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AWS Amplify Gen1 vs Gen2:新旧世代の徹底比較

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1. はじめに

AWS Amplifyは、フロントエンドやモバイルアプリ開発のホスティングからバックエンド構築、CI/CDまでを一括で提供するAWSのサービスです。

2018年頃から「Amplify Console」や「Amplify CLI」を用いたGen1が広く利用されてきましたが、2024年頃から登場したGen2ではCDK(Cloud Development Kit)によるコードファーストな開発手法が加わり、ビルド・デプロイの仕組みも大幅に刷新されています。

本記事では、Amplify Gen1 と Gen2 の主な違いを「仕様・技術面」「性能面」「コスト面」「ユースケース」「ユーザ評価」「サポート情報」などの切り口でまとめ、どちらを選ぶべきか、あるいはどう移行すべきかを考える際の参考になれば幸いです。


2. 仕様・技術的な違い

開発手法(CLI vs. CDK/コードファースト)

  • Gen1: Amplify CLIを使い、amplify add authamplify add apiなどのコマンドを対話的に実行 → CloudFormationテンプレートを自動生成 → AWSリソースをデプロイ、という流れ。抽象化が深く「ボタンを押せば完成」の気軽さが特徴。
  • Gen2: AWS CDK(TypeScript)を直に扱うコードファースト開発。Amplifyも裏でCDKを使うのではなく、開発者が自身でCDKコードを管理するイメージです。柔軟性と拡張性に優れる一方、AWSやCDKの理解が必須です。

ツールと統合コンソールの変遷

  • Gen1: Amplify CLIとAmplify Console(Amplify Studio含む)で、ホスティング・認証・APIなどを部分的に管理。複数画面にまたがるため分散管理な印象。
  • Gen2: 統合されたAmplifyコンソールが刷新され、ビルド&デプロイ設定・環境変数・カスタムドメイン管理などを一元管理。ブランチごとのフルスタックデプロイも容易です。

(表)Gen1とGen2の比較一覧

比較項目 Amplify Gen1 Amplify Gen2
開発手法 CLI中心の対話式
CloudFormationテンプレートを自動生成
CDK(TypeScript)ベース
自前でスタックをコード管理
学習コスト 低め(AWSに詳しくなくても
ボタン操作やCLIコマンドで構築)
高め(AWSサービスやCDKの
知識が必要だが自由度も高い)
主な特徴 - ボタン操作で簡単デプロイ
- DataStoreなどが使える
- 一部カスタマイズが制限
- ブランチごとのフルスタックデプロイ
- 高速ビルド&デプロイ
- WAFやSSOの強化
未対応機能 比較的成熟。
機能不足は少ない
DataStore、カスタム認証フロー等
一部Gen1機能が未対応
適した規模・用途 小規模〜中規模・スピード重視のプロトタイプ
(簡単にセットアップできる)
大規模チーム・複雑な要件
(多ブランチ開発や細かいAWS連携が必要な場合)
ホスティング設定 Amplify Console(Gen1向けUI)
環境ごとに個別設定
新しいAmplifyコンソール
(ビルド・変数・ドメインを一括管理)
料金体系 従量課金制。基本はGen2と同じ 従量課金制。Gen1と共通

3. 性能比較

ビルド・デプロイ速度の向上

  • Gen1: コード全体を毎回フルビルドしがち。変更が多いと時間がかかりやすく、キャッシュ戦略も限定的。
  • Gen2: インテリジェントなキャッシュを導入。変更のない部分は再ビルドをスキップし、数分→数秒単位に短縮されるケースも。
  • スケーラビリティ: 大量アクセス時にCDN(CloudFront)との連携が最適化され、応答遅延が起きにくい。

キャッシュ戦略と通信性能

  • キャッシュ設定: Gen2ではS3やCloudFrontの設定を細かくカスタマイズ可能。圧縮やキャッシュ制御などを高度に調整でき、UXやSEO向上にも寄与。
  • 高い並行アクセス耐性: Gen2のホスティングでは、ブランチ別環境を同時に扱っても安定運用しやすいです。

(図)Amplifyのビルド&デプロイ イメージ

このようにソースコードをPushすると、Amplify Consoleがビルドを実行し、その成果物をS3 + CloudFrontにホスティングします。
Gen2ではビルド効率が大幅に改善されたうえに、同時アクセスやブランチごとに分かれたマルチ環境にも対応しやすくなっています。


4. 価格・コスト面の違い

従量課金制の共通点と最適化のポイント

  • 料金体系はGen1とGen2で共通: 月1,000分のビルド時間と一定量のストレージ・データ転送が無料枠に含まれ、超過分が課金される仕組みです。
  • コスト最適化:
    • Gen2のインテリジェントキャッシュで無駄なビルド時間を削減 → ビルド課金の抑制につながる可能性
    • ただし、ブランチ別環境を多用するとビルド回数が増えるため、その分課金も増加し得る
    • Amplifyで構築した認証やAPIなどのバックエンドは各AWSサービスごとに従量課金される点はGen1と同様

5. 対応するアプリケーション・ユースケース

小規模・プロトタイピング向け vs. 大規模運用向け

  • 小規模・プロトタイプ (Gen1が有利な場合も)
    • GUI操作とCLIだけで素早く構築できる
    • オフライン同期が必要な場合(DataStore)は現時点でGen1にのみ対応
    • MVP開発や個人プロジェクトに向いている
  • 大規模・本格運用 (Gen2が得意)
    • ブランチごとのフルスタックデプロイ → 大人数のチームで並行開発がしやすい
    • CDKによるAWS連携を高度にカスタマイズでき、複雑な要件に対応可能
    • 長期運用で更新頻度やアクセス数が多いプロジェクトに向いている

6. ユーザーレビューと市場評価

肯定的な評価と改善点

  • 「AmplifyがAWS全体とシームレスにつながるCI/CD基盤に生まれ変わった」 という評価が多い
  • ビルド高速化やエンタープライズ向け機能(WAF、SSO等)の追加を歓迎する声
  • 柔軟かつ本格的なDevOps体験が得られると、Gen2に期待を寄せるユーザも多数

移行時の注意点と課題

  • 一部機能(DataStore、カスタム認証等)未対応: Gen1で使っていた機能がGen2未対応のケースがある
  • 学習コスト増: CDKやAWSリソース管理の知識が求められ、初心者には複雑に感じられる
  • Gen2はまだ発展途上: AWS公式はGen1のサポート継続を明言しており、「新規アプリはGen2推奨、既存は慎重に」という意見が多い

7. まとめと今後の展望

  • Amplify Gen1:
    • 手軽かつスピード重視
    • プロトタイプやDataStore必須なモバイルアプリなど、小規模~中規模のケースでメリット大
  • Amplify Gen2:
    • CDKベースの高い拡張性
    • ブランチ別デプロイや高速ビルドなど、大規模チーム・複雑要件におすすめ
    • 一部未対応機能や学習コストは要注意

AWS公式も新規アプリにはGen2を推奨しており、今後のアップデートでDataStoreなど従来の便利機能もGen2へ順次移行される見通しです。
大きなプロジェクトではGen2を視野に入れつつ、既存Gen1プロジェクトは運用しながら必要に応じて移行を検討するのが現実的な落としどころでしょう。


参考文献

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