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【徹底解説】GitHub Chat APIで実現するスマートな開発環境

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1. はじめに

こんにちは!
新しいリポジトリに出会ったとき、「このコードベース、どこから読み始めればいいんだろう...」と途方に暮れた経験はありませんか?

2025年3月30日、個人開発者のSheing Ng氏によって公開された「GitHub Chat API」により、そんなエンジニアの悩みを解決可能です。
名前に「GitHub」と付いていますが、これはGitHub社やMicrosoftの公式製品ではありません
しかし、その機能は開発者の日常を大きく変える可能性を秘めています。

このサービスの目的は、任意の公開GitHubリポジトリをまるごとインデックスし、自然言語による質問を通してリポジトリの全体像やコードの詳細をAIに問い合わせられるようにすること。

本記事では、開発者に向けて、この新ツールの機能や使い方、そして今後の可能性について詳しく解説していきます。

こちらはGitHubおよびMicrosoftが公式に提供するものではありませんので、あらかじめご了承ください。


2. 機能・API仕様&利用例

主な機能と利用シーン

GitHub Chat APIは、リポジトリ全体を対象にした対話型のコード理解支援サービスです。
具体的には、以下のような特徴と利用シーンが考えられます。

  • リポジトリ横断の自然言語Q&A
    任意の公開リポジトリをインデックス化し、そのコード・ドキュメント・Issueなどを元に 「主要な技術スタックは?」「特定の関数の役割は?」 といった形で自然言語による質問ができます。
  • Issuesやメタデータも含めた回答
    質問への回答を生成する際、リポジトリ内のコードやドキュメントに加えて、Issueの内容やコミット履歴なども参照できます(Pull Request対応は現時点で未定)。
  • マルチターンの対話
    単発質問ではなく会話の履歴(コンテキスト)を保持した継続的な質問にも対応。やりとりの流れに応じて回答を深掘りできます。
  • 回答根拠の提示
    回答と共に「rationale(推論過程)」や「contexts(参照したコードやドキュメントの抜粋)」 も返ってくるため、回答の裏付けとなるソースを確認しやすい仕組みになっています。
  • 簡易Web UIの提供
    開発者向けのAPIがメインですが、https://github-chat.com/オーナー名/リポジトリ名 の形式でブラウザアクセスすると、すぐに質問を試せるWebチャットも利用できます。

これらの機能により、新規リポジトリを理解したい開発者や、ドキュメント不足のOSSに貢献しようとするOSSコントリビュータなどが素早くリポジトリの全容を把握できます。

APIエンドポイントの仕様

GitHub Chat APIは、現状以下の2つの主要エンドポイントによって構成されます。
認証やAPIキーは現時点で不要ですが、将来的に制限がかかる可能性があります。

  1. POST /verify
    まず対象リポジトリのURLを送ることで、リポジトリをサーバ側でインデックス化(コードやドキュメントを解析・格納)します。

    POST https://api.github-chat.com/verify
    Content-Type: application/json
    
    {
      "repo_url": "https://github.com/ユーザ名/リポジトリ名"
    }
    
    • 公開リポジトリのみが対象
    • リポジトリのサイズは最大500MBまで
    • 大きすぎる場合は一部のみインデックスされる可能性あり
  2. POST /chat/completions/sync
    インデックス化済みのリポジトリに対し、自然言語メッセージをチャット形式で送ると回答を返します。

    POST https://api.github-chat.com/chat/completions/sync
    Content-Type: application/json
    
    {
      "repo_url": "https://github.com/ユーザ名/リポジトリ名",
      "messages": [
        { "role": "user", "content": "このプロジェクトの主要技術スタックは何ですか?" }
      ]
    }
    
    • messages 配列に過去のやりとりをまとめて送ることでマルチターンの対話が可能
    • レスポンスには
      • answer: Markdown形式の回答本文
      • rationale: AIの思考過程の要約
      • contexts: 参照したコードやドキュメントの抜粋
        が含まれる

インデックス化~質問~回答の流れ

以下のように、まずリポジトリを/verifyで解析準備し、その後/chat/completions/syncに質問を送る手順です。

サンプル利用例

例えば、ある公開リポジトリに対して「このリポジトリの主要な技術スタックは何ですか?」と聞くケースを想定しましょう。

  1. リポジトリのインデックス化
    curl -X POST https://api.github-chat.com/verify \
      -H "Content-Type: application/json" \
      -d '{"repo_url":"https://github.com/hoge/example-repo"}'
    
  2. 質問の送信
    curl -X POST https://api.github-chat.com/chat/completions/sync \
      -H "Content-Type: application/json" \
      -d '{
        "repo_url": "https://github.com/hoge/example-repo",
        "messages": [
          { "role": "user", "content": "このリポジトリの技術スタックを教えてください" }
        ]
      }'
    
  3. 回答の取得
    レスポンスには、例えば以下のようなフィールドが含まれます:
    {
      "answer": "主要な技術はPythonとPyTorch、そしてフロントエンドにはReactが利用されています...",
      "rationale": "READMEやrequirements.txtなどを参照した結果...",
      "contexts": [
        {
          "file_path": "README.md",
          "text": "...Python 3.8 or above and PyTorch..."
        },
        ...
      ]
    }
    
    回答がどのファイルを根拠にしたかをcontextsで把握できるのが特徴です。

これにより、「どのようなライブラリが使われているのか」「Issueにどんな課題が書かれているか」などを対話形式で簡単に把握できます。


3. 料金と今後の展望

フリーミアムモデル

GitHub Chat APIは現時点では無料で利用できます。
公式サイトでも「誰でも利用可能なフリーミアムリリース」と位置づけられており、APIキーや課金手続きは不要です。
ただし、今後サービスが拡大してユーザー数が増えた場合、有料プラン(プレミアム機能)の導入レート制限などのルールが設けられる可能性があります。
また、プライベートリポジトリ対応のような付加機能は、将来的に有料オプションとなる可能性が高いと考えられます。

今後の拡張や機能追加

リリースされたばかりのサービスのため、以下のような拡張が見込まれます。

  • プライベートリポジトリへの対応
    認証連携を実装して、ユーザー本人しか見られないプライベートリポジトリもインデックス化する機能。
  • モデル精度の向上
    GPT系などの大規模言語モデルを用いていると推測されるが、継続的なモデルアップグレードやコード理解特化のファインチューニングが期待される。
  • UI・プラグインの充実
    シンプルなWebチャットだけでなく、VSCodeなどのエディタ拡張やCI/CDパイプラインとの統合も検討される可能性がある。

4. まとめ

いかがでしたか?
GitHub Chat APIは、まさに開発者の日常に革命を起こす可能性を秘めた新サービスです。
リポジトリ全体を対象に自然言語で質問し、AIが回答してくれるという、今までにない体験を提供してくれます。

現時点では無料で使えるこのサービスは、個人開発者やOSSコントリビュータにとって強力な味方になります。
もちろん、GitHub社の公式サービスではないため、今後どのように発展していくかは未知数ですが、その可能性は無限大です。


参考文献

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