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今さらながら Bolt.new について徹底的に調べてみた

Last updated at Posted at 2025-03-05

はじめに

みなさん、Bolt.newを知っていますか?

Bolt.new とは、プログラミング知識がなくても直感的な操作でWebアプリやデジタルプロダクトを作成・デプロイできる、AIを活用したノーコードツールです。
AIがデザインや機能の提案を自動で行い、迅速なプロトタイピングと開発をサポートします。

話題になってからかなり時間が経ってしまいましたが、品質が高くなっていいタイミングだと思い、今さらながら筆者も使ってみることにしました。

この記事では、ブラウザ上だけでフルスタック開発が完結し、数分でデプロイまで行えると話題の「Bolt.new」を取り上げ、導入方法から実際の開発フロー、評判や事例まで網羅的に解説していきます。

Next.jsSupabaseなどとの連携にも焦点を当て、短期間開発の可能性を徹底調査しました。

どんな感じで開発できるかというと、以下のような感じです。

図解:Bolt.newでの開発フロー

Bolt.new を使ってNext.js + Supabase構成のアプリを作り、デプロイするまでの簡単な流れをシーケンス図で示した例です。

わずか数分~数十分のやり取りで、公開URL付きの完成形アプリを手にすることが可能です。

それでは、Bolt.newの全貌をご紹介していきます。


1. Bolt.newの概要

1-1. 開発元・提供開始時期

Bolt.newは、Webブラウザで動作する開発環境やエディタを多数リリースしているStackBlitz社が手がける、AI駆動のフルスタック開発プラットフォームです。
2024年10月上旬に開催されたViteConf 2024で、StackBlitzのCEOであるEric Simons氏が正式に発表し、大きな注目を集めました。

リリース直後から 「AIにプロンプトを入力するだけでバックエンド込みのアプリが作れる」 という画期的なコンセプトが話題となり、現在はGitHubアカウントさえあれば誰でも無料で試すことができます。
短期的には個人・小規模チームのMVP開発の需要が非常に高く、今後はエンタープライズ向けのソリューションとして発展していくのではないかと期待されています。

1-2. サービスの特徴と強み

Bolt.new最大の特徴は、ブラウザ内でサーバーサイドの処理やフロントエンドまで一気通貫で作成・実行・デプロイが行える点です。
StackBlitz独自のWebContainer技術(WebAssemblyを使ったNode.js実行環境)を活用しており、ローカル環境の構築が不要なのに加え、サーバーサイドのコードをリアルタイムにテストできます。

さらに、AIが必要なパッケージのインストールやコード作成、ビルド手順までほぼ自動生成してくれるため、開発者はプロンプトで要件を伝えるだけでアプリの雛形がサクッと完成します。
エラーが発生した際も、ログをAIが直接受け取り、自動修正してくれるフローになっています。設計→実装→テスト→デプロイの流れを圧倒的なスピードで回せることが、短期間開発やMVPリリースを目指すチームにとって大きな武器になると言えるでしょう。


2. 機能詳細

2-1. 対応プログラミング言語・フレームワーク

Bolt.newはJavaScript/TypeScriptを中心に、ReactやNext.js、Vue.js、Svelte、Nuxt.js、Astro、Remixなどの主要フロントエンドフレームワークを幅広くサポートしています。
またNode.jsをバックエンドとして動かせるため、ExpressNext.jsのAPI Routes、あるいはRemixのサーバー機能など、フルスタック寄りのフレームワークが得意です。

2025年2月のアップデートでNativeScriptExpoにも対応し、iOS/Androidアプリのプロトタイプまで作れる柔軟性が加わっています。

ただし、WebAssembly上で動作する制約もあるため、ネイティブモジュールを要求する一部のライブラリや機能は動かない可能性があります。

とはいえ、MVPや小規模~中規模のWebアプリ・モバイルアプリであれば十分に事足りる環境と言えます。

2-2. フルスタック開発サポートとデプロイ機能

Bolt.newのフルスタック開発は以下の流れを一気通貫でこなせます。

  1. フレームワークの選択(例:Next.js)
  2. フロントエンドとバックエンドのコード自動生成(AI主導)
  3. ブラウザ内プレビュー(WebContainer上でNode.js実行)
  4. エラー発生時のAI自動修正
  5. ワンクリックデプロイ(Netlifyに自動公開)

特筆すべきは、「Deploy」ボタンを押すだけでNetlifyへデプロイできる点です。
ビルドからアップロード、URL生成までAIが行ってくれるので、ユーザーは生成されたURLを受け取るだけでOK。
数分以内にWeb上で動作するアプリを共有できるのは、短期間開発での大きなアドバンテージです。

なお、もっと高度なデプロイ設定を行いたい場合や別のホスティングサービスを使いたい場合は、Bolt.new側のエクスポート機能を使って、ダウンロードしたプロジェクトを任意の環境に手動でデプロイすることも可能です。

2-3. 他ツールとの連携

Bolt.newはさまざまなBaaS(Backend as a Service)や外部APIとの連携を容易にする仕組みを備えています。
とりわけSupabaseとは深い統合があり、UI上の「Connect to Supabase」ボタンから数クリックでデータベース・認証・リアルタイム同期などを自動的にセットアップできます。

逆に、ソースコード管理(GitHubなど)との公式な連携機能は現時点で限定的で、Bolt.new上で開発したコードを直接GitHubリポジトリへプッシュすることはできません。
長期的にチームで運用したい場合は、ZIPでプロジェクトをダウンロードし、手動でGit管理する必要があります。
この点は競合サービスに比べるとやや弱みと言えますが、将来的に改善予定との情報もあります。


3. Next.jsの導入方法

3-1. プロジェクト作成と初期セットアップ

Bolt.newはNext.jsの公式サポートを謳っており、プロジェクト作成の際に「Next.jsを使いたい」とプロンプトで指示するだけで、自動的にNext.jsベースの雛形が生成されます。

あるいはBolt.newのトップ画面でNext.js用テンプレートを選べば、create-next-app相当の初期構成が整った状態でスタート可能です。

以下のように、プロジェクト開始は極めてシンプルです。

「Next.jsとTypeScriptで、シンプルなToDoアプリを作りたい」
↓
AIがNext.js + TypeScriptのテンプレートを生成し、依存パッケージをインストール
↓
ブラウザ上でnpm run devの結果が即プレビュー表示される

実際には数十秒ほどで初期画面が立ち上がるため、セットアップだけで半日潰れるといった従来の苦労とは無縁です。

3-2. SSR・API Routesの活用

Next.jsの強みであるSSR(サーバーサイドレンダリング)やAPI Routesも、Bolt.new上でそのまま利用できます。

  • SSR: 大量データの取得やSEO対策をサーバー側で完結させたい場合に有効。
  • API Routes: サーバー側にAPIエンドポイントを定義し、クライアントや外部からリクエストを受ける。環境変数の安全な管理にも便利。

Bolt.newのWebContainerはNode.jsを動かしているため、SSRやAPI呼び出しもブラウザ内で実行が完結します。
動的な機能を含むフルスタックアプリでも、Next.jsを採用すれば柔軟に設計できるでしょう。

3-3. デプロイの流れ

Next.jsで構築したアプリも、「Deploy」ボタンを押すだけでNetlifyへホスティング可能です。
NetlifyはNext.jsのSSRやAPI Routesにも対応しているため、特別な設定が不要で、ビルドした結果をFunctionsとして自動的に配備してくれます。

デプロイ完了後は○○.netlify.appのドメインで公開されるため、クライアントやチームメンバーにすぐ共有可能。
短期間で試作 → 公開テスト → フィードバックというサイクルがスピーディに回るのは非常に魅力的です。


4. Supabaseとの連携

4-1. 認証機能とデータベース連携

Bolt.newでは、バックエンドデータベースとしての選択肢にSupabaseが存在し、「Supabaseプロジェクトへの接続」を数クリックで完了できます。

実際に「ユーザー管理付きのブログアプリを作りたい」といったプロンプトを送ると、AIが「認証機能が必要だな」と判断し、Supabaseを使う準備を行います。

  • Connect to Supabaseボタンを押す
  • Supabaseにログイン/新規登録(GitHubアカウントでOK)
  • Bolt.newが自動でテーブルや認証設定を作成
  • アプリのプレビューで認証付きの動作を確認

こんな流れで、数分以内にログイン機能を備えたアプリが出来上がるケースも多いです。
メール+パスワードだけでなく、GitHubやGoogle OAuthにも対応できるため、外部認証を手軽に実装できるのも利点。

4-2. Edge Functionsとリアルタイム機能

Supabaseにはリアルタイム通知やEdge Functions(サーバーレス関数)の仕組みがあり、チャットアプリやリアルタイム集計なども実装しやすくなっています。

Bolt.new上で「リアルタイム更新が必要な掲示板を作って」といった要望をAIに伝えれば、SupabaseのリアルタイムDBを用いたコードを自動生成し、テーブル変更を画面に即時反映させる仕組みを構築することも可能です。

AIがある程度の部分を勝手にやってくれるため、複雑なリアクティブシステムを作ろうとしても、SQLやサーバーレス関数の詳細をすべて自力で書く必要がないというメリットがあります。


5. 開発フローと所要時間

5-1. アカウント作成からプロジェクト開始まで

Bolt.newの開始手順はシンプルです。

  1. Bolt.newの公式サイトへアクセス
  2. GitHubアカウントでサインイン
  3. 「何を作りたいか?」というテキストボックスに要件を入力
  4. 数十秒でAIがファイル/コードを生成→ブラウザプレビューが起動

これだけで開発を始められます。
従来ならローカルでNode.jsや各種CLIのインストール環境変数の設定IDEのセットアップなどに時間をかけていた部分が不要。
最初のアプリ実行まで数分というスピード感は驚異的です。

5-2. 実際の開発スピードと事例

Bolt.newでの開発は、プロンプトによる指示とAIによるコード生成が中心になります。
例えば以下のようなやり取りを想定してみましょう:

「ReactとTailwindでToDoアプリを作りたい」
↓
AIがベースコードを生成
↓
「フォームのデザインをおしゃれにして」
↓
AIがTailwind設定とCSSクラスを追加してリスタイル
↓
「Supabaseで保存するようにして」
↓
AIがSupabaseをプロジェクトに連携 → テーブル生成 → CRUD処理を実装
↓
「エラーが出た!直して」
↓
AIがログを解析し、自動的にコード修正
↓
「Deploy」ボタンをクリック → Netlifyで公開URLが発行

この一連の流れを数十分~1日以内に完了できる可能性があります。
実際、SNSやブログでも「2~3分でiOSアプリが完成」「週末でMVPを公開できた」という報告があり、短期間開発の実績が多数見受けられます。


6. 料金体系と商用利用の条件

6-1. 無料プランと有料プランの比較

Bolt.newには 無料プラン(Personal)有料プラン(Pro / Teams / Enterprise) があります。

  • 無料プラン: 月あたり約100万トークン、1日あたり15万トークン程度の制限。主要機能は試せるがAI生成に上限がある。
  • Proプラン: 月額20~200ドル程度で、最大1億以上のトークンが利用可能。開発規模や対話回数が増えても途中で止まりにくい。
  • Teamsプラン: Pro相当のトークン枠+複数メンバーでのプロジェクト共有機能。
  • Enterpriseプラン: 大規模企業向けのカスタマイズやオンプレ対応(要問い合わせ)。

短い期間でも頻繁に指示→修正を繰り返すとトークン消費が多くなるため、実務レベルのプロジェクトではProプラン以上への加入が現実的でしょう。

6-2. 商用利用時の注意点

Bolt.newで生成されたコードは、特段の制約なく商用利用可能とされています。
無料プランでも試作アプリをそのまま公開できますが、トークン上限で開発が滞ったり、Netlify無料枠の制限がネックになる場合もあるので注意が必要です。

もし多数のユーザーを集めるサービスとして運用するなら、Netlify側の有料プランや独自ドメイン設定も合わせて検討しましょう。
Bolt.newそのものの利用規約に厳しい縛りはありませんが、AI生成コードのライセンスや知的財産権については、ChatGPTなどと同様に利用者が責任をもって確認しておく必要があります。


7. 利用者の評価と事例紹介

7-1. 利用者の声と成功事例

実際にBolt.newを試したユーザーからは、「本当に短時間でプロトタイプが完成して驚いた」 という声が多く挙がっています。

  • UIデザインもAIがある程度整えてくれるため、「想像以上に見栄えの良いアプリが素早くできた」という評価。
  • 環境構築不要&デプロイまで自動化されていることが、短期間開発の最大のメリットという意見。

具体的な事例としては、

  • チャットアプリ: Expoを使い、iOS/Androidの動くモバイルアプリを数分で作成 → デプロイ
  • 書籍レビュアプリ: Next.js + Supabase認証で、書籍の感想投稿+ユーザーログインを実装 → 数時間で公開
  • ポートフォリオサイト: レトロゲーム風デザインをAIにプロンプトし、凝ったデザインを自動生成 → Netlifyで瞬時に共有

こうしたレポートがブログやSNSで多数紹介されており、**「爆速開発」**というフレーズで評価されることが多いです。

7-2. 指摘される課題と改善ポイント

一方で、以下のような改善が望まれる点も指摘されています。

  1. AIの不安定さ: 複雑なプロンプトや要件を与えると、AIが混乱してコードを壊す場合がある。
  2. 無料プランのトークン不足: 少し対話を重ねると1日のトークン上限に達する → 開発が中断。
  3. GitHub連携などの不足: チーム開発のためにソースコード管理が必須だが、Bolt.new単体ではバージョン管理がしづらい。
  4. 大規模開発には向かない: WebAssembly上で動かない特殊ライブラリがある、負荷の高い処理が苦手、などの制約。

しかし、多くの利用者は「MVP・プロトタイプ用途には圧倒的に便利」「運用段階ではローカルに移管してGit管理すれば問題ない」と受け止めており、短期間開発重視のシーンでは十分に役立つと判断する声が主流です。


8. 導入検討:短期間開発への適性評価

8-1. 導入メリットとデメリット

メリット

  • 爆発的な開発速度
    環境構築なしで数分以内にフロント~バックエンド~デプロイまで完走できる。実装・デザイン・デバッグもAIに任せる部分が大きいので、開発リードタイムが大幅に短縮される。

  • フルスタック・ワンストップ
    Next.jsやSupabaseなど主要技術がノーコードに近い操作で統合可能。認証付きの本格アプリでも、対話で指示すればAIが一通り組み上げる。

  • 初心者フレンドリー
    「フォームをこうして」「エラーを直して」といった自然言語で修正できるため、細かいコード知識がなくても完成度を高めやすい。

  • スピードが求められる開発に最適
    企画アイデアをそのまま数時間~1日で具現化できるので、ハッカソンやPoCなどで威力を発揮。

デメリット

  • AI依存による不確実性
    プロンプト次第で意図せぬコードを出力する、または大きく壊す可能性がある。最終的な品質チェックは人間の目が必要。

  • トークン制限
    無料枠が少なく、実務レベルではProプランがほぼ必須。有料といっても月20ドル程度からなので、コスト対効果は大きいとも言える。

  • バージョン管理や大規模運用がやや不便
    GitHub連携がないため、複数人開発や継続的なCI/CDは自前でセットアップする手間が発生。大規模システムには現状不向き。

  • WebAssembly上の制約
    計算量が多い処理、ネイティブモジュール依存のライブラリには対応困難な場合がある。ごくシンプルなMVPやWeb中心の機能に向いている。

8-2. 総合評価と今後の展望

Bolt.newは、「短期間でMVPやプロトタイプを作りたい」 というニーズに対して、非常に適合度が高いサービスです。

特に、AIによるコード自動生成&修正が想像以上のスピードをもたらし、UI/UXの整備やエラー修正も対話的に完結します。
ほんの数時間でリリース可能となるケースも多く、開発者の負担を劇的に削減してくれます。

とはいえ、ロングターム運用大規模チーム開発の観点では、GitHub連携や高度なCI/CDの構築が不便だったり、WebAssembly環境ゆえの制約もあります。

したがって、最初の爆速開発ツールとして導入し、アプリの形を固めた段階でローカルや他のプラットフォームに移管する運用が現実的なケースも多いでしょう。

今後アップデートや周辺ツールの充実により、バージョン管理・チーム開発にも適したサービスになっていく可能性は十分あります。
スタートアップや中小企業が小回りよくPoCを進める上では、現時点でも導入する価値が大いにあると考えられます。


まとめ

この記事では、短期間開発に特化したAI駆動型の開発プラットフォーム「Bolt.new」 について、機能やメリット・デメリットを詳しくご紹介しました。

  • ブラウザ上で全て完結する手軽さと、AIによるコード自動生成&修正により、プロトタイプやMVPを爆速で立ち上げられる。
  • Next.jsやSupabaseとの統合がスムーズで、認証やデータベース、SSRが必要な本格アプリでも短期間で実装可能。
  • ただし、大規模運用や複数人開発ではGitHub連携の不足トークン制限などに留意が必要。

短期間でリリースを目指すスタートアップや、PoCやアイデア検証を素早く行いたい中小企業、あるいはアジャイルにMVPを作りたいエンジニア・プロダクトマネージャーの方には、非常に有力なツールとなるはずです。

この先、機能拡充や安定性の向上が進んでいけば、業務効率化開発スピード向上において、さらに大きなインパクトを与える存在になるでしょう。

ぜひ興味を持たれた方は、無料プランから試してみてはいかがでしょうか。数分で完成するアプリに、きっと驚くはずです。


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