はじめに
AIがエンジニアを置き換える? 正直、大袈裟すぎる。
確かにLLMなどのテクノロジーが進歩したことで、コード生成やテストの自動化は進んでいる。しかし、だからといって「エンジニアの半分が不要」になるなんて、夢物語に近い。むしろAIには限界があるし、そんな単純な話ではない。炎上覚悟で断言すると、AIで代替できるような"単純作業しかしていないエンジニア"こそ、そもそもエンジニアと呼べないレベルだ ということだ。
1. 「AIがエンジニアを食う」は“安易すぎる”結論
AIが優秀なコードを書けるようになったら、即座にエンジニアが要らなくなるか?
結論から言えば、そんなに甘くはない。
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仕様策定の難しさ
大半の開発現場では「要件定義」「仕様決め」という泥臭い工程が付きまとう。実際の動くシステムを想定しながら、この仕様を落とし込む作業は人間の「経験」や「直感」をフル活用する必要がある。機械学習モデルにそこまでの実感や責任感を持たせることは難しい。 -
既存システムとの統合
企業のレガシーシステムや複数のサービス連携など、例外だらけの現場を統合するには、知見や調整能力が必須。机上の空論では解決しきれないケースが山ほどある。
実際、「AIにやらせれば済む」と思っている人ほど、現場を知らないか、数十人月規模の複雑なプロジェクトを経験したことがないのではないか。
2. エンジニアリングマネージャーはむしろ“これから”必要
「EMが淘汰される」と豪語する人もいるようだが、むしろ逆で、これからもっと必要になる可能性が高い。
なぜなら、どんなにAIが進化しようが、“現場を仕切って責任を負う存在” は最後まで人間が必要だからだ。
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プロジェクト全体のハンドリング
AIはプロジェクト管理ツールとしての役割は担えても、実際の人間関係を調整し、問題が起きた時に“腹をくくって”決断するのは依然として人間だ。誰が最終判断を下すのか? そこにはAIの「提案」ではなく人間の確固たる意志が必要だ。 -
人間同士のケアとモチベーション管理
「心理的安全性」なんてキレイ事だと言う人もいるが、チームが不満を抱えたり、モチベーションを失ったりしたら、結局プロダクト品質はガタ落ちする。AIがご丁寧に“一人一人の感情”を汲み取って最適な声かけをしてくれると思っているなら、相当お花畑だ。
要するに、EMが果たすべきは“人間と人間の調整、そして最終責任を負うリーダーシップ” だ。AIにそこまでの責任を丸投げできるほど、人間はまだお人好しではない。
3. 結局のところ“AIを使い倒せる人間”が強い
前段で「AIは万能じゃない」と言ったが、勘違いしてほしくないのは、AIを無視していいとは思っていない。むしろAIを積極的に活用できるエンジニアやEMが、圧倒的に有利になるのは間違いない。
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AIに使われるのではなく、AIを使う
AI生成のコードやドキュメントを土台に、短期間でPoCを回せる人材こそ、これからの現場で求められる。 -
“単純に取って代わられる”のは置き換え可能な作業員だけ
本当に下請け的な単純労働ばかりやっている人は確かに危うい。しかし、それで「エンジニア全体が不要」と結論づけるのは飛躍がすぎる。優秀なエンジニアは、AIを駆使してさらに価値の高い仕事をするようになるだけだ。
4. AI時代のチーム像はどうなるのか?
じゃあ具体的にどんなチームが理想なのか? 一例としてmermaid図で示そう。(AIでも作れるが、意図や強い主張を込めるなら自分で描くほうが早い場合も多い。)
- 人間同士のコミュニケーションがプロジェクトの成否を左右
- AIはあくまでサポート役。優秀だが責任を持つのは人間
- EMが最終的な意思決定と人間関係を制御
これが実際の現場で求められる姿だ。AIを強力な味方として引き入れつつ、最終判断と調整を担うのは生身の人間なのだ。
5. 結論:「AIがエンジニアをすべて置き換える」なんて話は机上の空論
繰り返すが、AIによってエンジニアの仕事がある程度代替されるのは事実。だが、それをもって「ほとんどのエンジニアがいらない」だの「EMも不要になる」だの言うのは極論に近い。大半の現場はもっと泥臭いし、マネージャーが担う意思決定やリーダーシップはそう簡単には機械化できない。
要は、“現場に染み付いた知恵やノウハウ、そして人間ならではの責任感とリーダーシップ” こそが、エンジニアリングマネージャーの価値であり、これが消えるのは相当先だ。AIバブルに踊らされ、過剰に恐れたり浮かれたりする前に、自分の強みを再確認してほしい。
炎上上等で言わせてもらえば、AIで脅かされる程度のポジションに甘んじているエンジニアは、元々その程度の存在だ。
本当に価値を発揮するエンジニアやEMは、AIを使いこなし、さらに“AIでは絶対に代替できない部分”を担うことで、これまで以上に活躍できる未来が来る。
「AIがエンジニアを駆逐する」? 冗談は程々に。まだまだ、本物のエンジニアが必要な現場は無数に存在する。むしろ、なまじAIを過信している連中こそが本当の危機に陥るだろう。
少なくとも俺は、AIに追い出される未来なんて欠片も想定していない。なぜなら、AIはあくまで “道具” でしかなく、最終的に価値を生み出すのは“人間同士の知恵とコミュニケーション”だと確信しているからだ。