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「AIはエンジニアを駆逐できない」論と「エンジニアは半分不要」論の反響格差を考察する

Last updated at Posted at 2025-01-26

はじめに

「AI時代なんて幻想だ──『AIはエンジニアを駆逐できない』論」という記事と、「AI時代のエンジニアリングマネージャー ─『エンジニアは半分不要』論」という記事。
実はこの2つの記事、どちらもAI×エンジニアリングマネジメントをテーマにしていながら、閲覧数・いいね数・ストック数に大きな差が出たそうです。具体的には、

  • 記事A
    • タイトル:「AI時代なんて幻想だ──『AIはエンジニアを駆逐できない』論」
    • 約10,561views / 31likes / 9stocks

  • 記事B
    • タイトル:「AI時代のエンジニアリングマネージャー ─『エンジニアは半分不要』論」
    • 約1,519views / 2likes / 1stock

明らかにArticle A(駆逐できない論)の方が人目を引いているようです。
なぜ、同じように“AIとエンジニアの未来”を語っているのに、ここまで反響の差が生まれたのか?
この記事では、その背景や人間心理、コンテンツの特徴などをひも解きながら考察してみたいと思います。


1. それぞれの記事が扱った「AIと人間」のスタンスの違い

まず、2つの記事の大きな違いは“AIとエンジニアの未来”に対するスタンスでしょう。

  1. 「AIはエンジニアを駆逐できない」論(記事A)

    • 「AIでエンジニアの仕事が単純に無くなるわけではない」と主張
    • 「むしろAIを活用してイノベーションを生み出す、本当のエンジニアが必要になる」
    • 言い換えれば、読者が「自分はちゃんと価値を発揮できる」と思えるような内容
  2. 「エンジニアは半分不要」論(記事B)

    • 「単純なコードを書く仕事はどんどんAIに取られる」
    • 「エンジニアリングマネージャーですら安心できない」と警告
    • 読む人によっては「仕事が奪われる」という危機感を直接突きつけられる、やや刺激的な内容

記事Aは、エンジニアが安心感を得やすいポジティブ(もしくは肯定的)なトーンでまとめられ、記事Bは「淘汰・危機感」を前面に出した、ネガティブ(もしくは厳しめ)なトーンで書かれています。

このスタンスの違いは、読者の心理に大きく影響します。
世の中の多くのエンジニアやマネージャーは、「自分たちの仕事が不要にならないで欲しい」「AIに代替されるわけがない」と少なからず思いたいものです。
そうした読者にとって、「駆逐されない」論は、読みたい・シェアしたい・自分の考えを裏付けたい記事になりやすいのです。


2. 「バイアスの補強」を求める人間心理

心理学には、「確証バイアス(Confirmation Bias)」 という概念があります。

  • 人は自分の信じたいことや、すでに持っている意見を裏付ける情報を積極的に探し、共感しやすい
  • 逆に、反対の意見や批判的な情報は避けたり否定したりする

記事Aは「AIはエンジニアを完全には代替できない」という見解であり、現役エンジニアやEMが**「そうだよな、やっぱりまだ必要なんだよな」と共感しやすい内容**です。
これが、いいねやストック、あるいはSNSでのシェアを増やす大きな要因になっていると考えられます。

一方、記事Bは「エンジニアの半分はいらなくなる」と断言しているため、読む人によっては「自分もその半分に入るかも…」と不快感や恐怖を与えてしまう可能性があります。
そうすると、読者としては「面白いけど、自分のSNSでシェアするのはちょっと憚(はばか)られる」という心理がはたらくかもしれません。最悪「不安を煽るだけじゃないか」と敬遠されることもあり、いいねやストックが伸びにくくなる傾向があります。


3. SEOや投稿タイミング、タイトルのインパクトも一因か

もう一つ無視できないのが、投稿タイミング、タイトルのインパクトなど、テクニカルな側面です。

  • 投稿タイミングやバズの“起爆”
    例えば、記事Aが週初めの朝など、SNS利用が活発な時間帯に投稿されたとすれば、瞬発的に拡散されやすい。一方、記事Bが深夜や休日のタイミングで投稿されれば、初動であまり読まれず埋もれてしまう可能性がある。

  • タイトルの印象
    「AI時代なんて幻想だ──『AIはエンジニアを駆逐できない』論」というタイトルは、読み手として 「本当に? どんな理由で?」 と好奇心をそそりやすい書き方でもあります。
    一方、「エンジニアは半分不要」論は、SNSでは驚き屋として揶揄されている論調であるがゆえに、いいと思わない人が多い可能性もあります。

こうしたテクニカル要因もまた、記事の露出度・閲覧数・反応数に影響を与えているはずです。


4. 「読み手の理想像」を描けるかどうか

視点を変えると、読者は自分の“なりたい姿”を語っている記事に共感しやすいとも言えます。

  • 記事Aは「エンジニアとしての誇りや、泥臭い現場でのリーダーシップを発揮する未来」を具体的に描いている
  • 記事Bも「AIを使いこなすEMこそ生き残る」とは言っているものの、「半分はいらなくなる」という強い否定から入るため、最初の数段落で読むのをやめてしまう人もいるかもしれません

同じテーマでも「理想に共感できる前向きなシナリオ」 vs 「まず厳しい現実を突きつけられるシナリオ」では、後者の方が離脱されやすいのです。


5. 結論: ポジティブな共感と安心感が「伸びる記事」の鍵

今回の2記事の反響格差をまとめると、以下のような要因が考えられます。

  1. 記事Aのほうが読者の「現状維持バイアス」や「安心感」をくすぐる内容

    • 「そうだよな、まだまだエンジニアは必要なんだ!」と共感しやすい
    • SNSでも「みんなに読んでもらいたい」気持ちを起こしやすい
  2. 記事Bは読者に危機感を煽る内容であり、“拡散しにくい”心理が働く

    • 「仕事が半分無くなるかも」と言われると、自分も不安になる
    • よほど意識の高い人や危機感を共有したい人でないと、いいね・ストックに繋がりにくい
  3. 投稿時間帯、タイトルのインパクトなど、外的要因も重なり差が広がった

    • 人気の出やすいキーワードを押さえているか
    • 拡散しやすい時間帯に投稿したか
  4. ポジティブな「理想像」を提示するほうが読者の共感を呼びやすい

    • 記事Aはエンジニアを“正面から肯定”する語り口が多いため、好まれやすい
    • 記事Bは“厳しい現実”を強調するがゆえに、内容は建設的でも入り口で敬遠される可能性

おわりに

同じ「AIとエンジニアの未来」を扱った2つの記事が生んだ、大きなビュー数・いいね数・ストック数の差。
それは突き詰めると、「読者はポジティブで自分を肯定してくれる情報を好む」 という、人間の心理を如実に表していると言えます。
もちろん、危機感を煽る論も重要な視点をもたらしますが、その手の記事が伸びにくいのは、ある種自然の流れなのかもしれません。

もしあなたがブログや技術記事を書いていて、「なぜか読まれない」「なぜか拡散されない」と感じているなら、読者の感情や期待感、SNSでのシェア意欲をもう一度振り返ってみてください。
そこには、今回紹介した2つの記事のように、人の心を動かす“トーンとメッセージ”の差が潜んでいるかもしれません。


会社紹介

株式会社 Mosaica
最先端テクノロジーで社会課題を解決し、持続可能な未来を創造する IT カンパニー。
AI ソリューション、クラウド統合、DX 推進、経営コンサルティングなど包括的なサービスでビジネス変革を支援しています。

詳しくは 公式サイト までお気軽にご相談ください。
公式サイト: https://mosaica.co.jp/

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