策本という位置付けではありますが、上記「速習Azure Administrator」と合せて、日頃からリファレンス的に参考にしています。最近はマルチクラウドで勉強していると、AWSサービスと混ざったりして、基本的なサービスについても「可用性ゾーンってどうだったかな?」と復習が必要なケースがあります。そういう時に、こういう体系だった参考書を使うのが有効です。
その他
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CISOハンドブック ――業務執行のための情報セキュリティ実践ガイド (発売日:2021/1/20)
- クラウド案件の提案では「クラウドってセキュリティ大丈夫?」と、漠然とした不安を問われることが多々あります。その際、AWSやAzureの個々のセキュリティサービスを説明するだけでは不十分で、先方が何を気にしているのか?不安のポイントは何か?を抑えた上で、回答する必要があります。セキュリティ責任の頂点に君臨する「CISO」の仕事を理解する事で、回答に幅を持たせる事ができると思われ、とても参考になります。
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定期購読している雑誌
- 技術評論社から出版されている「Software Design」と「WEB+DB PRESS」もお薦めします。前者はインフラエンジニアより、後者はアプリケーションエンジニアよりの最新技術記事が掲載されます。この2つの雑誌はクラウドに限らず、ソフトウェア設計開発全般の技術情報誌ではありますが、最近はAWS/Azure/GCPといったクラウド技術の特集も多くなってきている印象です。
まとめ
私からの書籍紹介は以上になります。みなさんの愛読書に含まれているものはありましたでしょうか?本当は、ここに挙げた書籍に留まらず、まだまだ紹介したい良書は沢山あるのですが、それはまた別の機会でということにします。