EC は D2C の時代に
D2C とは Direct to Consumer の略称で、商品を直接消費者に販売するEC(電子商取引)のことです。近年 D2C に取り組む企業が増えてきています。野村総合研究所(NRI)はITナビゲーター2020年版にて「BtoC EC(消費者向けEC)」の市場規模は2025年度に27兆8000億円に拡大すると予測しています。2019年度から比較すると約1.4倍の成長が続く見通しです。ECの増大や、決済手段としての電子マネーの普及により、企業と顧客との接点がどんどん「デジタル化」されています。
近年、リアル店舗という顧客接点を有することを強みとして小売企業もデジタル化を進めておりますが、ITプラットフォーマーが顧客との接点と情報を握り、小売領域に進出する動きも出始めています。
この流れに小売企業が対応していくためには、まず自社の有するデータを整備・統合してDX戦略の基盤を構築することが求められます。その上で、自社の強みを磨きつつプラットフォーマーと連携する、さらには自社の強みを小売企業独自のプラットフォームビジネスへと変換するなど、大きな変革が求められます。
こうしたDXの取り組みを成功させるためには、これまでの営業部門、EC部門、商品部門などの機能別組織に横串を通す機能を設置し、次世代を担う人材をDXリーダーとして起用することなども求められます。こうした変革への労を惜しまず行える企業こそ、小売業界での勝ち組になっていくと予想されます。
出典:『ITナビゲーター2020年版』――2025年度までの市場トレンド予測
D2C 型 EC のメリット
このような市場環境の中、変革が求められる企業は自社で EC サイトを運営するケースが増えています。IT プラットフォーマーを通じた販売では利益率が低く、カスタマージャーニーをコントロール出来ない状況が生まれます。D2C、つまり商品を直接消費者に販売することで得られるメリットには以下の4つがあります。
- 顧客データを収集する機会が得られる
- ブランドのロイヤルティの強化
- 商品のパーソナライズ
- 新商品のテストマーケティング
D2C に取り組むことは、お客様との直接の対話を生み出す機会の創出と言えます。NRI デジタルでは、クライアントの D2C ビジネスの企画からシステム構築、運営サポートまでを一貫して支援、クライアントの事業拡大に貢献しています。
D2C を支える EC 技術のトレンド
さて、ここからは EC サイトを構築する上で必要となる技術・ソリューションをいくつかご紹介します。わかりやすさのために極端に表現すると小規模でシンプルな EC サイトを始める際にはネットショップを利用し、大規模で既存の物流や会計システムと繋ぐ必要のある複雑な業務を実現する場合はフルスクラッチで開発します。その中間に EC パッケージやオープンソース、カート ASP が位置している状況が従来の EC サイト構築サービスの構図でした。
しかし、ここ数年で SaaS と言われるジャンルへ多くのサービスがシフトしています。パッケージのように大規模システムにも対応でき、カートASPのような定期的な機能追加などの柔軟性も併せ持つ形態です。オープンソースの老舗である EC-CUBE も共創型クラウド EC プラットフォーム ec-cube.co をリリース、世界最大の EC プラットフォームの Shopify が日本へ上陸する等、今後もこのトレンドは続くものと考えられます。
これからの EC 事業戦略
お客様に自社のブランドを知ってもらい、根強いファンになってもらうためにはお客様との直接の対話を生み出す機会を増やすことが大切です。そのチャネルの一つが EC サイトです。技術の進化によりこれまでよりも手軽に EC サイトを構築・運用することが可能になりました。
事業全体のデジタルマーケティングを考える上で EC のあり方を議論して頂ければと思います。次回以降は EC サイト構築を取り巻く各種ソリューションについて深堀りをしていきます。
<本記事に関するお問い合わせ>
NRIデジタル株式会社 担当 吉田・倉澤・萩村 and Developers marketing-analytics-team@nri-digital.jp
本記事は NRI digital TECH BLOG からの転載です。
デジタルトランスフォーメーション(DX)時代にとるべき EC 事業戦略とは