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はじめに
この記事では直積集合、二項演算を紹介します。
前回の復習
前回は集合、要素、写像、単射、全射を紹介しました。
これらは二つに分類することができます。オペランドとオペレータです。つまり、演算の対象と演算です。
集合、要素は演算の対象で、写像、単射、全射は演算です。
これから紹介する直積集合、二項演算も同じように分類することができます。直積集合は演算の対象で、二項演算は演算です。
直積集合
直積集合とは、集合Aの要素aと集合Bの要素bをペア (a, b) にしたモノを要素とする集合です。
馴染みがある自然数を用いて、集合Aと集合Bが自然数である直積集合を見てみましょう。
集合Aと集合Bが自然数である直積集合には、どのような要素があるでしょうか?次のような要素があります。
(1, 1) (1, 2), (1, 3) ...
(2, 1) (2, 2), (2, 3) ...
(3, 1) ...
...
ここで気を付けて欲しいところは (1, 2) と (2, 1) が別物だというところです。つまり、順番も大切だということです。
二項演算
次に、二項演算を紹介します。これは馴染みがあるかと思います。例えば、四則演算などがそれです。
しかし、馴染みがあることにこそ注意が必要です。
二項演算とは、集合Gと集合Gの直積集合を集合Gに変換するモノです。一見簡単そうです。
まず、二項演算にならないモノを見てみましょう。
集合Gが自然数で、二項演算が足し算の場合です。足し算が二項演算子であれば、自然数を用いた直積集合は自然数になるはずです。ちょっと確認してみましょう。
(1, 1) (1, 2), (1, 3) ...
(2, 1) (2, 2), (2, 3) ...
(3, 1) ...
...
2 3 4 ...
3 4 5 ...
4 ...
...
(1, 1)を変換すると2になります。おっと、自然数の要素1がありません。自然数を用いた直積集合を足し算で変換すると、自然数に含まれるべき要素1を含まない集合に変換されてしまいます。したがって、自然数を用いた直積集合において足し算は二項演算ではありません。
次に、二項演算になるモノを見てみましょう。足し算の代わりに掛け算を確認します。
(1, 1) (1, 2), (1, 3) ...
(2, 1) (2, 2), (2, 3) ...
(3, 1) ...
...
1 2 3 ...
2 4 6 ...
3 ...
...
これは大丈夫そうです。したがって、自然数を用いた直積集合において掛け算は二項演算です。
あとがき
まだ定義の話なのですが、結構、難しいですよね。今回紹介した二項演算が写像であるか?単射であるか?全射であるか?それらをきちんと把握しておきたいですね。
このような感じで数学の記事をなるべく簡単な言葉で書いてみようと予定しています。
間違いに気付きましたらコメントなどで教えていただければ幸いです。