目次:
・フレームワークの目的と構成要素の概要
・FinOps Foundationによる標準モデルの紹介
今日の一枚まとめ:
内容:
フレームワークの目的と構成要素の概要
FinOpsフレームワークの目的は、組織がクラウドコストを効果的に管理し、最適化しながら、クラウド投資をビジネス目標にしっかりと結びつけ、最大限のビジネス価値を引き出すことにあります。
従来のITコスト管理とは異なり、FinOpsは技術、財務、ビジネスの各部門が協力し、リアルタイムでクラウド支出を可視化・分析しながら、意思決定と最適化を継続的に行う運用モデルです。
このあたりが肝になっており、特に日本では「コスト管理は経理/財務部/コスト管理部/業務管理部がやるから〜」の意識があり、全体としてどれだけのコストがどれだけのビジネス価値を生んでいるのか、という感覚は非常に持ちづらいです。
もちろん一様には言えませんが、たとえば部署ごとにカンパニー制度をとる縦割りの海外企業などは、そういったコスト意識が自分ごととしてとらえられるように見えます。
では早速フレームワークの中身を見ていこうと思います。
まず、フレームワークは主に以下の構成要素から成り立っています。
• 行動規範(Principles)
FinOpsを推進するうえで組織全体が共有すべき基本的な考え方や価値観です。例えば、コストの可視化や説明責任、継続的な最適化、部門横断的なコラボレーションなどが挙げられます。
FinOpsの原則は、クラウド財務管理の全体を貫く基本的な価値観や行動指針です。
• ペルソナ(Stakeholders/Personas)
エンジニア、財務担当、経営層など、クラウドコスト管理に関わる全ての関係者が対象となります。各自が役割と責任を持ち、協力して運用することが重視されます。
FinOpsの実現とは、一つのチームがなんとかできるものではありませんので、多様な関係者の協働を前提としています。
• 実践サイクル(Phases)
FinOpsの実践は、以下の3つの反復的なフェーズで構成されます。
Inform, Optimize, Operateです。
• 活動領域(Capabilities/Domains)
コスト配分、予算策定、レポート作成、異常検知など、FinOpsの目的を達成するための具体的な活動や能力です。
• 成熟度モデル(Maturity Model)
FinOpsの成熟度は「Crawl(初期)」「Walk(中級)」「Run(高度)」の3段階で評価されます。組織は自社の現状に応じて段階的にFinOpsを発展させ、スケールや複雑性に応じて最適な実践レベルを目指します。
これらの構成要素が相互に連携し、組織全体でクラウドコスト管理とビジネス価値最大化を実現するのがFinOpsフレームワークの特徴です。
FinOps Foundationによる標準モデルの紹介
FinOps Foundationは、クラウドコスト管理と最適化の分野で国際的な標準を策定する団体であり、FinOpsフレームワークの公式なベストプラクティスと原則を提供するものだと理解しています。
こういったフレームワークをどう使いながら一体何に役立てていくのかというところですが…
• 包括的なベストプラクティス集
世界中の多様な企業やパートナーの知見を集約し、実践的なノウハウや教訓をフレームワークに反映しています。
• 構造化されたアプローチ
組織がFinOpsカルチャーを導入しやすいように、原則・利害関係者・ライフサイクル・機能・成熟度モデルという明確な構造で整理されています。
• 反復的な改善サイクル
「Inform」「Optimaize」「Operate」の3フェーズを繰り返しながら、組織全体で継続的な最適化と価値創出を目指します。
• 集合学習の活用
FinOps Foundationは、業界全体の集合知を積極的に取り入れ、フレームワークを進化させ続けています。これにより、最新のクラウド活用動向や課題にも柔軟に対応できる仕組みとなっています。
最後に
こういったフレームワークは図を一枚の絵で見るとまとまって見えるものの、いざ解説しようとするとなかなか難しいものがあります。
その辺りも含めてさらっと一読いただければ理解できるようにしていくのが目標です。