はじめに
本記事ではチーム開発においての人のマネジメントをオライリーの著書「Team Geek」の内容から「北風と太陽」を例えに、どうすれば「太陽」のように人を動かすことができるかをエンジニア歴5年目の若造がまとめてみたものになります。
一部主観的な部分もありますが異論は認めます。
人が動く原動力
友達や先輩に「このドラマおすすめだから見てみなよ」と言われたこと一度はあると思います。(ドラマでも映画でもなんでもいいですが)
その後、果たしてそのドラマを見た人はどのくらいいるのでしょうか?
少なくとも自分は普段の会話の中でおすすめされたもの、ことについて本気で興味がない限り自ら見ることはありませんでした。
人の原動力とはつまり受動的に感じたものから生まれることより、能動的に感じたことから生まれることの方が多いと自分は考えました。
仕事上でもお願いをしたにも関わらず、なかなか着手してくれなかったり、適当にあしらわれる経験は上記と同じ理論だと感じました。
能動的に感じさせるには
デール・カーネギーの『人を動かす』においても「北風と太陽」が例に挙げられています。
同著の中では、
人を説得しようとした際には、北風のように強引に言い聞かせようとしたり怒鳴っても、相手を意固地にさせたり反>発を食らうだけである。太陽のように、穏やかに暖かな感情で話しかけることが肝心である。
と説かれています。
ここでいう太陽とは、「親切」「友愛」「感謝」の心であり、世の一切の怒声よりもたやすく人の心を変えることが出来ると、説明されています。
このことから、人を動かすためには敬意を持って接し、本人にとって受動的に動いているように促すことが大事だとわかります。
どうすれば敬意を持って話せるか
オライリーの「Team Geek」においては以下の三点が大切と説かれています。
- 謙虚 (Humility)
- 尊敬 (Respect)
- 信頼 (Trust)
これら三つを総称してHRTと呼び、コミュニケーションやソフトウェア開発においては非常に有用とされています。
謙虚
仕事上、なんでも知っているかのような振る舞いをする人はいます。
会議の中でもあらゆる提案や議論の細部にコメントしたり自分を宣伝するような振る舞いは生産性を阻害し、速度を落とします。
とはいえ「黙る」ということではなく仮に精通していたとしても他人の意見に耳を傾けることがチームにおいては必要であり、そういった姿勢は新しいアイデアやアプローチを受け入れる柔軟性も育めます。
謙虚になるためには自分のスキルに自信過剰にならず、他人が自分に新しい価値を与えてくれると信頼することが重要です。
コーディングにおいても同じで、不具合が起きた際、律儀にコミットログから誰のミスか詮索するような行動も「謙虚」という点においては意味をなしません。
(歴史を知るという点においては多少の意味はありますが)
同著で説明がある通り
コードは人を表すものではなくその人の価値を示すものでもありません。
たとえ不具合を起こそうと、指摘を受けようがあなた自身が攻撃されているわけでは全くない、という認識を持つことも重要です。
逆に指摘する際も、「間違っています」ではなく「この書き方でも実現できますか?」等あくまで問題があるわけではなく、自分の疑問として投げかけることで相手を攻撃している姿勢を見せず説明をしてもらうことができます。
尊敬
ソフトウェア開発において「批判」とは個人的なものではなく、優れたプロダクトを作るためのプロセスの一部でしかありません。
関わる人間全てが成果に対する建設的な批判と性格に対する攻撃的な批判の違いを理解する必要があります。
重要なのはそこに尊敬があることで、建設的な批判をする人は心から良いプロダクトを作りたいと思っており、決してその人の価値をどうにかしてやろうと考えていないということです。
チームメンバーは新たな価値を生み出してくれるもので自分のロボットではありません。
表面上、メンバーはPMにとって下に見えますが時にメンバーの意見が新しい価値を生むこともあり、優れたプロダクトを作る上では関わる人全てを尊敬することが重要です。
自身の経験としてはメンバーへの尊敬がないために意図せずその人への批判的な指摘をしてしまったことがあり、同著を読んだ際はかなり心に刺さりました。
信頼
信頼は、人間関係の基盤であり、効果的なコミュニケーション、強固なチームワーク、そして個人間および組織全体の生産性の向上に不可欠です。
信頼がある環境においては、メンバーはよりオープンになり、円滑にプロジェクトを遂行できます。
同著には以下のように説かれています。
自分以外の人は有能であり、正しいことをすると信じよう。そうすれば仕事を任せることができる
過度な信頼は危険ですが、尊敬と謙虚さを持って適切にコミュニケーションを取ることで「危険な信頼」もなくせると考えます。
まとめ:太陽になるためには
「Team Geek」から学んだHRTの原則に則って、いろいろと書きましたが結局太陽になるにはどうすればいいのでしょうか。
太陽とは権力や圧を利用せず、対等にコミュニケーションを取り、その人のパフォーマンスが最大限引き出せる環境を作れる人だと感じました。
この記事を通じて少しでも太陽になろうとする人が増えると幸いです。
太陽に憧れるがあまり熱量が高すぎる人材になっては元も子もありませんが笑
参考文献
説明、内容は一部主観を除いてオライリー「Team Geek」の引用になります。
興味がある方はぜひ読んでみてください。